キュウシュウジカは所謂ニホンジカの亜種で、九州や四国地方に分布している。 二ホンジカの中では中型だが、ニホンジカの基亜種になっている。
キュウシュウジカの分布域・生息環境 ニホンジカは、「二ホン」と名前についているが日本の固有種ではなく、朝鮮半島や中国東部、台湾などにも広く分布している。 多くの亜種が知られているが、その中でもキュウシュウジカはニホンジカの基亜種になっている。 四国や九州地方の低地から山地にかけての森林地帯や原野などに生息しているが、疎林や耕作地周辺などでも見られる。 単にニホンジカと呼ばれることもあり、キュウシュウジカと本州に分布しているホンシュウジカをあわせて、ホンドジカと呼ばれることもある。 キュウシュウジカの大きさ・特徴 体の特徴などは他のニホンジカと同じだが、キュウシュウジカはニホンジカの中では中型になる。 体高は80~100cm程度で、北海道に分布しているエゾシカに比べると体は少し小さい。 毛色は、夏毛は茶褐色の地に「鹿の子模様」と呼ばれる白い斑点があるが、冬毛は濃い灰褐色に変わり、斑点も見られなくなる。 雌よりも雄の方が体が大きく、角も雄だけがもっている。 この角は毎年生え変わり、4~5月頃に抜け落ちた角は、繁殖期に入る9~10月頃には立派なものとなり、雌をめぐって角を合わせて争いが行われる。 キュウシュウジカの生態・生活 キュウシュウジカの習性や食性なども他のニホンジカと同じで、農地や人里、市街地近郊などにも姿を見せることがあるが、森林や原野などを好み、これから離れた生活をすることはない。 群れをつくって生活していることも同じで、群れの大きさはさまざまだが、雌雄が別の群れをつくっていて、雌の群れには子どもや若い個体が含まれている。 雄も雄だけの群れをつくっているが、単独でいるものもしばしば見られる。 昼間は森林内で休んでいることが多く、早朝や夕方に活発に活動する。 主に草類や木の芽、木の実などを食べるが、食べ物の乏しい冬季には樹皮や落ち葉ども食べる。 また、イネやトウモロコシなどの農産物も食べるので、しばしば農業や林業などに害を与えることもある。 動きは敏捷で、駆けるのも速いが、山地などでも樹間の間を素早く動き回り、跳躍力にも優れている。 キュウシュウジカは泳ぎもうまく、瀬戸内地方のものは海を渡って島へ渡ることも目撃されている。 性質はおとなしく、移動するときは「シカ道」と呼ばれる同じところを通る習性がある。 外敵はツキノワグマが挙げられるが、九州地方では既に絶滅していると考えられていて、四国地方でも限られた地域にしか生息していないため、実際の捕食は極めて少ない。 また、国内にはヒョウやトラ、オオカミなどといった外敵もいないが、キュウシュウジカは狩猟の対象になっている。 キュウシュウジカの繁殖・寿命 キュウシュウジカの繁殖期は9~11月頃にかけて見られ、この時期の雄は複数の雌を囲ってハーレムを形成する。 繁殖はふつう一夫多妻で、雌は妊娠期間7ヵ月半程で、1産1子、稀に2子を出産する。 子どもは5~7月頃に生まれ、体には白い斑があるが、出産は群れから離れた茂みや藪の中で行われることが多く、母親は1日に1~3回ほど授乳のために訪れる。 子どもは生後1~2週間ほどで群れに入って行き、10ヶ月程で完全に離乳する。 雌雄共に16~18ヵ月程で性成熟し、その後も雌は出生した群れに残ることが多いが、雄は性成熟する頃には群れを離れていき、遅くても2歳になる頃には雄の群れに入って行く。 飼育下での寿命は、ホンシュウジカなどと同様、15~18年程度と言われている。 キュウシュウジカの保護状況・その他 キュウシュウジカの個体数は安定している考えられているが、一部の島嶼部に生息していたものは、開発などによって絶滅していて、生息数が減少している地域もある。 一方、生息数が増加している地域もあり、農作物への被害も出ているなど、キュウシュウジカを含め、国内に分布しているニホンジカは複雑な状況にあるとも言える。 このほか、 国内にはキュウシュウジカやホンシュウジカ、エゾシカのほかに、ツシマジカ、ケラマジカ、マゲジカなどの亜種が生息している。 しかし、ニホンジカの亜種については交雑などが指摘されているほか、屋久島に生息しているものをヤクシカ(ヤクジカ)として別亜種とする場合など、多くの亜種が確認不明のままだとも言われている。 尚、 本州に分布しているホンシュウジカは、兵庫県辺りを境にして東西で遺伝的系統が分かれていると考えられていて、中国地方に分布するものは、キュウシュウジカと同亜種とも考えられている。 |
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キュウシュウジカ