アクシスジカ (アキシスジカ) は、インドやスリランカではよく見られるシカで、体はニホンジカと同じくらいの大きさをしている。 分布域では「チタール(chital)」や「チータル(cheetal)」などと呼ばれていて、英名でも、その様に呼ばれることがある。
アクシスジカの分布域・生息環境 アクシスジカはインドやスリランカ、ネパールやブータンなどに分布しているが、アメリカ合衆国やブラジル、アルゼンチンやウルグアイなどのほか、パキスタンやオーストラリアなど、多数の地域に導入されている。 開けた草原地帯に生息していて、深い森林地帯や標高の高い山岳地帯などでは見られない。 アクシスジカの大きさ・特徴 アクシスジカは体長1.3~1.7 m程で、国内で見られるホンシュウジカと同じほどの大きさがある。 毛色は赤褐色で、体全体に白い斑点が散らばっていることがアクシスジカの特徴になっている。 成獣の雄の毛色は雌よりも暗い色をしているが、雌雄共にこの白斑は一年を通して消えることはなく、アクシスジカはシカの中ではもっとも美しいと言われている。 また、のどから首にかけてと腹部などは白っぽく、背中の正中線はやや暗い色をしている。 体は雄の方がやや大きく、角も雄だけがもっていて、長さは70~80cm、中には90cmを超える立派なものも見られる。 この角の第1枝は付け根から分かれているのも特徴で、第2枝は上方で分かれている。 また、角は毎年生え変わるが、落ちる時期は一定していない。 アクシスジカの生態・生活 アクシスジカは主に開けた草原地帯に生息しているが、群居性がある為か、標高の高い山地などでは見られない。 深い森林地帯などでも見られないが、生息地としている草原の周辺には、栄養の豊富な落ち葉や果実が提供される森林地帯が隣接している。 また、視界の開けた草原での生活は、外敵の隠れる場所をなくし、危険に対して素早い対応ができるとも言われている。 アクシスジカは一年中群れをつくって生活していて、ふつうは家族群からなる10~30頭程度の群れをつくっている。 時には群れ同士が集まって大きな群れをつくり、その数は数百頭にもなることがあると言われている。 また、群れには若い雄同士の群れや、幼獣を連れた雌同士の群れも見られると言われているほか、群れ同士が集まった時などには、しばしば互いのメンバーが入れ替わるとも言われている。 日中に活動するが、昼間は休んでいることが多く、主に早朝や夕方から夜間にかけて活発に活動する。 食性は草食性で、主に草や木の葉、果実などを食べるが、若い芽を好む傾向がある。 採食する時も群れで行われるが、草が少なくなる季節にはハヌマンラングールの群れなどと行動を一緒にしていることも多い。 彼らが樹上から落とす小枝についた葉や木の実、落下果実などが目当てだが、行動を共にすることで、外敵を見つけることにも有益になっていると考えられている。 水は毎日飲むと言われていて、水源のないようなところでは見られないとも言われている。 また、アクシスジカはミネラル補給のために塩舐めをするが、時には抜け落ちた角や動物の骨を齧ることも観察されている。 性質はおとなしく、雄同士が争う時なども角を合わせて戦うことは少なく、体や角の大きさで決まることが多いと言われている。 外敵はベンガルトラやヒョウ、ドールやオオカミなどだが、幼獣はスナドリネコやゴールデンキャット、キツネやワシなどの猛禽類に襲われることもある。 危険が迫ると互いに知らせあって身を守り、逃げるときは群れになって逃げる。 駆ける速さは時速65km程にもなると言われていて、アクシスジカは1.5mほどの高さなら跳び越えることができる。 アクシスジカの繁殖・寿命 アクシスジカには決まった繁殖期は見られないが、インド中部での繁殖の多くは4~5月頃に多く見られる。 雌の妊娠期間は7ヵ月半程で、雌は1産1~3子、ふつうは1子を出産する。 出産は群れから離れた場所で行われ、生まれたばかりの子どもは3kg程の体重がある。 生後1~2週間ほどの間は母親が授乳のために訪れ、その後群れの中に入って行く。 子どもには4~6ヵ月程の離乳期間があり、雌は10か月、雄で14か月ほどで成熟すると言われているが、雌は14~17ヵ月、雄は30ヵ月程度で完全に性成熟するとも言われている。 また、雌は1年に2回繁殖することもあり、寿命は野生下で8~14年程度、飼育下では15~20年程度と考えられている。 アクシスジカの保護状況・その他 アクシスジカは、かつては食料などを目的とした狩猟などが行われていて、一時は生息数が激減したが、保護政策などによって生息数は回復してきている。 一部の地域では僅かに生息数が減少傾向にあるが、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 また、近年、アクシスジカはオーストラリアやアメリカ合衆国の一部のほか、チリやアルゼンチン、ブラジルなどにも外来種として移入定着している。 しかし、ハワイなどに移入されたものは、自然下での捕食者がいないため生息数が増加し、農作物に被害を与えるという問題も起こっている。 このほか、アクシスジカには ・Axis axis axis (インド亜大陸に分布) ・A. a. ceylonensis (スリランカに分布) の2亜種とする意見もあるが、同種とも考えられている。 |
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アクシスジカ(アキシスジカ)