動物図鑑・チンパンジー

チンパンジー

チンパンジーさんのプロフィール


動物図鑑・チンパンジー
動物図鑑・チンパンジー 1動物図鑑・チンパンジー 2動物図鑑・チンパンジー 3動物図鑑・チンパンジー 4
和 名 チンパンジー
分 類 霊長目・ショウジョウ科 (ヒト科)
学 名 Pan troglodytes
英 名 (Common) Chimpanzee
分布域 西・中央アフリカ辺り
生息環境 主に森林地帯
体 長 雄で77~92cm、雌で70~85cm 程度
尾 長 尾はない
体 重 雄で40~70kg、雌で30~50kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)
チンパンジーは動物園などでも人気のある動物で、知能も高く、簡単な道具を使うこともできる。

森林内で群れをつくって生活しているが、近年の開発などによって、生息数は減少している。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


チンパンジーの分布域・生息環境
チンパンジーはセネガルからギニアやガーナ、ナイジェリアなどの西アフリカから、カメルーンやコンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、ウガンダ、タンザニアなどにかけて分布している。

生息地によっていくつかの亜種に別けられているが、サバンナから熱帯雨林、低地の森林や山岳林まで、チンパンジーは様々な環境に生息している。

しかし、近年の開発などによって、分布域内でも地域的に絶滅してしまっているところもあり、生息地は減少している。


チンパンジーの大きさ・特徴

チンパンジーは亜種によってやや大きさが異なるが、体長は60~90cm程で、体は雄の方が大きい。

雄の体重は40~70kg、雌は30~50kg程で、ゴリラオランウータンに比べると小さいが、飼育下の大きい雄では、体重が90kgを超えるものも見られる。

遠くから見ていると小柄に見えるが、立ち上がると1.3~1.7m程になり、チンパンジーは人の身長とほぼ同じくらいの高さがある。

毛色も亜種によって多少の違いがあるが、概ね全身黒色をしていて、3歳くらいまでの幼獣では尻の毛が白くなっている。

顔には毛がなく、成獣では黒いか黒っぽい色をしている。
顎のまわりにはしばしば白い毛が見られ、成長すると目の上がひさしのように張り出してくる。

チンパンジーには、他の類人猿と同様、尾はないが、耳が他のものに比べると大きいのが特徴で、外からでもはっきりと見える。

また、腕は長く、立ち上がると膝下まで達するほど長く、体長の1.5倍ほどの長さがある。
指も長く、親指が他の指と対向しているので、容易に物をつかむこともできる。

口は丸く突き出ているようで、口には人と同じ32本の歯をもっているが、犬歯は長くて牙のようになっている。


チンパンジーの生態・生活

チンパンジーは熱帯雨林などに生息していると思われていることが多いが、生息環境は多様で、サバンナや雑木林などのほか、標高2700m程の高地の森林にも生息している。

チンパンジーは、複数の雌雄とその子どもたちで構成されている数頭から20頭程の群れで生活しているが、群れの数は80~100頭ほどになることもある。

群れの大きさは食糧が豊富なところでは大きくなる傾向があるが、採餌するときなどは数頭ほどのグループに別れて行われる。

また、グループのメンバーはしばしば入れ替わり、群れ全体も入れ替わりがあって、その数も増減する。

群れ全体は幾つかのグループが集まって緩やかに構成されているが、全体はアルファオスと呼ばれるリーダーによって率いられている。

雌雄ともに群れの中での優劣があるが、雌の優劣は雄ほどははっきりとしていない。
しかし、優位な雌の子どもは、母親の地位を引き継ぐとも言われている。

チンパンジーの行動範囲は、群れの数や食糧事情などによって変化するが、森林地帯に生息しているものは5~50平方km、平均すると12平方km程で、サバンナなどの開けた地域に生息しているものは広く、120~160平方km程の範囲があると考えられている。

