ヒョウの仲間はさまざまな環境に適応して広い範囲に分布しているが、ユキヒョウはチベット高原を中心にして、ネパールやインド北部、パキスタン北部、アフガニスタン東部からタジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスなどの中央アジアやモンゴル西部にかけての高山地帯に見られるほか、バイカル湖南部のロシアや中国南西部などにも分布している。 毛色は淡い灰色からクリーム色、黄色を帯びた灰色や、やや青っぽい灰色まで見られるが、腹部は白っぽい。 毛は高山地帯に生息しているので、長くて厚くなっている。 足の裏にも毛が生えていて、防寒のほか、雪中での歩行にも役立っている。 ユキヒョウの頭部や首、四肢などには黒い斑点があるが、背中から脇にかけては梅花状の斑紋になっている。 また、尾も長くて斑紋がある。 鼻面は短く、前頭部が盛り上がっているのが特徴的である。 ユキヒョウは夏期には3,500~6,000m近い高地に棲んでいて、植物限界線よりも高いところにいるが、冬期は獲物の移動とともに1,800~1,200mくらいまで降りてくる。 山岳地帯の岩穴や岩の割れ目などを棲みかとしているが、ユキヒョウは獲物の少ない高山地帯に生息しているため行動範囲が広く、その行動範囲の中に幾つかの棲みかをもっている。 ネパールでの行動範囲は12~40k㎡程度と言われているが、行動圏には尿や爪あとなどでマーキングをし、およそ一週間程度をかけてまわっていると考えられている。 また、行動範囲は地域や食糧事情などによって大きく変化し、獲物の少ない地域での行動範囲は更に拡大し、1,000k㎡あたりの生息密度は5頭程度とも言われている。 普段は単独で生活しているが、昼間は岩穴などにひそんでいることが多く、夜間になると活動をはじめる。 早朝や夕方には特に活発に活動し、バーラルやマーコールといった野性のヒツジやヤギ、イノシシ、囓歯類、鳥などを捕食するほか、時には家畜のヤギなどもとらえる。 他のヒョウの仲間と同様、ユキヒョウは優れた運動能力を持ち、跳躍力にもすぐれている。 ユキヒョウは毛が厚いために重そうに見えるが、ひと跳びで15mの距離を飛び越えた記録が知られている。 この跳躍力を活かし、獲物を離れた場所から跳びかかって倒すことができるほか、力も強い。 ところで、ユキヒョウはトラのような大型のネコ科のように吠えることはない。 ひとつは舌の構造によるもので、ウンピョウのように、舌を動かす時に重要な舌骨がユキヒョウはかなり固定されている。 しかし全く吠えないという訳でなく、咆哮はしないが、ユキヒョウはいくつかの鳴き声を上げることができる。 繁殖期は12~3月頃で、この時期は雌雄が一緒に行動し、狩なども一緒に行う。 妊娠期間は93~103日程で、およそ100日前後で1産1~5子、ふつうは2子、または3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は300~500g程だが、既に厚い毛が生えている。 1週間から10日程で目が開くが、出産と育児は雌だけが行う。 子どもは2ヵ月頃から固形物を食べはじめるが、長ければ半年ほどは授乳も行われる。 雌雄共に2年を超える頃には性成熟し、独立していく。 飼育下での寿命は20年を超えるものも知られているが、野性下での寿命は15年程度と言われている。 近年ヒョウの仲間は減少傾向にあるが、ユキヒョウもまた生息数が減少していて、現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種(EN)の保護動物として指定されている。 尚、ユキヒョウは2亜種に分類されるような場合もある。 ・Uncia uncia uncia ロシアやモンゴルなどに分布 ・Uncia uncia uncioides 中国西部からヒマラヤ山系に分布 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ユキヒョウ