ウンピョウはインド北東部からネパール、ブータンなどのヒマラヤ南部、ミャンマーからベトナム、マレー半島などの東南アジアと中国南部などに分布している。 常緑の深い森林地帯に生息しているが、二次林や草地、マングローブの生える湿地や乾燥した熱帯林、沿岸の広葉樹林などにも生息していて、平地だけでなく、標高2500~3000m程の高地の森林にも姿を見せる。 ヒョウの仲間の中では体が小さく、胴が長くて足は短い。 毛色は暗い灰色から黄褐色で、雲形の大きな黒い斑が不規則にあって、全体に美しい動物である。 腹部は白く、斑紋はないが、尾は体長と同じくらい長くて、不規則なリング状の斑がある。 顎はがっしりとしていて、ウンピョウの犬歯はネコ科の中でもっとも長い。 また、ウンピョウはユキヒョウと同じように、大型のネコ科と小型のネコ科の間に位置しているが、ウンピョウは吠えることが出来ない。 これはウンピョウの舌の構造によるもので、舌を動かす時に重要な舌骨がウンピョウとユキヒョウはかなり固定されていることによる。 人前にはほとんど姿を見せないことから、野生での生態や行動などはあまり知られていない。 野生ではおそらく単独で生活していて、木の上でカニクイザルやスローロリスなどのサル類や鳥などを捕らえるほか、地上の獲物を木の上から跳びついて倒したりすることから、主として樹上性と言われている。 しかし、シカやイノシシなどを地上で捕らえることもあるし、ヤマアラシやスイギュウの子どもなどを襲うこともあり、多くの時間を地上で行動することに費やしていて、考えられているほど樹上性が強いというわけでもないと考えられている。 また、人に姿を見せないことから夜行性であると言われているが、ウンピョウは昼間もよく活動するとも言われている。 このような観測は、ひとつはあまり姿を現さないことによるが、ウンピョウはヒョウやトラなどと競合するため、これらとの接触を避ける為や、獲物の数や種類などによって狩の方法を変えるなど、様々な生活行動をとっていることによるとも考えられている。 行動範囲は生息環境などによって異なるが、雄では30~50k㎡程で、雌ではこれよりも狭いと言われている。 人と出会っても向かってくるようなことは滅多にないが、希にヤギなどの家畜を狙って村などにも現れることもある。 また、ウンピョウは木登りもうまいが、泳ぎもかなりうまく、魚なども捕らえたりする。 ウンピョウの野生での繁殖行動もほとんど分からず、知られているものは飼育下によるものがほぼ全てとなっている。 交配は飼育下では12~3月頃に多いとも言われているが、地域によって様々で、熱帯域の野生では一年を通じて繁殖が可能と言われている。 妊娠期間は88~95日前後で、1産1~5子、ふつうは2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は140~280g、平均170g程で、育児は雌が行う。 子どもは20日程で歩くようになり、早ければ6週目には木に登りはじめる。 4~5ヵ月程で離乳し、10ヵ月を過ぎることには独立し、2年ほどで性成熟すると言われている。 また、野生ではおそらく一夫一婦ではないとも考えられている。 飼育下での寿命は17年の記録があるが、平均すると13~15年程度と言われ、野生では11年程度ではないかと考えられている。 美しい毛皮を目的とした乱獲や、近年では農地の拡大などによってウンピョウの生息数は減少していて、海南島などでは既に絶滅し、ボルネオでも滅多に見つけることが出来ない状況になっているほか、台湾のものも絶滅したと考えられている。 現在、ウンピョウには3亜種が知られているが、いずれも生息数は減少している。 ・Neofelis nebulosa nebulosa (中国南部からミャンマー東部など) ・N.n. macrosceloides (ミャンマーからネパールなど) ・N.n. brachyura (台湾に分布するとされているが、現在は絶滅したと考えられている) 尚、ウンピョウは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、レッドリストに絶滅危惧種(VU)としてに指定されているが、東南アジアでは生息地も分断されていて、更なる個体数の減少も懸念されている。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ウンピョウ