ブタオザルはバングラデシュ東部からインド北東部などを経て、ミャンマーからベトナムに至るインドシナ、マレー半島、インドネシアのボルネオ島やスマトラ島などの東南アジアに広く分布しているオナガザル科のサルで、地域によって体格や毛色などに多少の変化がある。 大きく別けるとミャンマーのエーヤワディー川(イラワジ川)上流やアラカン山脈に分布する北方系のものと、ミャンマー南部からマレー半島、スマトラやボルネオなどに分布する南方系のものに別けられるが、いずれに分布しているものも、半ば裸出したブタのような細い尾をもっていることから、名前が付けられている。 大きさはニホンザルと同じくらいだが、体は雄の方が大きい。 四肢は比較的長くて、それぞれに5本の指がある。 爪はすべて平爪で、親指は他の指と対向していて、物をつかむことが出来る。 また、目の上の眉の部分は突き出ているほか、頬袋があり、食べ物を一時のあいだ蓄えておくことが出来る。 毛色は褐色や赤褐色などで、腹側は淡い。 頭頂部には渦巻状の短くて黒っぽい毛があり、顔のまわりや首や、胸辺りの毛などは長い。 北方に分布しているものは比較的毛が長く、尾や顔にも毛が生えていて、体もやや大きいが、南方のものは顔や耳、尾には毛が生えておらず、体も小さい。 ブタオザルは低地から標高2000m位までの熱帯雨林や沼地などのある湿った森林地帯に生息し、樹上生活と地上生活を半々ほどで営んでいる。 昼間に活動し、普段は15~40頭程度の群れで生活しているが、時にはかなりの数の群れをなすことがある。 行動範囲は0.6~8k㎡と、食糧事情や群れの大きさなどによって幅がある。 これらの行動範囲は他のグループと重なっていることが多いが、特に縄張りを主張するようなことはないと言われている。 雑食性で、果実を中心に木の葉、木の芽、キノコ、穀類などのほか昆虫なども食べるが、主に植物質のものを好んで食べる。 性格は比較的温順なので、マレー地方などではブタオザルを飼いならして、ヤシの木などの高い木に上らせて、ヤシやココナツの実を落とさせるようにしているので、別名をヤシザルやココナツモンキーとも呼ばれることがある。 ヤシの実などを獲らせる為に木に登らせるときには、ベルトを巻きロープなどをつけているが、ブタオザルの成熟した雄はがっしりとして力も強くなるので、この目的で飼いならすのは雌か若い雄に限られている。 ブタオザルは一年を通して繁殖し、決まった繁殖期は見られないが、1~5月の間には比較的多いとされている。 妊娠期間は162~186日程で、ふつうは1産1子を出産するが、稀に2子が生まれる。 生まれたばかりの子どもの体重は400~500g程で、1年程は授乳される。 育児は他の雌も手伝うこともあるが、生後1ヶ月ほどの間は、母親は滅多に子どもを離すようなことはない。 1年を過ぎた頃には独立し、雌は3~3年半、雄は4~4年半程で性成熟する。 野生での寿命は20~25年、飼育下では35年を超えるものも知られているが、およそ30年前後と言われている。 外敵はトラやヒョウ、ウンピョウなどの他、大型のヘビなどだが、一番の外敵は人間で、近年は森林の伐採や開発、農地への転用などによって生息地が減少しており、ブタオザルの個体数も減少している。 現在、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されているが、更なる保護も求められている。 オナガザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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ブタオザル
(ヤシザル、ココナツモンキー)