ライオンはネコ科の中ではトラと並ぶ最大の動物で、地域によって体格の差はあるが、いずれも雄のほうが雌よりも大きい。 動物園では必ずと言っていいほど見られるライオンだが、かつてはアフリカの大部分とアラビア半島からインド中北部にかけても分布していて、古代にはギリシャにも生息していたことが知られている。 しかし、現在アフリカに分布しているライオンは、マリからニジェール、スーダンを経て、エチオピア、ケニア、コンゴ、タンザニアから南アフリカ北部などのアフリカ内陸部だけにしか見られず、生息域も分断されている。 毛は短く、毛色はふつう黄褐色や灰褐色で、腹部は淡い。 耳は先が丸くて、後ろ側には黒い部分があり、尾の先も黒い。 ネコ科の中では珍しく雌雄の形態が違い、成獣の雄のライオンには長いタテガミがあり、頭部や肩、胸などをおおっている。 このタテガミは1~2才頃から生えはじめ、5~6年で立派なものになるが、はじめは黄褐色で、次第に黒っぽくなっていく。 また、成獣には斑点がないが、幼獣の時には暗褐色の斑があり、特に四肢にはっきりと見られる。 ライオンは生活形態も異なっていて、ふつうネコ科の動物は群れをつくって生活しないが、ライオンはプライドと呼ばれる群れを成して暮らしている。 プライドは、かつて獲物が多いときなどは数十頭にもなるものが認められたが、現在では、ふつう1~2頭の雄と数頭の雌、その子供たちが集まって10~15頭程度である。 また、雄が2頭いる場合は、兄弟であることが多い。 このほか、若い雄はある程度育つと群れから追い出される為、若い雄だけのグループや単独でいるもの、或いは成獣の雄だけのグループなども見られる。 プライドは縄張りをもっているが、その範囲は獲物の数によって大きく変わり、20~400k㎡と言われている。 獲物の豊富なところほど行動範囲は狭くなる傾向あるが、その範囲を尿などでマーキングし、雄はこの中に入ってくるものを警戒する。 狩りの仕方もネコ科の多くのものと違って、ライオンは獲物をとるときも、仲間同士などで協力して行う。 狩りは、草むらなどに隠れながら獲物に近寄り、至近距離から飛びつくか、二手に分かれた一方が待ち伏せをしている方へ獲物を追い出し、その一方が獲物をとらえるという方法が取られる。 この場合、追い出し役は雄が行い、実際に獲物を倒すのは雌ということが多く、雌だけで狩りをすることも多い。 暑い日中のほとんどは木陰などで休んでいて、夕方から夜間にかけて活発に活動する。 主にインパラやウォーターバックなどのレイヨウ類をとらえるが、シマウマやオグロヌーなどのほか、時にはキリンや力の強いスイギュウ、若いゾウなどを倒すこともある。 しかし、大きな獲物を倒すことが出来ないものは、ウサギや囓歯類などの小動物のほか、鳥やダチョウの卵、魚や爬虫類なども食べるようになる。 ところで、ライオンが倒した獲物をハイエナが横取りしたりすることがあるが、実際にはその逆もあり、ハイエナが倒した獲物をライオンが横取りすることも多い。 ライオンはふだんはゴロゴロとしているのが見られるが、その運動能力はすばらしく、ひと跳び8~12m程も跳躍するし、走る速度も60km/h程にもなるほか、高さも2.5m程なら跳び越すことができる。 数百kg程のもの引きずっていくことが出来るほど力が強いほか、泳ぎも巧みで、雌や若いものは木に登るものもいる。 ライオンは普通サバンナや乾いた平原、茂みのある岩地などに生息していて、川沿いの土地や水辺の近くを好む傾向がある。 しかし、ライオンは標高の高い山地にも姿を現すことがあり、エチオピアのベール山脈では4000mを超える高地でも目撃されている。 また、アジアに分布している亜種であるインドライオンなどは森林地帯に生息している。 一夫多妻で、決った繁殖期は見られず、3~4週間の間隔で発情すると言われている。 また、繁殖は雨季に多く見られ、妊娠期間3~3.5ヵ月程で、1産1~6子で、普通は3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は1~2kg、平均で1.3kg程、小さいものでは800g程度のものも見られるが、いずれも体には斑が見られる。 生後1週間から10日程で目が開き、2週間ほどで歩くようになる。 離乳期間は7~10ヵ月程で、雌で4年、雄では5年程で性成熟する。 時に、トラの中には体が白いホワイトタイガーが見られるが、ライオンにも全身が白いホワイトライオンが生まれることもある。 (写真右下は、体の白い子どものホワイトライオン) 飼育下での寿命は20年程だが、中には25年を超えるものが知られている。 また、野性での寿命はそれよりも短く、平均すると10~15年程度と思われ、雌の方が寿命は長い。 成獣のライオンには外敵はいないが、幼獣や病気などで弱ったものはハイエナの群れに襲われることがある。 しかし、一番の外敵は人間で、生息地の開発やそれに伴う獲物の減少、また密猟などによってライオンの生息数は減ってきている。 現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、レッドリストに絶滅危惧種(VU)として指定されているが、亜種のインドライオンは更に生息数が少なく、レッドリストでは絶滅危惧種のENと指定され、一層の保護がなされている。 尚、ライオンがはじめて日本に来たのは1866年で、動物園で飼育されはじめたのは1902年と言われている。 ライオンの種類・亜種 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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