スローロリスは原猿の仲間で、インドのアッサム地方からインドシナ半島、マレー半島、インドネシア、フィリピンなどに広く分布していて、毛色や模様などの違い、体の大きさなどによって幾つかの種に別けられている。 本種はタイからマレー半島、インドネシアのスマトラ島などに分布し、英名ではグレータースローロリス(Greater slow loris)、スンダスローロリス(Sunda slow loris)とも呼ばれている。 国内では単にスローロリスと呼ばれることが多く、体は丸みを帯び、ふわふわとした羊毛状の短い毛が、びっしりと体を包んでいる。 背面は灰褐色から赤褐色、腹部は白色か灰色、ピンクを帯びた灰色、灰褐色などをしている。 首から背中の中央は黒色や暗褐色で、目の周りは黒っぽく、それを囲むように白い毛が生えている。 頭は丸く、大きくて丸い目が特徴的である。 また、額から目の間を通る鼻筋も白く、耳は小さくて、頭にぴったりとくっついている。 尾はきわめて短く、毛に隠れているので、一見して尾がないようにも見える。 四肢には5本の指をもっているが、前足の第二指は短い。 また、後足の第2指だけは鉤爪になっているが、ほかの爪は人と同じ平爪になっている。 本種を含め、スローロリスは完全な夜行性で、昼間は木の洞などで、頭を前足の中に入れて丸くなって眠っている。 夜間はよく動きまわるが、同じ夜行性の動物であるヨザルやガラゴのようにすばやく動くことはなく、動作はゆっくりとしている。 樹間を跳躍して移動するようなことはなく、握力の強い四肢で、木の枝をしっかりと握りながら樹上を移動する。 このゆっくりとした動きはナマケモノ程ではないが、目立たないようにゆっくりと移動することで、外敵から身を守っていると考えられている。 また、行動範囲の樹木には尿などで臭いをつけ、縄張りを主張している。 地上に降りてくることは滅多になく、樹上で生活し、単独での生活を好む習性がある。 主に昆虫類を食べるが、カタツムリやクモ、トカゲなどのほか、果実や木の葉、樹液なども食べ、小型の哺乳類なども食べる。 獲物を捕らえるときは、両足で木や枝をつかんでおいて、素早く両手で捕まえるが、飛んでいる昆虫を捕まえることもある。 大きな目には「輝膜(こうまく)」(タペタムとも)と呼ばれる反射層があり、これによって光を増幅し、夜間でも正確にものを捉えることが出来るようになっている。 性質はおとなしく静かであるが、嫌なことをされたりするとグーグーとうなったり、キィキィと高い声で鳴く。 また、頭をすばやくまわして噛み付こうとすることもある。 決まった繁殖期はなく、一年を通して繁殖し、一夫一婦と考えられている。 妊娠期間は190日前後で、ふつうは1産1子、希に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重50g程で、5~7ヵ月ほど授乳期間がある。 スローロリスの子どもは親と同じぐらいになるまで母親についてまわり、1年半から2年程で性成熟し、この頃には独立する。 飼育下での寿命は20~25年程度だが、野生では10年ぐらいと言われている。 動きがゆっくりとしていることから、スローロリスは別名を「ノロマザル」などと呼ばれたりするが、「ロリス」とはオランダ語で「道化」という意味で、「ドウケザル」などと呼ばれたりすることもある。 スローロリスの外敵は大型のヘビや猛禽類、ウンピョウなどだが、希にボルネオオランウータンがスローロリスの仲間を捕らえることも報告されている。 スローロリスの仲間の分布域は広いが、近年は密猟や森林伐採などによる生息地の減少などから、いずれも生息数が減少している。 現在、グレータースローロリスは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている他、ワシントン条約によっても保護されており、各国政府の許可がない限り国際的な取引は禁止されている。 ロリス科の動物へ / このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
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スローロリス (グレーター、または、スンダスローロリス)