スナドリネコはネコ科の中では小型の部類で、スリランカやインド、インドシナ、マレー半島、スマトラなどに分布している。 一見してイエネコのように見えるが、スナドリネコはイエネコよりはずっと大きく、体つきも比較的がっしりとしている。 雌より雄の方が体が大きく、大きい雄だと体長が80cmを超え、体重も14kg程になるものもいる。 毛色はふつう灰褐色で、顎から腹部にかけては白っぽく、毛は短くて粗い。 全身にはやや細長い黒斑が見られるが、この黒斑はベンガルヤマネコのように、ほとんど縦に並んでいるように見える。 額から首にかけては、6~8本の黒い筋が見られ、ほおにも2本の黒い筋がある。 尾にも幾筋かの黒い輪が見られ、先端は黒色をしている。 また、尾は太くて短く、体長の半分以下の長さしかなく、耳も短くて丸い。 スナドリネコは沼の多いヤブ地やマングローブの林、川沿いの森林など、水が豊富な地域に生息しているが、生息地に適したように、前足の指の間には比較的発達した水かき状の膜がある。 また、鞘(さや)は爪を収めるほど大きくなく、爪の端が鞘から出ている。 低地の湿地帯や沼地、河川の周辺などに多く見られるが、スナドリネコはヒマラヤ山脈のふもとの湿地帯や、1500~2000m程の高地などにも姿を見せる。 普段は単独で生活し、主として夜間に活動すると考えられている。 行動範囲は雌で4~8k㎡、雄ではそれよりもずっと広く16~22k㎡程度の観察例があるが、行動範囲は生息環境や食糧事情などによっても変化する。 特に魚を好み、水辺の岩の上や岸辺などにひそみ、すばやく前足で魚をすくい取って捕らえる。 泳ぎもうまく、魚を獲るためによく水の中に入るが、深いところを泳ぐのは好まない。 また、スナドリネコとは「漁り猫」の意味であるが、魚ばかりでなく、甲殻類のほか、カエルや鳥、小型の哺乳類など、何でも食べる。 性質はかなり荒く、スナドリネコは子牛やヒツジ、イヌなども襲うことがある。 人によく慣れた若いヒョウの隣の檻にスナドリネコを入れておいたところ、金網を食い破って、自分の倍ほどもあるヒョウを倒したという報告もなされている。 繁殖は1~2月頃に多く見られ、妊娠期間63~70日程で、1産1~4子、ふつうは2子を出産する。 巣は岩の間や樹洞などにつくられ、生まれたばかりの子どもの体重は100~170g程度。 生後2週間を過ぎる頃には目が開き、4~6ヶ月ほど授乳される。 8~9ヵ月程で親と同じくらいの大きさに成長し、10ヵ月を過ぎる頃には独立していく。 野生での寿命は詳しく分かっていないが、飼育下での寿命は10年程度の記録が報告されている。 尚、スナドリネコには ・Prionailurus viverrinus viverrinus (スマトラ島から東南アジア、インド辺りにかけて生息) ・Prionailurus viverrinus risophores (ジャワ島やバリ島に生息) の2亜種が知られているが、近年では湿地などの農耕地への開発などによって、スナドリネコに適した生息環境は少なくなっている。 また、漁業資源の乱獲などによって獲物となる魚が減少し、生息数も激減している。 現在ではパキスタンやベトナム、マレーシアなどではほとんど姿が見られなくなり、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定され、保護活動が行われている。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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スナドリネコ