シマウマ

シマウマ さんのプロフィール


動物図鑑・グラントシマウマ

シマウマ

奇蹄目・ウマ科
学 名 Equus
英 名 Zebra
分布域 アフリカ東部や南部など
生息環境 乾燥した草原やサバンナ、丘陵や山地など
体 長 2~2.8m 程度
尾 長 40~60cm 程度
体 重 200~450kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 種によっては絶滅危惧種

シマウマの仲間は白と黒のはっきりとした縞模様で、特徴のある毛色をしていることでよく知られている。

奇蹄目・ウマ科に属しているが、ウマの中でも他のものとの区別も容易で、各地の動物園でも必ずと言っていいほど飼育されていて、人気がある動物でもある。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ

シマウマの分布域・生息環境
シマウマの仲間には幾つかの種があるが、すべてアフリカ大陸に分布していて、東部や南東部に見られるが、現在の分布域は限られている。

生息環境は種によってやや異なっていて、主に草原やサバンナなどに生息しているものと、丘陵地から山地にかけて生息しているものがある。

しかし、いずれも草類などが豊富な所を好み、水源から遠く離れたところでは見られない。


シマウマの大きさ・特徴

シマウマの仲間には幾つかの種があるが、ふつうは平野部に生息しているサバンナシマウマ、山地に見られるヤマシマウマ、それに縞数の多いグレビーシマウマを別のグループとして扱っている。

体の大きさには種によって差があるが、サバンナシマウマでは体長2~2.7m、体重は220~360kg程で、平均すると山地に生息しているヤマシマウマの仲間は少し小さい。
もっとも体が大きいものはグレビーシマウマで、大きいものでは体長3m、体重は400kgを超えるものも見られる。

また、シマウマの体は白と黒の縞模様になっているのが特徴だが、この縞模様も種や亜種によって変化があり、幅の広いものや狭いものなどのほか、縞と縞の間に薄い影縞が見られるものや、四肢の先まで比較的はっきりとした縞があるものなども見られる。

しかし、いずれのシマウマも尾まで縞が見られ、先には長い毛があるが、体は競走馬のような体つきではなく、ロバに似ている。
実際の分類における系統もロバに近縁で、シマウマは耳が大きく、タテガミもロバのような感じで、鳴き声もロバに似ている。

歩く時は指先で歩く指行性で、第1指(親指)と第5指(小指)は退化していて、体重は第3指(中指)にかかり、爪は半円形をした蹄になっている。

口先はやわらかくてよく動き、上下の歯もきっちりと噛み合わさっていて、草類を食べるのに適している。

視覚や嗅覚は鋭いが、聴覚も優れていて、大きな耳はほとんどの方向に向けることができる。

また、シマウマの黒白の縞模様は遠くからでも目立つように思われるが、実際は保護色の役目を果たしている。
動物園などでも、何頭かのシマウマが集まっていると、実際の頭数を数えるのが案外難しい。

