ホンシュウジカ

ホンシュウジカ さんのプロフィール


動物図鑑・ホンシュウジカ

ホンシュウジカ

偶蹄目・シカ科
学 名 Cervus nippon centraris
英 名 Japanese Deer / Sika Deer
分布域 日本の本州
生息環境 森林や草原、藪地など
体 長 120~160cm 程度
尾 長 8~15cm 程度
体 重 50~90kg 程度

ホンシュウジカは、名前のように日本の本州に分布している二ホンジカの仲間で、四国や九州地方に分布しているキュウシュウジカと共にホンドジカと呼ばれることもある。

キツネタヌキなどと共に国内では馴染み深い動物で、人里近くでも姿が見られる。

●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


ホンシュウジカの分布域・生息環境
ニホンジカは、「二ホン」とついているが日本の固有種ではなく、ロシア極東地方や中国東北部、朝鮮半島、台湾からベトナムなどに至る東アジアに広く分布している。

ホンシュウジカは本州に分布しているニホンジカの亜種で、他の二ホンジカと同様、低地から山地にいたる森林や原野、疎林や藪地などに生息している。

人里や耕作地周辺にも生息しているが、人の生活圏の広がりに伴い、近年は住宅地の周辺でも姿が見られる。


ホンシュウジカの大きさ・特徴

ホンシュウジカの特徴などは他のニホンジカと同じで、雌よりも雄の方が体が大きいが、北海道に分布するエゾシカに比べると体は少し小さい。

それでも大きい雄では肩高が120cmを超え、体重も100kg程になるものも見られる。

毛色は、夏では茶色や茶褐色、赤褐色などで、「鹿の子模様」と呼ばれる白い斑点が散在している。
冬では白斑はなくなり、全体に灰色の強い毛色に変わるが、腹側は一年を通して白っぽい色をしている。

角は雄だけに枝分かれしたものがあり、この角は毎年春に抜け落ちる。
その後やわらかい袋角が生えはじめ、繁殖期のはじまる秋頃には再び立派なものになる。

また、角は1年目ではふつう枝分かれしておらず、2~3年目で1叉2尖(一本の角が一度枝分かれし、先端は2つ)、或いは2叉3尖となり、4年目以降は3叉4尖となる。


ホンシュウジカの生態・生活

ホンシュウジカは、低地から山地にいたる森林や原野、藪地などに生息しているが、開けた草地や田畑などが入り組んだようなところに多く見られ、耕作地や住宅地の近くにも現れる。
しかし、他のニホンジカと同様、森林や原野から離れた生活をすることはない。

群れで生活していることも他の二ホンジカと同じで、ホンシュウジカも雌雄が別の群れをつくって生活している。

雌の群れの中には子どもや若い雄が含まれていて、雄は雄だけの群れをつくるが、しばしば単独でいるものも見られる

主に早朝や夕方に活発に採食し、木の芽や葉、草類などの植物質を採餌し、シイタケやマツタケなどのほか、食料の少ない時期にはドングリや樹皮なども食べる。

ニホンザルの後をついて回り、サルが落とした落下果実なども食べるが、耕作地で作物を食べたりすることもあり、害獣とされることもある。

また、ホンシュウジカは昼夜共に活動するが、人との接触が多いようなところでは、しばしば夜行性になる。

性質はおとなしいが、警戒心が強く、山の中などで出会ってもすぐに逃げて行ってしまう。
小さな谷などを挟んでいても、樹木の後ろにうまく身を隠している。
また、こちらからでは姿が見えなくても、しばしば警戒の声を上げて仲間に知らせている。

動きは敏捷で、山林の間や谷川沿いの岩場なども素早く駆け抜けてしまう。
跳躍力にも優れていて、追われたときなどは飛び跳ねるようにして逃げるが、その幅は6m程にも達する。

泳ぎも巧みで、瀬戸内地方では海を泳いでいるところも観察されている。

また、移動するときは同じところを通る習性があり、時に「シカ道」と呼ばれる通り道が見られるほか、ホンシュウジカなどのシカの仲間も、イノシシのように「沼田場(ヌタバ)」と呼ばれる湧水地や湿地のぬかるみで泥浴びをする習性があるが、これは寄生虫のダニをとったり、体温調整をするためと考えられている。

外敵はツキノワグマが挙げられるが、実際に捕食されることは少なく、むしろ病気や斜面・崖からの滑落事故などの方が多いと考えられている。


ホンシュウジカの繁殖・寿命

ホンシュウジカの繁殖期は秋季の9~11月頃で、この時期の雄は雌をめぐり、角を突き合わせるなどして激しく争う様子が観察される。

勝ち残った優位な雄は縄張りをつくり、ふつうは10頭程の雌を囲ってハーレムを形成する。
繁殖はふつう一夫多妻で行われるが、時には雌も複数の雄と交尾することがある。

雌は30~33週程の妊娠期間の後、普通は1産1子、希に双子を出産する。
出産は、しばしば群れから離れた茂みや藪の中で行われ、母親は授乳の時だけ子どものところに訪れる。

生後1~2週間ほどで母子ともに群れの中に入って行き、子どもは10か月ほどで離乳する。
雌雄共に1~2年程で性成熟し、雌は出生した群れに残ることが多いが、雄は性成熟する頃には群れを離れていく。

寿命は、飼育下で15~18年程度と言われているが、中には20年を超える寿命をもつものも知られている。


ホンシュウジカの保護状況・その他

ホンシュウジカを含め、ニホンジカはイノシシなどと共に古くから狩猟の対象にされてきたが、農作物に被害を与えることもあることなどから、近年では有害獣として駆除されることもある。

しかし、ホンシュウジカの個体数は安定していると考えられていて、地域によっては生息数が増加しているところもある。

その反面、国内にはヒョウオオカミなどの外敵がいないにもかかわらず、開発などにより一部の地域では生息数が減少している。
島嶼部では絶滅しているところもあり、自治体によっては絶滅のおそれのある地域個体群として指定している。

また、国内にはニホンジカのほか、移入されたタイワンジカキョンなどの外来のシカが野生化している地域もあり、在来種との競合などが懸念されているなど、ホンシュウジカをめぐっては複雑な状況になっている。

尚、奈良公園周辺のホンシュウジカは天然記念物に指定されていることはよく知られているが、ホンシュウジカは兵庫県辺りを境にして東西で遺伝的系統が分かれていると言われていて、中国地方に分布するものは、四国や九州に分布しているキュウシュウジカと同亜種とも考えられている。

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