ドールはカザフスタン東部からパキスタン、インド、ネパールを経て東南アジアのインドネシア、ロシア南東部、中国、朝鮮半島などに幅広く分布しているイヌ科の動物で、幾つかの亜種に別けられている。 中型のオオカミのような体つきで、赤褐色や黄褐色の毛色をしているので、別名をアカオオカミとも呼ばれることがある。 口の下から胸や腹部、四肢の内側などは淡褐色で白っぽいが、ドールは分布域が広い為、寒いところのものは暑いところのものに比べて、毛は長くて深い。 また、雄の方が体は大きいが、オオカミに比べてドールの四肢は短く、全体にがっしりとした感じがする。 耳の先は丸く、鼻面は太くて短い。 また、尾はキツネのようにふさふさとしていて、ふつうは先の方は黒っぽい。 山地や森林、岩場の多い地域など、様々な環境で生活しているが、ドールは垂直方向の生息域も広く、チベットなどでは標高5,000mを超えるところにも現れる。 また、寒いところに生息しているものは、冬期には雪の少ないところに移動する。 ドールは主に昼間に活動するが、時には夜間も活動する。 普段は数頭から10頭ほどの群れで生活しているが、時には群同士が集まって30~40頭ほどの群れをなすことがある。 ほとんど肉食性で、ウサギやネズミなどの小動物のほか、群れでアナグマやシカ、マーコール、イノシシなどを倒したりする。 また、爬虫類や昆虫、果実、トラなどが残した死肉なども食べるが、ドールは性質が荒く、スイギュウやガウルなどの大型動物も襲ったりするほか、トラやヒョウ、クマなどを追い払い、獲物を奪い取ったりもする。 嗅覚は鋭く、獲物を追いかける持久力もあり、狙った獲物は何処までも追いかけて行き、最後には獲物を倒してしまう。 また、狩りをはじめる前や狩りが失敗した時には、互いに鳴き声をあげてコミュニケーションを取るようにしている。 行動範囲は地域や食糧事情などによって大きく変わるが、ドールは指の間と肛門部に臭腺があり、臭いをつけたり排便などによって縄張りを主張している。 巣は岩の間などの自然の地形を利用したり、地面を掘ったりするが、ヤマアラシなどが掘った穴なども利用する。 中には30m程の長さのものもあり、巣穴には幾つかの部屋と出口が設けられている。 妊娠期間60~67日前後で、ふつうは1産2~6子、乳頭はイヌ属の4~5対に対して、6~8対ある。 繁殖期は地域によって差があるが、インドでは9~1月頃で、出産は11~3月頃に見られる。 生まれたばかりの子どもは体重200~350g程で、目は閉じている。 2週間ほどで目は開き、2ヶ月程は授乳される。 数頭の雌が協同で子を育てることがあり、子どもは7~8ヵ月で狩に参加するようになる。 1年程で成熟し、寿命は野生で10年程度、飼育下で15年程度と考えられている。 この他、ドールは10亜種ほどに別けられることがあるが、次の3亜種は広く認識されている。
尚、幼獣はワシなどの猛禽類に襲われることもあるが、近年は開発による生息地の減少やそれに伴う草食動物の減少、狩猟などによって、ドールの生息数は減少しており、現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されている。 イヌ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ドール (アカオオカミ)