ニホンジカの仲間は、国内をはじめ、極東ロシアや中国東北部、朝鮮半島、台湾からベトナムなどに至る東アジアに広く分布しているが、エゾシカ(エゾジカ)は北海道に生息するニホンジカの亜種で、北海道全土に分布している。 ニホンジカの中ではもっとも体が大きく、体長は平均して140~150cm、体高は90~110cm程あり、大きい雄では体重が140kgを超えるものも見られる。 毛色は夏では赤褐色や茶色で白い斑点があるが、冬には灰褐色に変わり白斑は消える。 しかし、腹部や尾は、通年を通して白っぽい色をしている。 他のニホンジカと同様、角は雄だけにあるが、長さは80cm程あり、本州に生息しているものよりも長い。 だが、九州の屋久島に生息しているヤクシカの角は三つに分かれているが、エゾシカの角は四つに分かれていて、本州などに生息するシカと同じである。 また、この角は4~5月には根元から落ち、その後やわらかい袋角が生えはじめ、毎年9月頃には硬い角に成長する。 エゾシカは低地から山地にいたる森林地帯や原野などに広く生息しているが、森林と草原との境界付近で多く見られるとも言われている。 しかし、習性や食性などは他のニホンジカと似ていて、開けた草原などにもよく見られるが、森林から完全に離れてしまうことはない。 また、越冬は雪の少ない地域で行われるため、冬に積雪の多い地域のものは、規則的に移動するものも見られる。 昼間に活動するが、特に早朝と夕方には活発に活動し、採食する。 草食性で、主に草類や木の葉、木の実などを食べるが、餌の少なくなる冬場には、樹皮や落ち葉、菌類など、季節によってさまざまなものを食べる。 また、人里近いところに生息するものは農作物なども食べ、繁殖期を迎える秋頃には、もっとも体重が増える。 繁殖期は10~11月頃で、この時期の雄は雌をめぐって激しく争い、争いに勝った優位の雄は縄張りをつくり、複数の雌とハーレムを形成する。 一夫多妻で、雌は平均妊娠期間230日程で、ふつうは1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は6~7kg程で、1年程で完全に離乳する。 野生での平均寿命は3~4年程度と言われているが、飼育下での寿命は15年を超え、20年近く生きるものもいる。 外敵はエゾヒグマやエゾオオカミなどだが、エゾオオカミは既に絶滅しているので、現在の外敵はエゾヒグマだけとなっている。 しかし、このような外敵よりも、人による乱獲や開発のために、エゾシカの生息数は一時期激減してしまった経緯がある。 特に、明治の開拓期における北海道では、肉や毛皮を目的とした狩猟に加え、木材生産や開墾などによる生息地の減少などにより、エゾシカの生息数も減少している。 また、年によっては豪雪によって越冬が妨げられ、多くのエゾシカが死亡した事も記録されている。、 その後、禁猟措置がとられたことにより生息数の減少は止まり、最近では保護政策や、温暖化によって餌が豊富になったこともあって、エゾシカの数はかなり増加している。 その反面、農地の近くや市街地付近などにもしばしば姿を見せるようになり、エゾシカによる農作物への被害や、エゾシカとの接触による交通事故などが起こっている。 このほか、国内にはエゾシカのほかにホンシュウジカ、キュウシュウジカ、ヤクシカ、ツシマジカ、ケラマジカ、マゲジカなどが生息しているが、ホンシュウジカとキュウシュウジカを合わせて、ホンドジカと呼ぶこともある。 尚、ニホンジカの亜種については交雑などが指摘されていて、多くの亜種が確認不明のままだとも言われている。 シカ科の動物へ / このページの先頭へ |
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エゾシカ