カニクイザルは、ミャンマーからベトナム、マレー半島、フィリピン、インドネシアなどに広く分布しているオナガザル科のサルで、島嶼部のパラオやサモア、モーリシャスなどにも人為的に移入されている。 ニホンザルやブタオザルなどと同じマカク属であるが、体つきはニホンザルよりもずっと細っそりとしている。 また、尾はかなり長いので、単に「オナガザル」と呼ばれることもある。 この尾は体長よりも長いが、樹上でのバランスを取ったりするのに役立っている。 カニクイザルには多くの亜種があるほか、個体差もあって、毛色は灰褐色、褐色、黄褐色などと変化がある。 顔は黒っぽいものや赤っぽいものもいるが、普通は頭部に暗色の冠毛があり、頭頂の毛が立ったようなものも多く、まぶたや目のまわりは白い。 頬には頬袋があり、食べ物を一時の間蓄えておくことができる。 他のマカク属の仲間と同様、社会構造をもち、普通は数頭の雄の群れと、2~5頭の雄と10~15頭程度の雌の群れからなる20~50頭程の群れをなして生活している。 行動範囲は1.25k㎡程とも言われているが、群れの大きさや食糧事情などによって変化する。 地上・樹上共に活発に動くが、樹上では長い尾でうまくバランスを取って、5m程の距離を跳躍することが出来る。 低地から標高2000m程の高地まで姿が見られ、森林や二次林などに生息しているが、多くは河川や湖などの水辺近くの森林や海辺、マングローブの茂る湿地帯などを好んで生息している。 しかし、海や河川などから遠く離れることはないが 環境にもよく適応し、人の住む町や村などにも生息していて、中にはボンネットモンキーのように寺院などに住みついているものもいる。 また、カニクイザルは木登りだけでなく、泳ぎもかなりうまい。 これは捕食者避けるためとも考えられているが、河川や海岸の浅瀬などで泳いでいたりもする。 カニクイザルは、名前のように、カニなどの甲殻類も食べるが、多くは果実を中心して木の実や木の根、キノコ、穀類などを食べる。 また、雑食性であるので、昆虫や鳥類、魚や貝なども食べたりする。 ところで、カニクイザルは人などの髪の毛を使って、デンタルフロスのように歯の間にはさまった食物の残りを取り省くといった行動をすることが知られている。 これは、チンパンジーなどが道具を使うことに似ていてるが、親がこの歯磨き行動を子どもに教えようとすることも観察されていて、カニクイザルは知能も高い。 性質も荒くないが、成獣の雄には大きな犬歯があるので危険である。 外敵はトラやヒョウ、ウンピョウなどのほか、イリエワニやシャムワニやなどの大型の爬虫類や、時にはワシなどに襲われることもある。 出産は5~7月頃に多く見られる。 妊娠期間は162日~193日と言われているが、およそ半年ほどで、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重320~350g程で、体毛は黒っぽい。 生後3ヶ月を過ぎることから親と同じような毛色に変わり、1年ほどは授乳される。 雄で6年、雌では4年程で性成熟し、寿命は15年程度、飼育下では30年近く生きるとも言われている。 カニクイザルはアカゲザルと同様、ポリオワクチンをはじめ、さまざまな医学用実験動物として用いられているが、生息域が人の生活圏と重なる所があるほか、逃げ出したものなどが野生化して、地域によっては農作物の被害も出ている。 国内でも特定外来生物に指定されていて、無許可の飼育などは禁じられている。 オナガザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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カニクイザル