ニホンジカはキツネやタヌキなどと共に国内では馴染みの深い動物だが、日本の固有種ではなく、極東ロシアや中国東北部、朝鮮半島、台湾からベトナムなどに至る東アジアに広く分布している。 ホンシュウジカは国内の本州に分布しているニホンジカの亜種で、四国や九州に分布しているキュウシュウジカと共にホンドジカと呼ばれることもある。 形態や習性などは他のニホンジカと同じで、北海道に分布するエゾシカに比べると体は少し小さいが、それでも大きい雄で肩高が120cmを超え、体重も100kg程になるものも見られる。 毛色は、夏では茶色や茶褐色、赤褐色などで、白い斑点が散在しているが、冬には白斑はなくなり、全体に灰色の強い毛色に変わる。 角は雄だけに枝分かれしたものがあり、この角は毎年春に抜け落ちる。 その後やわらかい袋角が生えはじめ、繁殖期のはじまる秋頃には再び立派なものになる。 繁殖期の雄は、雌をめぐって角を突き合わせて争うが、角は1年目ではふつう枝分かれしておらず、2~3年目で1叉2尖(一本の角が一度枝分かれし、先端は2つ)、或いは2叉3尖となり、4年目以降は3叉4尖となる。 ホンシュウジカは、低地から山地にいたる森林や原野、藪地などに生息しているが、開けた草地や田畑などが入り組んだようなところに多く見られ、人里近くにも現れる。 しかし、他のニホンジカと同様、森林や原野から離れた生活をすることはない。 ホンシュウジカは昼夜共に活動するが、主に早朝や夕方に活発に採食し、人との接触が多いようなところでは、しばしば夜間に活動する。 性質はおとなしく、木の芽や葉、草類などの植物質を採食し、シイタケやマツタケなどのほか、食料の少ない時期にはドングリや樹皮なども食べる。 動きも敏捷で、山林の間や谷川沿いの岩場なども素早く駆け抜けてしまう。 跳躍力にも優れていて、追われたときなどは飛び跳ねるようにして逃げるが、その幅は6m程にも達する。 また、移動するときは、同じところを通る習性があり、時に「シカ道」と呼ばれる通り道が見られる。 群れで生活しているが、秋の繁殖期以外は、雄と雌は別の群れをつくって生活している。 雌は7ヵ月程の妊娠期間の後、普通は1産1子、希に双子を出産する。 寿命は、飼育下で15~18年程度と言われている。 ホンシュウジカを含め、ニホンジカはイノシシなどと共に古くから狩猟の対象にされてきたが、農作物に被害を与えることもあることなどから、近年では有害獣として駆除されることもある。 また、奈良公園周辺のホンシュウジカは天然記念物に指定されているほか、ホンシュウジカは地域によっては生息数が増加しているところもある。 その反面、国内にはヒョウやオオカミなどの外敵がいないにもかかわらず、開発などにより、一部の地域では生息数が減少しているほか、島嶼部では絶滅しているところあり、自治体によっては絶滅のおそれのある地域個体群として指定している。 このほか、国内にはニホンジカのほか、移入されたタイワンジカやキョンなどの外来のシカが野生化している地域もあり、在来種との競合などが懸念されているなど、ホンシュウジカをめぐっては複雑な状況になっている。 尚、ホンシュウジカは、兵庫県辺りを境にして東西で遺伝的系統が分かれていると言われていて、中国地方に分布するものは、四国や九州に分布しているキュウシュウジカと同亜種とも考えられている。 シカ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ホンシュウジカ
Cervus nippon centraris