自然下でもこれと同じで、一見派手で目立つように見える縞模様も、樹木や岩などに同化してしまって、見つけるのが難しくなっている。

また、シマウマの縞模様は同じように見えるが、よく見ると全ての固体で違っている。

尚、シマウマの種間の関係や亜種についての分類には様々な経緯があるが、現在は、凡そ次のように分類されている。

グレビーシマウマ (Equus grevyi / Grevy's zebra)
ケニア北部とエチオピア南部などの乾燥した草原地帯に生息している。
シマウマの中ではもっとも体が大きく、体長250~280cm、体重は350~450kg程になる。
ほかのシマウマに比べて縞が細く、縞数が多いのが特徴になっている。
現在は生息数が減少していて、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(EN)に指定している。
サバンナシマウマ (Equus quagga / Plains zebra)
サバンナや草原などに生息しているシマウマの仲間で、いつくかの亜種が知られている。
エチオピアからケニア、タンザニアを経て、ボツワナ、ジンバブエなど、アフリカ東部や南東部に分布していて、アンゴラやナミビアの一部、南アフリカ共和国北部など、シマウマの中でも広範囲に分布している。
しかし、全体としては個体数が減少していて、IUCNでは準絶滅危惧種に指定されている。
クアッガ (E. q. quagga / Quagga)
既に絶滅してしまっている亜種で、南アフリカ共和国などに分布していた。
頭部から肩にかけて縞模様があり、体の後半部や腹面、四肢には縞がなく、体長2.5m、体高は1.3m程度であったと言われている。
現在はサバンナシマウマの基亜種とされている。
グラントシマウマ (E. q. boehmi / Grant's zebra)
動物園などでもっともよく見られるシマウマで、モザンビーク北部からザンビア、タンザニア、コンゴ、ケニアなどの草原やサバンナ地帯に生息している。
体長は2~2.4m、体重は220~270kg程度で、サバンナシマウマの中ではもっとも体が小さいとされている。
薄い影縞は見られないが、ふつうは四肢の先まで縞模様がある。
E. q. borensis (Maneless zebra)
サバンナシマウマの中ではもっとも北に分布している亜種で、ケニア北西部からウガンダ、南スーダン東部などに生息している。
他の亜種に比べるとタテガミが短い特徴がある。
バーチェルシマウマ (E. q. burchellii / Burchell's zebra)
一時は絶滅していたと考えられていた亜種で、現在はボツワナ南部周辺に生息していると言われている。
詳しい生態や生活の様子などは、今後の調査などを待たなければならない。
チャップマンシマウマ (E. q. chapmani / Chapman's zebra)
グラントシマウマによく似ているが、体長2.2~2.7m、体重は230~360kg程で、グラントシマウマよりはやや体が大きい。
また、体にある縞と縞の間には、薄い影縞をもっている。
分布域もグラントシマウマと重なっているが、その領域は狭い。
クロウシェイズシマウマ (E. q. crawshayi /Crawshay's zebra)
体長2.1m、体重270~310kg、体高1.2m程で、グラントシマウマよりは少し大きい。
四肢の先まではっきりとした縞模様があり、タンザニア南東部からマラウイ、モザンビーク辺りの草原やサバンナなどに生息している。
セルーシマウマ (E. q. borensis / Selous' zebra)
体重300kg、体高は1.5m程度で、影縞はなく、はっきりとした白黒模様をしている。
主にモザンビークに分布しているが、亜種として扱うかは検討されている。
ヤマシマウマ (Equus zebra / Equus zebra)
サバンナシマウマよりも一般に縞の間隔が狭く、縞数は多いが、腹部は白っぽい。
また、首の下にはウシ科エランドに見られるような胸垂と呼ばれる皮膚の垂れ下がりがあるのが特徴になっている。
アフリカ南部の山岳地帯に生息していて、ふつうは2亜種に別けられている。
・ケープヤマシマウマ (E. z. zebra / Cape mountain zebra)
シマウマの中では最も小型で、南アフリカ共和国南部の山地に生息している。
ハートマンヤマシマウマに比べると耳が大きく、首に胸垂が見られるのが特徴になっている。
現在は国際自然保護連合のレッドリストに絶滅危惧種(VU)として指定されている。
ハートマンヤマシマウマ
 (E. z. hartmannae / Hartmann's mountain zebra)
アンゴラからナミビア西部の山岳地帯に生息している、
ケープマンシマウマよりはやや大きく、体長2.6m、体重は270kg程度。
グレビーシマウマほどではないが縞数が多く、四肢の先まで縞があり、首には胸垂をもっている。
生息数が少なく、国際自然保護連合のレッドリストに絶滅危惧種(VU)として指定されている。

また、現在は絶滅してしまっているクアッガは、以前はサバンナシマウマとは別種とされていて、サバンナシマウマの学名は Equus burchelli と記述されていた。
その為、グラントシマウマなどはバーチェルシマウマの亜種として扱われていたこともあった。


シマウマの生態・生活
サバンナシマウマやグレビーシマウマなどは草原やサバンナ、低木林などに生息しているが、ヤマシマウマの仲間は丘陵地や山地などに生息していて、シマウマの仲間は様々な環境で生活している。

いずれも草類などが豊富で、水源から遠く離れていないところに生息しているが、生活の様子も種によってやや違っている。

サバンナシマウマなどは群れで生活していて、普通は1頭の雄を中心として、複数の雌、その子どもたちからなるハーレム的な群れをつくり、若い雄は単独か、そられが集まって小数のグループをつくって生活している。

ヤマシマウマの仲間も群れをつくって生活しているが、ふつうはサバンナシマウマの群れほどの大きな群れをつくることはない。

また、サバンナシマウマは広範囲を移動する生活をしていて、ヤマシマウマも冬には低地に降りてきて生活している。

一方、グレビーシマウマにははっきりとした群れの様子が見られず、成熟した雄は普段は単独で生活していて、優位な雄は縄張りをもっている。
この縄張りの中には、ふつうは水源があり、乾季でも水があると一年を通して留まっている。

しかし、食性はいずれも草食性で、草類を主に食べるが、果実や木の芽、低木の葉や小枝なども食べ、シマウマの仲間は、キリンの仲間オグロヌー、エランドやダチョウなどと一緒にいることも多い。

外敵はライオンチーターヒョウハイエナリカオンなどで、ウマほどは速く走れないが、それでも時速65km程の速さで走ることができる。

逃げるときは巧みにジグザグに走って追跡をかわすほか、追い詰められたような場合は、強力な後足で蹴って反撃する。

このほか、シマウマは動物園でも人気があるが、案外気が荒く、人には馴れにくくて、ロバのように家畜として利用されることない。


シマウマの繁殖・寿命
シマウマの仲間には決まった繁殖期は見られないが、出産は雨季の頃に多く見られる。
繁殖はふつう一夫多妻で行われるが、グレビーシマウマの雌は複数の雄と交尾することが知られている。

雌の妊娠期間は12~13ヵ月程で、普通は1産1子を出産する。
生まれたばかりの子どもは、しばらくすると立ち上がることができ、外敵から身を守っている。

雌雄ともに2~3年ほどで性成熟し、平均した寿命は、野生のもので15~20年、飼育下では25~30年程度と言われている。


シマウマの保護状況・その他

シマウマの仲間は皮や肉を目的として狩猟されてきたが、多くの野生動物と同様、近年の開発なども加わり、生息地が減少している。

それに伴って個体数も減少傾向にあり、現在、国際自然保護連合(IUCN)ではサバンナシマウマは準絶滅危惧種、グレビーシマウマとヤマシマウマの仲間は絶滅危惧種に指定している。

多くの地域で保護されているが、シマウマは大型肉食動物の獲物にもなっていることから、シマウマの減少はこれらの動物へも影響するものとして心配されている。

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