ブラックバック

ブラックバック (インドレイヨウ)さんのプロフィール


動物図鑑・ブラックバック

ブラックバック (インドレイヨウ)

偶蹄目・ウシ科
学 名 Antilope cervicapra
英 名 Blackbuck
分布域 インドやネパール、パキスタンなど
生息環境 草原や森林地帯など
体 長 100~150cm 程度
尾 長 10~17cm 程度
体 重 25~50kg 程度

ブラックバックは別名・インドレイヨウとも呼ばれるウシ科の動物で、群れをつくって生活している。
名前のように、雄の背側は黒く、角も雄だけがもっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ブラックバックの分布域・生息環境
ブラックバックはパキスタンやインド、ネパールやバングラディシュなどに分布していて、主に草原地帯に生息しているが、半砂漠地帯や乾燥した落葉広葉樹林などの森林地帯でも見られる。

しかし、パキスタンやバングラディシュでは既に見られなくなっていると言われている。


ブラックバックの大きさ・形態
ブラックバックの平均した体長は120cm程で、70cm程の肩高があるが、二ホンジカよりは小さい。

また、体重は雄で25~55kg、平均すると38kg程だが、雌では20~35kg、平均すると27kgほどで、体は雄の方が大きい。

ブラックバックは美しいレイヨウで、その名の通り背面が黒く、腹部や四肢の内側、目の周りなどは白い色をしている。
但し、背側が黒いのは成熟した雄で、雌や若いものでは、雄の黒い部分が黄褐色や茶色で明るい色をしている。

また、雄の背側も、雄同士の争いで敗れたものは徐々に毛色が薄くなり、若いものの毛色に近づくとも言われている。

毛色の違いの他、角は雄のみにあるので、遠くからでも雌雄の判別は容易にできるが、雄の角は長さ45~70cm程で真っ直ぐと伸びている。
この角はコルクの栓抜きのようにねじ曲がっていて、極めて特徴的な形をしている。


ブラックバックの生態・生活

ブラックバックは草原や藪地などに多く見られるが、半砂漠地帯や乾燥した森林地帯にも生息している。

普段は5~50頭程度の群れをつくって生活しているが、時に百頭を超す大きな群れをつくることがある。

少数の群れでは、普通は1頭の雄によって複数の雌とその子ども達が率いられているが、若い雄だけの群れや、雌とその子どもからなる群れなども見られる。

また、大きな群れでは何頭かの雄によって率いられているが、群れが大きくなりすぎると分散し、夏の暑い時期にも群れは小さくなると言われている。

雄は縄張りを示すために尿などで臭いをつける習性があるが、ブラックバックは眼下部にある臭腺(眼下腺)が発達していて、ここからの分泌物でも臭いをつけてマーキングする。

草食性で主に草類を食べるが、木の葉や果実などのほか、耕作地で穀類などを食べることもある。

昼間に活動し、採食も日中に行うが、午後の日差しの強いときなどは木陰などで休んでいることが多い。
また、水は毎日飲む言われていて、河川や湖沼など、水源のある地域を好む傾向がある。

ブラックバックは警戒心の強い動物で、常に周囲に注意を払っていて、人などが近寄るとすぐに逃げてしまう。
特に雌の群れを率いている雄は注意深いが、この様子は動物園などでも同じで、人の姿を見るとすぐ遠くに行ってしまう。

外敵はヒョウオオカミドールなどだが、ブラックバックはかなりの速度で走ることができ、外敵に襲われたときなどは、高く跳躍しながら走って逃げる。

かつては地域的に絶滅してしまったチーターが最大の外敵だったと考えられているが、走る速度は時速80km程にもなると言われていて、1km以上も走って逃げきっていたと言われている。

また、ブラックバックは持久力にも優れ、かなりの距離を走り続けることができ、時速60kmの速度で20kmほどもを走ることができるとも言われている。


ブラックバックの繁殖・寿命

ブラックバックには決まった繁殖期は見られないが、繁殖は3~4月と8~10月の間に多く見られる。
一夫多妻で、この時期の雄は縄張り意識が強くなり、ほかの雄と争うこともある。

雌の妊娠期間は5~6ヶ月程で、1産1~2子、多くは1子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は3.5~4kg程で、生後ほどなく走ることができる。

子どもは2ヵ月ほどの授乳期間があり、雌は早ければ8ヵ月ほどで成熟するが、1年半ほどで完全に成熟する。
雄は雌よりも遅く、2~3年ほどで成熟し、3年を過ぎる頃には背側の色も特に暗い色になっている。

野生下の寿命は10~15年ほどだが、飼育下ではこれよりも長く、20年を超えるものも知られている。


ブラックバックの保護状況・その他

かつては数百頭の群れを成すこともあったブラックバックも、開発による生息地の減少や、食用や角を目的とした乱獲などにより、一時は個体数が激減した時期があった。

主な外敵だったインドチーターは既に絶滅してしまっているが、ブラックバックもかつてはバングラディシュでも見られたが、この地域では絶滅してしまっている。

そのような状況下、ブラックバックは近年まで国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、準絶滅危惧種(NT)としてレッドリストに指定されていた。

その後、保護活動が行われ、多くの保護地域で生息数の増加が見られ、現在の保存状況評価では最小懸念(LC)に下げられている。

しかし、パキスタンのものも地域的に絶滅しているとも言われていて、今後の生息数の動向によっては、更なる保護も必要と言われている。

尚、ブラックバックには次の2亜種がいるとされているが、別種であるとも考えられている。

Antilope cervicapra cervicapra
インド南部や東部、中央部などに分布する基亜種

A. c. rajputanae
インド北西部など

このほか、ブラックバックはアルゼンチンやアメリカ合衆国に移入されている。

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