行動範囲は縄張りにも結び付いているが、チンパンジーは縄張り意識が強く、進入してきたものに対しては激しく攻撃する。

昼間に活動し、ゴリラに比べると樹上性が強いが、移動は地上ですることが多い。

後ろ足を使って二足歩行することはできるが、ふつうに歩くときは前足の指の関節を地面につけ、後ろ足は足裏をつけて移動する。

チンパンジーが立って歩くのは、物を持っている場合や、芸をするなどの特別な場合を省いて、あまり見かけることはない。
しかし、樹上や地上での行動は敏捷で、跳躍力にもすぐれている。

活動は早朝と夕方に特に活発で、果実や木の葉、草の根、樹皮など、植物質のものを主に食べるが、チンパンジーは雑食性で、昆虫やシロアリなどのほか、コウモリリスなどの動物質のものも食べる。

また、小型のレイヨウ類やブラッザゲノンなどのサル類をとらえることも知られているが、力の強いアヌビスヒヒを襲うこともある。

このような動物を襲うときは、うまく連携をとって集団で襲うが、昼間に巣の中に隠れているショウガラゴを、木の枝などを使ってとらえることなども知られている。

夜間は高さ9~12m程の木の上に巣をつくって休むが、巣がつくられる高さは3m程のものから、中には40mを超える高さにつくられているものも見られる。

巣は木の葉や枝を用いてつくられるが、ゴリラなどと同様、この巣は一度しか使わない。

また、母親と幼獣は同じ巣を使うが、他のものはそれぞれがひとつずつ巣をつくるのも、ゴリラやオランウータンに似ている。

チンパンジーは、ほかの類人猿と同様、水に入ることを嫌う習性がある。
オランウータンのように浅いところでも水を嫌い、深みにはまった成獣が溺れた例も知られている。

また、チンパンジーには「子殺し」、あるいは「共食い」の習性があることも知られているが、この習性は、ほかの群れと争った場合、その群れの幼獣を殺して、時にそれを食べてしまうもので、普通は雄が集団になって、他の群れの雄を倒すことが多い。

このような行動はふつうは同じ群れの中では起こらないが、それでも同集団の中でも見られることもあり、チンパンジーには雌雄共にこのような行為が見られる。

同じ群れの中で殺害行為が行われる場合、雌と特に多く交尾する雄が襲われることなどが観察されていて、このような行動は、将来の繁殖の機会を増やす目的で、雄がライバルとなる他の雄を倒す為で、その傾向が種全体に広がったのではないかと考えられている。

また、新たに群れの中に入ってきた雄が、自らの繁殖の機会を増やすために子どもを殺す行為は、カニクイザルなどの霊長類でも観察されている。

このほか、チンパンジーは聴覚、視角にすぐれ、色覚もある。

また、性質は快活で陽気でもあり、わき腹などをくすぐると人と同じような笑いの表情を見せ、声をたてて笑うこともある。

この笑いの表情は、ときどき動物園などでも見ることができるが、この他にも様々な表情や動きを見せる。
但し、チンパンジーの表情は、人と同じように見えても、人とは違った感情を表していることもある。

チンパンジーは人と98パーセント以上のDNAを共有していて、知能も大変高く、道具を使うほか、簡単なものなら道具を作ることもできる。

道具を使うことは、アリ塚に木の枝などを突っ込んでシロアリを追い出して食べたり、石を使って硬い実を割ることなどがよく知られている。

大きな葉を使って水を飲んだり、小型のレイヨウ類をとらえるとには棒切れを使ったりすることも観察されている。

また、チンパンジーは論理的に思考することなどもでき、飼育下で簡単な手話を使うこともできる。

物覚えも良いため、様々な芸なども覚えたりするが、成獣になると力も強く危険な為、芸を演じるのは若いものが使われている。

天敵はヒョウや大型の猛禽類などで、外敵を見つけると大きな声を上げて仲間に知らせるが、相手に石を投げつけることもある。
また、雄の犬歯は強力で、時にはヒョウを撃退することもある。


