チーターは、地上でもっとも速く走ることができる動物としてよく知られているが、チーターはアフリカとアジアに分布している。 しかし、分布域は広いが、現在では分布域は断片化されていて、生息数も減少している。
分布域・生息環境 チーターは、かつてはアフリカ大陸の熱帯雨林とサハラ砂漠を除いて広く分布し、更にはパレスチナやアラビア半島からインド中部辺りまで分布していて、さまざまな環境に生息していた。 しかし、現在のアフリカでは、アルジェリアやマリ、ブルキナファソ、ベナン、ニジェール、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、ウガンダ、ケニア、タンザニア、ザンビア、アンゴラ、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、モザンビーク、南アフリカなど、北アフリカから東・南アフリカにかけて分布しているが、分布域は断片化してしまっている。 地域的に絶滅してしまったところも多く、アジアではイランだけに分布する状況になってしまっている。 大きさ・形態 チーターは雄の方が体が大きいが、平均すると体長115~150cm程度、体重は30~70kg程度で、ライオンやトラなどと比べると、体の大きさはかなり小さい。 全体にほっそりとした体つきで、頭部は体に対して小さくて丸く、耳も短い。 四肢は長く、筋肉はよく発達していて、胸は深いが張り出している。 毛は短く、毛色は黄褐色や灰色がかった白色などで、腹部は白っぽいが、黒い斑が全身に見られる。 一見したところヒョウに似た感じがするが、ヒョウの斑紋は梅花状だが、チーターの斑は黒い斑が散らばっているだけで、腹部にもこの斑がある。 また、肩高は70~90cm程でヒョウよりも背が高いが、ずっと細身で、四肢も細くて長い。 尾は長くて黒い斑があり、先は黒いリング状になっているほか、チーターには目から口かけてはっきりとした黒い筋があり、首のまわりと肩の毛は、わずかにたてがみ状になっている。 また、爪は他のほとんどのネコ科の動物とは違って、完全に引っ込めることができない。 生態・生活 チーターは半砂漠地帯やサバンナ、藪地や森林地帯など、さまざまな環境に生息している。 低地から標高2000~3000m、時には4000m程の高地にも現れ、集落の近くでも姿を見せることがある。 しかし、植物が密に繁茂する熱帯雨林などでは見られない。 これは狩りとの関係があると考えられていて、開けてはいるが、身を隠すような藪や低木があるような環境を好むとされている。 単独や家族単位で生活しているが、時には血縁関係にある小さな群れでいることも見られる。 チーターは主に日中に活動するが、これはライオンやトラなど、多くのネコ科の動物が夜間に活動するのとは対照的で、チーターは早朝や夕暮れ時に活発に活動する。 一部の地域や時には夜間も活動することがあるが、日中に活動するのは、ライオンやトラなどとの競合を避け、捕食を避けるためでもあると考えられている。 また、一部のものの行動範囲は50〜130平方km程度であると言われているが、雄は縄張りをもった生活をしている。 しかし、尿などで臭いを付けて縄張りを主張するが、その主張は緩やかで、他の雄と互いにつながりを持っているとも言われている。 一方、雌の行動範囲は他の雌の行動範囲と重複しているが、臭い付けをするものの、縄張りはもたないと考えられている。 主にインパラやトムソンガゼルなどの中型の草食動物をとらえ、インドに生息していたものも、ブラックバックなどの中型の草食動物を獲物にしていたと言われている。 しかし、時には体の大きいオグロヌーなどをとらえることもあり、獲物が少ないときなどは、ウサギや囓歯類などの小動物、鳥なども食べる。 狩りは単独かつがい、家族単位などで行うが、一度狙いをつけた獲物は、近くにほかのものがいても、狙ったものだけを追いかける。 チーターは走るのに適した体をしていて、時速80~110km程の速さで走ることができると言われていて、跳び出してからすぐに最高速度に達して、獲物を倒す。 この速さは長くは続かず、数百m以上は維持することできないが、時には獲物を5km程も追いかけることがある。 もっとも、この時の速度はゆっくりとしたものだが、チーターは全速力で走っていても、ほとんどその場に止まれるほどの制動力をもっている。 