ナマケモノは、大きく別けてフタユビナマケモノとミユビナマケモノが知られているが、いずれも中央アメリカから南アメリカにかけての湿度の高い熱帯雨林に分布している。 頭部は短くて丸く、耳は外からは見えにくいこと、また、前足は後足よりも長いことなどは、いずれの種も共通している。 フタユビナマケモノは、コロンビアとベネズエラの北部のほか、スリナムやブラジル北部、ペルーの北部などの密林地帯に生息し、完全な樹上生活をしている。 体は黄灰色や灰褐色の長い毛で覆われているが、ナマケモノは他の樹上性の動物と違って、体を木の枝にぶら下げて生活している。 この生活形態のため、体毛はほかの哺乳類とは違い、全く逆に生えているほか、野生の成獣ではしばしば苔が生えている。 四肢の先端は細くなって曲がっていて、フタユビナマケモノには前足に2本、後ろ足には3本の指があり、爪はいずれも鉤爪をしている。 この爪は樹の上での生活に適していて、枝から枝に体を移動させるときの鉤の役目を果たしている。 また、歯は終生伸び続け、首は270度もまわすことが出来る。 色覚があり、臭覚もよく発達しているが、聴覚は弱い。 採食から睡眠、交尾、出産までも樹上で行うが、週に一回程度は地上に降りて、排便と排尿を行う。 単独、あるいはペアで行動し、夜行性で、日中は木の枝にぶら下がったり、しがみついたりして眠っている。 1日に15~18時間ほども眠っていると言われていて、夜になると活動をはじめ、木の葉や木の芽、果実などを食べる。 水分なども植物から補給しているが、植物質のほか、昆虫や小動物などを食べることも知られている。 採食する時は前足で食べ物を引き寄せて口に運ぶが、動作は名前の通りきわめてゆっくりとしている。 行動範囲は0.01~0.65k㎡程と言われているが、地上では立ったり歩くことも困難で、爪を何かに引っ掛けて、這うようにして前に進む。 移動の速さは、地上では1時間で16m、追い立てた時でも1分間に1.8~2.4m程度しか移動しなかったという報告もある。 しかし、泳ぎはうまく、水の中では意外と早い動きをする。 時には樹上から川に自ら落下して、対岸まで泳いで移動するようなこともする。 このほか、ナマケモノは他の哺乳類と違って、外気温によって体温が左右され、24~35度の間で体温が変化するとされている。 この為、気温が一定する熱帯の一部地域でしか生活できず、樹上でも体温調整の為に天蓋や日陰などに移動したりする。 決まった繁殖期は知られていないが、多くは3~4月頃に見られる。 妊娠期間は6~10ヵ月程で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは25cm程で、体重は350g~450程度、目はすでに開いていて、爪も形成されている。 子どもは5週間の程の間は母親にしがみついて育てられ、雄は4~5年、雌は3~4年程で性成熟する。 温度管理さえ行えば、フタユビナマケモノはさまざまな食物をとるので飼育しやすく、動物園などでの飼育期間は30年以上の記録がある。 しかし、野生下での寿命ははるかに短く、10~15年程度と考えられている。 外敵はジャガーやピューマ、オセロットなどだが、遅い動きがかえって目に付かず、体についている苔が擬装の役目を果たすなどして身を守っている。 しかし、動きが遅いわりには、前足にある二本の爪が強力な武器となり、攻撃されたときなどは前足ですばやく相手を打ち、深手を与えることも出来る。 また、フタユビナマケモノは優れた回復力をもち、かなりの重傷を負っていても、しばらくの後には回復すると言われている。 その他の外敵はワシなどの猛禽類で、樹上生活をしているので襲われることも多いほか、肉を目的とした狩猟も行われている。 尚、本種のほか、フタユビナマケモノ科に属するものは、パラグアイからコロンビア北部と、ペルー北部とボリビア北部、ブラジルの一部などに分布しているホフマンナマケモノ(Choloepus hoffmanni)がいるが、外見は非常によく似ている。 フタユビナマケモノ科の動物へ / このページの先頭へ |
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フタユビナマケモノ