マーコール

マーコールさんのプロフィール


動物図鑑・マーコール

マーコール

偶蹄目・ウシ科
学 名 Capra falconeri
英 名 Markhor
分布域 ヒマラヤからカシミール地方など
生息環境 山岳地帯
体 長 110~180cm 程度
尾 長 8~14cm 程度
体 重 雄で80~110kg、雌で25~50kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 準絶滅危惧種 (NT)

マーコールは家畜種のヤギの原種のひとつと言われていて、ヒマラヤやカシミール地方に分布している。
雄の角は特徴的で、平たくねじれていて、コルクの栓抜きの様な形をしている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


マーコールの分布域・生息環境
マーコールはヒマラヤ山脈からその西側に連なるカシミール地方を中心に分布している。

アフガニスタン北東部やインド北部、パキスタンの中部や北部、タジキスタン南部とウズベキスタン南部などに不連続に分布していて、標高600~3500mほどの乾燥した山岳地帯に生息している。


マーコールの大きさ・形態
マーコールは雄の方が体が大きく、雄は体重が80~110kg程もあるが、雌は25~50kg程で、雄に比べるとかなり小さい。

地域によっていくつかの亜種に別けられるが、所謂ヤギのヒゲは雌では短いが、雄の成獣で長ものでは首から胸にまで達し、頭部や肩などの毛も長くなる。

一見すると、外見はムフロンなどに似た感じもするが、ムフロンはヒツジの仲間で、マーコールのようにあごひげなどは見られない。

また、マーコールは雌雄共に角をもっているが、この角は同じウシ科ブラックバックほどではないが、コルクの栓抜きのような特徴的な形をしている。

角の曲がり具合や方向などは亜種によって少し異なるが、マーコールの角は平たくねじれているのが特徴で、雌では25cm程の長さだが、雄では大きく、長いものでは160cm程にもなる見事なものである。

また、雌の角は雄の角ほど大きくて丈夫ではないため、角突きなどで折れたりして、しばしば歪な形に伸びることがある。

毛色は、夏季には茶色や赤褐色で短く、冬期には灰色を帯びて長くなるが、腹部は白っぽい。
しかし、毛色にも変化があり、暗褐色やほとんど黒いものも見られる。


マーコールの生態・生活

マーコールは標高600~3500m程の乾燥した山岳地帯に生息し、低木林や森林の間にある岩場や草原などで生活している。

群れをつくって生活しているが、成熟した雄は繁殖期以外は単独で生活している。

群れの大きさは10頭ほどで、群れの中では雌とその子どもたちが多いが、成獣の雄も含むまれている。
また、冬にはやや大きな群れになり、30頭ほどの群れをつくることもある。

マーコールは早朝や夕方に活発に行動すると言われているが、大部分は日中もよく活動する。
反芻をして休んでいるときもあるが、その時間を含めると、1日の内12~14時間ほどは採食に時間を費やしていると言われている。

草食性で、夏場は高所で主に草類を食べ、食物の少ない冬場は低地へ移動し、コケ類や木の根、枝なども食べる。

外敵はユキヒョウオオカミヒマラヤグマ(ツキノワグマ)やオオヤマネコなどだが、マーコールは視覚と嗅覚に優れ、外敵を遠くからでも見つけることができる。
危険を感じると急峻な岩などを巧みに駆け上がり、外敵から遠く離れて身を守る。


マーコールの繁殖・寿命

マーコールの繁殖期は秋から冬にかけて見られ、繁殖は一夫多妻で行われる。
この時期の雄は角を打ち合うなどして、雌をめぐって激しく争う様子が観察される。

雌は妊娠期間135~170日、平均150日程で、1産1~3子、ふつうは1~2子を出産する。
出産は浅い窪みなどで行われ、子どもは生後すぐに歩くことができる。

子どもは5~6ヶ月で離乳し、雌は早いもので18ヵ月、遅いものでも30ヵ月程で性成熟するが、この頃までは親と一緒に生活している。
また、雄は雌よりは少し遅く、3年程で性成熟する。

雌雄共に詳しい寿命は分かっていないが、野生での寿命は11~13年程度と言われている。


マーコールの保護状況・その他

マーコールは家畜種のヤギの原種のひとつと言われていて、かつては生息数も多かったが、珍しい形の角を目的とした乱獲や、家畜ヤギの放牧地の拡大などで、生息数はかなり減少している。

一時、マーコールは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されていたが、保護活動などにより生息数はやや回復している。

しかし、生息地が分断されていることなどもあり、現在も準絶滅危惧種(NT)として指定されていて、今後の個体数の減少が心配されている。

このほか、マーコールには主に角の形の違いから次の亜種が認識されているが、他にも亜種があるとも言われている。

Capra falconeri falconeri (Astore markhor)
カシミール東部に分布する基亜種

C. f. heptneri (Bukharan markhor)
タジキスタンやウズベキスタン、トルクメニスタン

C. f. megaceros (Kabul markhor)
アフガニスタン、パキスタン

C. f. cashmiriensis (Kashmir markhor)
カシミール西部

C. f. jerdoni (Suleiman markhor)
パキスタン中西部

また、「マーコール」という呼称は、ペルシャ語の「mar」と「khor」(「蛇を食べる動物」というような意)、或いはパシュトー語の「mar」と「akhur」(「蛇の角」というような意)が由来と言われていて、マーコールの角がねじれ曲がっている様子から、多くは後者の意味が支持されている。

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