また、チーターの平均した最高速度は時速64km程度とも言われている。 チーターが獲物を襲う場合、ふつうは茂みや低木に隠れるようにして、獲物から70~100m程のところまで近づき、一気に跳びだして、他のネコ科のように前足でとらえ、喉を噛んでしとめる。 また、身を隠さずにブラブラと歩いているかと思うと、狙いをつけたものに突然襲いかかるというようなこともあるが、いずれの場合も、獲物から200m以上離れているとしばしば逃げられてしまい、狩りは失敗に終わってしまう。 ガゼルなども時速80km程で走ることができるので、狩りの成功率は50%程度と言われている。 乾燥には強く、水は4日に一度、時には10日に一度くらいしか飲まないと言われている。 また、チーターは地上で生活しているが、時々樹木に登ることも観察されている。 繁殖・寿命 チーターには決まった繁殖期はなく、1年を通して繁殖する。 雌雄共に複数のものと交配するとも言われていて、雌は妊娠期間3ヶ月、90~95日程で、1産1~8子、ふつうは2~5子で、平均すると2~3頭を出産する。 出産は草むらや藪の中などで行われ、生まれたばかりの子どもの体重は250~300g程で、体長は30cm程度。 飼育下のものは体重が450g程に達するものも見られるが、いずれにしても目は閉じていて、歩くようなことはできない。 母親は、子どもが外敵に襲われないよう数日ごとに巣の場所を変え、1頭ずつ口に咥えて移動させる。 目は生後4~11日程で開き、その後、2週間ほどで歩くことができるようになる。 子どもは長くても半年ほどで離乳するが、その間、育児は雌だけで行われる。 また、単独で生活しているチーターの成獣は、2~5日ごとに狩りをすると言われているが、子どもを育てている雌は、子どもの為に毎日狩りをしなければならないとも言われている。 狩りの間、子どもを残していくこともあるが、その時は、背の高い植物などで子どもを隠すようにしている。 子どもは、生後3ヶ月ころまでは首から肩、背中にかけては灰色や濃灰色、青味がかった灰色などのタテガミ状の毛がよく目立つが、これは捕食者から身を守ることに役立っていると考えられている。 離乳した後も、15~17ヶ月ほどの間は母親に近くで生活しているが、この頃は子どもたちだけの群れをつくっている。 雌雄共に1年半から2年程で性成熟し、この頃には親から離れて独立していく。 飼育下での寿命は16年を超えたものが知られているが、野性での寿命は8~12年程度と考えられている。 しかし、チーターは頻繁に移動することもあり、野生下での寿命は推定するのが難しいとされている。 特に雄では難しく、野生下では6~8年程度とも言われている。 また、雄は単独で生活するものよりも、互いに緩やかな繋がりを持っているものの方が寿命が長い傾向があり、雄よりも雌の方が長いとも言われている。 外敵はライオンやヒョウ、ブチハイエナなどで、主に子どもが襲われる。 時に成獣が襲われることもあるが、ほとんどは逃げ切ることができる。 保護状況・その他 かつて、チーターはパレスチナやアラビア半島からインド中部、更にアフリカ大陸の熱帯雨林とサハラ砂漠を除いて広く分布し、さまざまな環境に生息していた。 性質は温順で、古くは飼い馴らしたものを狩猟に用いることがあったとも言われているが、毛皮などを目的とした狩猟や入植者による害獣としての狩猟、開発などによる生息地の減少などにより生息数も減少し、現在では多くの国で地域的に絶滅していて、分布域も分断化されている。 現在、チーターは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、レッドリストに絶滅危惧種(VU)として指定されているが、亜種によっては、もっとも絶滅の恐れがあるCNに指定される状況になってしまっている。 尚、チーターには、概ね次の亜種が知られている。
このほか、アフリカ東部に分布する一部のものをA. j. fearsoniとして別亜種とする場合や、アフリカに分布するものとアジアに分布するものとの2亜種とする場合などもある 。 また、かつては別種と考えられていたキングチーターと呼ばれるものは、遺伝子の突然変異によって体の斑が異なっているもので、チーターと同種である。 写真、右下のものはキングチーター。 |
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