チンパンジーの繁殖・寿命

チンパンジーには決まった繁殖期は見られず、一年を通して繁殖する。
繁殖形態にも決まったものは見られず、雌雄共に、ふつうは複数のものと交配が行われる。

雌の妊娠期間は202~260日、平均すると230日程で、1産1子、稀に2子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は1.5~2kg程で、顔は肌色で、毛はまばらに生えている。

育児は雌によって行われ、雄が育児に関わるようなことはない。
2週間程で首が据わり、子どもは母親の背中や腹にしがみついて移動するようになる。

チンパンジーの子どもは18ヵ月程で離乳するが、完全に離乳するには3~4年、長ければ4~5年程の期間がある。
この期間までは、子どもはしばしば母親の背中にしがみつく様子が見られる。

雌は10~13年、雄は12~16年程で完全に性成熟するが、その間に、母親は食べ物や巣の作り方、外敵などを避ける方法など、生活に必要なことを教えていく。

また、子どもや若いものは、仲間と毛づくろいや遊んだりすることによって、社会性を身に付けていく。

成熟した後、雄はその後も出生した群れの中に留まることが多い。
一方、雌は性成熟する8~10年頃には群れを離れて、ほかの群れの中に入っていき、しばしば異なる群れの中に入って行く。

チンパンジーの寿命は40~50年程度と考えられているが、野生ではこれよりも短いことが多く、平均すると20年程度とも言われている。
しかし、飼育下での寿命は長く、59年を超えたものが報告されている。


チンパンジーの保護状況・その他

チンパンジーは動物園などでもよく飼育されているほか、知能が高いことから、各種の実験動物としても利用されているが、個体数は減少している。

主な原因は、食用を目的とした狩猟や、近年では森林の開発などによって生息地が減少し、それに伴って個体数も減少している。

現在、チンパンジーは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価で絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定され、国際的に保護されている。

しかし、ペット取引を目的とした密猟なども、以前として行われている。
その場合は、子どもを取り上げるために母親を殺してしまうので、個体数だけではなく、将来の繁殖にも深刻な影響を与えている。

トーゴやブルキナファソ、ベナンなどでは、既に地域的に絶滅したと考えられていて、他の地域でも生息地の分断化が進んでいるので、更なる保護が求められている。

尚、チンパンジーには、次の亜種が確認されている。

Pan troglodytes troglodytes (Central chimpanzee)
カメルーンや中央アフリカ共和国、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国およびコンゴ民主共和国などに分布している。
雄では成長に伴い額部分のはげ上がりが顕著で、ツェゴチンパンジーなどと呼ばれることもある。
P. t. verus (Western chimpanzee)
ギニアやマリ、セネガル、シエラレオネやリベリア、 コートジボワール、ガーナなどに分布していて、マスクチンパンジーと呼ばれることもある。
P. t. ellioti (Pan t. vellerosus / Nigeria-Cameroon chimpanzee)
ナイジェリアやカメルーンに分布。
ナイジェリアチンパンジーなどとも呼ばれることがある。
P. t. schweinfurthii (Eastern chimpanzee)
中央アフリカ共和国や南スーダン、コンゴ民主共和国やウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、ザンビアなどに分布
体毛が比較的長く、ケナガチンパンジーなどと呼ばれることもある

また、ブルンジやルワンダ、タンザニアやウガンダなどに生息しているものを別亜種・P. t. marungensis とする意見もある。

このほか、チンパンジーの仲間(パン属/チンパンジー属)にはコンゴ民主共和国などに分布しているボノボ(ピグミーチンパンジー/Pan paniscus)が知られているが、ボノボも分布域が限られていて、チンパンジーと同様、IUCNのレッドリストに絶滅危惧種(EN)として指定されている。

●チンパンジーの写真ページへ
●ショウジョウ科(ヒト科)の動物へ
●このページの先頭へ
魚類図鑑
昆虫図鑑
鉱物図鑑
星座図鑑
百人一首の風景
百人一首の風景








Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。
今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。
このページの先頭へ