グレビーシマウマはシマウマの中ではもっとも体が大きく、サバンナシマウマなどよりも縞数が多い特徴がある。 美しいシマウマとして知られているが、サバンナシマウマのようにはっきりとした群れをつくらず、生活の様子などは違っている。
グレビーシマウマの分布域・生息環境 グレビーシマウマはアフリカ東部に生息するシマウマで、かつてはエリトリアからジブチ、ソマリア、エチオピア、 ケニアなどに分布していたが、現在はケニア北部とエチオピア南部の限られた地域に分布するだけになってしまっている。 乾燥した草原やアカシアが茂るサバンナなどに生息していて、水源から遠く離れないところで生活している。 グレビーシマウマの大きさ・特徴 グレビーシマウマは全体に美しいシマウマで、体高は1.5~1.6m、大きいものでは体長が3m程のものも見られ、シマウマの仲間では最も体が大きい。 シマウマの特徴である白黒の縞は他のものに比べて細く、グラントシマウマやチャップマンシマウマなどに比べて縞数が多いのも特徴で、遠くからでも簡単に見分けることができる。 この縞は背から腰の正中線上に長く延びていて、尾の付け根辺りまで続いている。 四肢の縞も蹄まで達しているが、腹部は白く、縞が見られない。 雄は雌よりも少し体が大きいが、いずれも耳は大きく、先端は丸みを帯びている。 また、口吻はサバンナシマウマよりは細く、直立したタテガミの基底が長く、前足の後方まで延びているのも特徴になっている。 グレビーシマウマの生態・生活 グレビーシマウマは、開けた藪や草原、アカシアが生えるサバンナなどに生息していて、エランドやダチョウ、オグロヌーなどと一緒にいることも多い。 群れで生活しているが、グレビーシマウマはサバンナシマウマとは違って、具体的な群れの形をもっていないと言われている。 若い雄は小数が集まってグループをつくっているが、成獣の雄は普段は単独で生活していて、サバンナシマウマのように1頭の雄を中心としたハーレム的な群れを維持するのではなく、雌雄共にしばしばメンバーが入れ替わると言われている。 成熟した雄は、生息環境や食糧事情などによって変化するが、2~12平方km程の縄張りをもち、平均すると6平方km程の縄張りをもつと言われている。 若い雄は数頭ほどで生活していて縄張りをもたないが、縄張りをもつ雄は糞などでマーキングして縄張りを主張する。 縄張りの中には水場があることが多く、縄張りをもたない若い雄や雌は広範囲で採餌し、乾季には水を求めて移動したりするが、十分な水源を縄張り内にもっている雄は、1年を通して留まっている。 しかし、縄張りをもつ雄は、繁殖期に雌がやってくるまでは単独で生活していることが多いが、繁殖期以外に別の雄が一時的に縄張り内に入ってきても、特に攻撃するようなことはない。 他のシマウマと同様、草食性で、日中は休んでいて主に朝夕に草類を求めて活動するが、グレビーシマウマは低木の葉なども食べ、ウシなどが食べない様々な植物を消化して食べることができる。 水は毎日飲み、水源からあまり離れることはなく、サバンナシマウマなどよりも頻繁に水のあるところへ移動すると言われている。 5日から1週間程の間は水を飲まなくても生きていけるが、子どもをもつ授乳中の雌は、少なくとも 1日おきには水を飲まなければならないとも言われている。 また、グレビーシマウマは嗅覚が鋭く、乾期の時期にも地下の水脈を嗅ぎ分け、土を掘り起こして水を飲むことが観察されている。 転げまわって砂浴びや泥浴びをする習性があるが、これは寄生虫などを取り除くために行われていて、樹木や岩などに体を擦りつけたりもする。 グレビーシマウマは視覚、聴覚にも優れていて、ライオンやチーター、ヒョウやシマハイエナ、リカオンなどの外敵を探し出すこともはやい。 体の縞模様は保護色の役目を果たしていて、特に背の高い草むらの中にいるときや夜間は見つけるのが難しくなるが、近くに仲間がいるときなどは、互い集まって一時的な群れをつくることもある。 数頭も集まると個々のシマウマが分かりづらくなり、実際に2~3頭も集まると輪郭もぼやけてしまうのが動物園などでも観察できる。 外敵から逃れる時はジグザグに走って逃げるが、走るのは速く、時速65km程で走ることができると言われている。 持久力もあり、かなりの距離を走り続けることができる。 グレビーシマウマの繁殖・寿命 繁殖期は7~10月に多く見られるが、グレビーシマウマは一年を通して繁殖し、決まった繁殖期は見られない。 また、繁殖は一夫多妻で行われるが、雌も違う雄と交尾することが観察されている。 繁殖は、発情期の雌が縄張りをもつ雄のところを訪れることで行われるが、主に子どもを連れた雌が訪れる。 これは、縄張りをもつ優位な雄は、縄張り内に水源をもっている為と考えられていて、縄張り内に水源をもたない劣位の雄のところには、主に子どもをもたない雌が訪れると言われている。 雌の妊娠期間は約13ヶ月程で、ふつうは1産1子を出産する。 出産はやや離れたところで行われ、雌は横たわって出産する。 生まれた子どもは、15~20分程で歩くことができるようになり、1時間もすると走りはじめることができる。 授乳期間は6~9ヵ月程続くが、子どもは離乳後も親と一緒に生活している。 その間の世話のほとんどは雌が行い、雄は育児にはあまり関わらないが、出産した雌は長期のあいだ雄の縄張り内に留まっている。 また、子どもをもつ雌は、雄の縄張り内で小さな群れをつくることもある。 子どもが群れから離れていくのは雌のほうが早く、雌は早ければ1年半、雄は3年程度で離れていき、雌は3年、雄は5~6年ほどで性成熟する。 飼育下での寿命は長く、30年のものが知られているが、野生下での寿命は20年程度と言われ、平均すると12~13年程度と考えられている。 グレビーシマウマの保護状況・その他 グレビーシマウマは美しいシマウマだが、成熟した雄は気が荒くなると言われている。 しかし、その美しい毛皮を目的とした乱獲や、近年の開発などによって、生息数は減少している。 現在、グレビーシマウマは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されているが、耕作地や牧草地の拡大による家畜との競合なども心配されている。 尚、グレビーシマウマはグラントシマウマなどのサバンナシマウマとは別属として扱われているが、同属と見られる場合もある。 |
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