イノシシの仲間はユーラシア大陸南部に広く分布しているが、二ホンイノシシは国内の本州より南に広く分布している。 二ホンジカやニホンザルなどと共に馴染みのある動物で、里山などでもよく見られる。
二ホンイノシシの分布域・生息環境 ニホンイノシシはのイノシシ日本産亜種で、本州や四国、九州に広く分布している。 淡路島や小豆島などにも分布していて、主に里山や丘陵地、山地などに生息しているが、地域によっては山麓の住宅地などにも姿を現す。 しかし、冬に積雪の多い地域ではほとんど見られない。 二ホンイノシシの大きさ・特徴 二ホンイノシシは、国内に生息している哺乳類の中では大型で、100~170cm程の体長がある。 雄の方が体が大きく、大きいものだと体重が200kgを超えるものも見られる。 体はがっしりとしていて、筋肉がよく発達していて、力も強い。 全体がくさび型のような体形をしていて、森林や藪を駆け抜けるのに都合のよい体つきをしている。 四肢にはいずれも4本の指があり、それぞれにふたつの蹄をもっている。 雌雄共に犬歯が発達しているが、雄では特に長く、強力な牙になっている。 この牙は終生伸び続け、長いものだと15cm程にもなり、顎の力も強い。 鼻面は直線的に突き出した感じでイノシシの特徴になっているが、鼻先は鼻鏡と呼ばれ、平たくて丸くなっている。 体毛は粗く、毛色は茶色や茶褐色、黒褐色をしているが、希に白色のものも見られる。 また、幼獣には体に縞模様があり、その様子が「瓜」に似ていることから「ウリ坊」と呼ばれるが、この模様は保護色の役目を果たしていると考えられている。 二ホンイノシシの生態・生活 ニホンイノシシは低地から標高2000m辺りまでの山地の森林や雑木林、山裾の藪地や草原などに広く生息しているが、イノシシは地面を掘って地中の地下茎などを食べる為、北陸地方や北信地方のなどの多雪地帯ではほとんど見られない。 しかし、温暖化などの影響もあってか、近年では福井県、長野県などの山間部でも姿が見られるようになり、宮城県南部が北限とされていた分布域も北上傾向にあり、分布域を広げている。 雌はその子どもと一緒に家族単位の群れをつくって生活しているが、成熟した雄は単独で生活している。 食性は植物質を主に食べる雑食性で、クズやカヤ、ヤマイモやタケノコ、マメ類、カシなどの木の実のほか、ミミズやカエル、ヘビ、トカゲ、ノウサギなどの動物質も少しは食べる。 しばしば耕作地にも現れて農作物に被害を与えたりすることから、害獣として駆除されることもあるが、他の偶蹄類と違って胃は単純で、反芻はしない。 ニホンイノシシは「沼田場(ヌタバ)」と呼ばれる湧水地や湿地のぬかるみで泥浴びをする習性があるが、これは寄生虫のダニをとったり、体温調整をするためと考えられている。 また、泥浴びのあとは木に体をこすり付けたりするため、周囲の様子から生息地を確認することができる。 外敵は二ホンツキノワグマが挙げられるが、ツキノワグマはイノシシの様な大型哺乳類を襲うことは少なく、実質的には外敵はいないとも言われている。 しかし、子どもはアカギツネやフクロウなどの猛禽類に襲われることがある。 ところで、二ホンイノシシは日中に活動するが、元来は慎重な行動をする動物で、人との接触が多いようなところでは、しばしば夜行性になる。 性質も神経質で、普段見慣れないものなどに出会うと避けようとするが、無闇に近づいたりすると、人に向かってくることがある。 走るのも速く、「猪突猛進」などと言われているように、イノシシの突進力は強力で、力が強いうえ犬歯も鋭いため、不注意に近寄ったりするのは危険である。 近年では、開発などによる生息地の減少による食糧不足などのため、市街地近郊でも姿が見られるような地域もあり、人が襲われるような被害も報告されている。 一方、登山客の多い山道で出会ったりすることもあるが、ある程度の距離を空けていると、こちらを気にしながらも採食を続けていることもある。 また、山麓に近い住宅地にも現れて、買い物袋などを奪いに来ることもあるが、その様なものは人に馴れているせいなのだろう。 しかし、成獣の雄は思っている以上に大きく、姿を見ても近づかない方がよい。 子どもを連れた雌も警戒心が強く、気も荒くなっているので、やはりその場から離れた方がよい。 二ホンイノシシの繁殖・寿命 二ホンイノシシの繁殖期は年1回、春~秋にかけて見られるが、希に春と秋の2回繁殖することもある。 繁殖は一夫多妻で行われ、雌の妊娠期間は120日程で、1産3~8子、ふつうは4~5子を出産する。 出産は群れから離れたところで行われ、地面の窪みなどを利用して、覆いのある巣がつくられる。 子どもはウリボウと呼ばれ、生後半年くらいまでは、バクの子どものように体には縞がある。 寿命は飼育下で15~20年程度、野生では6~10年程度と考えられている。 二ホンイノシシの保護状況・その他 二ホンイノシシは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 食用として広く流通することはないが、ニホンイノシシはシカなどと共に古くから狩猟の対象になっていて、農作物に被害を与える害獣として駆除されることもある。 開発による生息地の減少も伴い、生息数が減少している地域もあるが、近年は里山の人口が減少していることから、里山でも二ホンイノシシの姿を見ることが多くなっているほか、生息域を広げている地域も報告されている。 全体としては個体数は安定していると考えられていて、小笠原諸島の一部にも移入定着している。 尚、国内にはニホンイノシシのほか、奄美諸島や沖縄諸島などの島嶼部にリュウキュウイノシシが分布しているが、リュウキュウイノシシは全体に生息数が減少している。 |
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