ガウル (ガウア)

ガウル (ガウア)さんのプロフィール


動物図鑑・ガウル

ガウル (ガウア、インドヤギュウ)

偶蹄目・ウシ科
学 名 Bos gaurus
英 名 Gaur
分布域 インドからインドシナ、マレー半島辺り
生息環境 高地の森林など
体 長 250~330cm 程度
尾 長 70~100cm 程度
体 重 雄で600~1200kg、雌で500~1000kg
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (VU)

ガウルはウシ科の中ではもっとも体が大きく、大きい雄では体重が1500kg程にもなる。
多くのものはインドに分布していて、普段は雌雄が別の群れをつくって生活している。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ガウルの分布域・生息環境
ガウルは、インドやネパール、ブータン、バングラディシュからミャンマーやカンボジア、ラオス、タイなどのインドシナ半島などに分布する大型のヤギュウで、中国やマレー半島などにも分布している。

主に森林地帯に生息しているが、ほとんどのものはインドに分布していて、分布域は広いが生息地は断片化している。


ガウルの大きさ・形態
ガウルは、別名・インドヤギュウとも呼ばれていて、地域によって大きさには多少の差があるが、インドに分布するガウルの平均体重は、雄で600~1200kg、雌で500~1000kg程で、平均した肩高も雄で188cm、雌で168cmほどもある。

雌は体が小さいが、大きい雄は体重が1500kgほどになり、エランドなど共に、ウシ科の中ではもっとも体が大きい。

スイギュウに比べてもかなりがっしりとした体つきをしていて、ガウルを間近で見るとその大きさに圧倒される。

毛色は濃褐色や赤褐色、黒色などで、老成したものほど黒っぽい色になる。
四肢の先は白く、角は三日月型のものが雌雄ともにあるが、雌のものは雄のものよりも細くて短い。
この角は長さは80cm近くになり、大きい雄のものでは110cm程にも成長する。

また、肩から背中にかけては盛り上がるが、胴体の中ほどで低くなり、段になっているのが特徴的である。


ガウルの生態・生活

ガウルは標高1800メートル位までの常緑林や熱帯雨林、落葉樹林などの森林地帯に生息しているが、標高2800m辺りにも姿を見せる。

群れをつくって生活していて、多い時では20~40頭程になるが、食料の乏しくなる冬には、数頭から10頭程の小さな群れになる。
この群れは成獣の雌によって率いられ、その子どもたちと若い雄が含まれている。

一方、成熟した雄は単独でいるか、雄だけの群れをつくって生活している。
また、群れには特に縄張り意識がなく、時には群れ同士が集まって50頭以上になることもあると言われている。

ガウルは基本的に昼行性だが、人との接触が多い地域などでは夜行性になり、インド中部などでは日中では見られず、夜間にもっとも活発に活動する。

水がある近くを好み、主に草類や木の葉、種子などを食べるが、花や果実、タケノコなど、季節によってさまざまなものを食べる。

一日に2~5km程を移動し、採食は早朝や夕方の涼しい時に行われ、日中は日差しを避けて、森林の草地などで反芻をして休んでいる。

ガウルは用心深く、人が近づくと思わぬほどの速さで森の中に逃げ込んでいくが、人との接触が多いインド南部や東南アジアなどの一部の地域では、人間の存在に慣れていて、家畜の放牧地や畑などにも入ってくることがある。

また、体の割には性質はおとなしく、野生のスイギュウのように人に向かってくることはないが、追い詰めたりすると危険である。

ガウルは体が大きく、力も強いので、人以外にはほとんど外敵がいないと言われている。
鳴き声は家畜のウシに似ていて、危険を感じたりして逃げる時には、前足を揃えて地面をたたくよう駆けるが、ガウルは実にクロサイほどの体を持っているので、外敵であるヒョウドールなども成獣を襲うことは殆どない。

子どもや弱っているものをなどが襲われそうになると、成獣が周りを取り囲むようにしてこれを守る。
このようになると、ヒョウよりも体が大きいトラでも、ほとんどの場合は襲うのをあきらめてしまう。

しかし、時にはトラや、稀に大型のイリエワニによって成獣が倒されることもある。


ガウルの繁殖・寿命

ガウルの繁殖は一年を通して見られるが、多くは12~翌年の6月の間に見られる。
一夫多妻で、この時期の雄は雌のいる群れへ、群れから群へと移動し、雌雄共に複数のものと交配するとも言われている。

雌の妊娠期間は275日前後で、1産1~2子、ふつう1子を出産する。
生まれたばかりの子どもはすぐに立ち上がることができ、6~7か月ほどの授乳期間がある。

雌雄ともに3年程で性成熟し、飼育下での寿命は24年のものが記録されていて、もっとも長いものは30年と言われている。
しかし、野生下ではふつうこれよりは短くなる。


ガウルの保護状況・その他

ガウルは、パキスタンからインド、ネパールなどを経て、インドシナ半島や中国などに広く分布していて、家畜のガヤル (Gayal / Bos frontalis) はガウルを飼いならしたものと言われている。

しかし、森林の伐採や開発などによる生息地の減少、狩猟などにより、ほとんどの分布域で生息数が激減し、現在ではすべての地域で保護動物になっている。

現在、ガウルは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価でも絶滅危惧種(VU)とされているが、スリランカやマレー半島では既に絶滅していて、バングラデシュでも絶滅していると言われている。

その他の地域でも分布域は分断されているほか、密猟なども止まず、更なる個体数の減少も心配されている。

尚、ガウルには次の亜種が一般的に知られている。

B. gaurus gaurus
インド中央部からネパールやブータンに分布する基亜種

B. g. readei
インドシナなどに分布

B. g. hubbacki
マレー半島

ただ、この分類は主に大きさや毛色などに基づいているため、基亜種以外の亜種については再検討されている。

その為、インドに分布するものを Bos gaurus gaurus、インドシナやマレー半島に分布するものを B. g. laosiensis として2亜種とする意見があり、この分類は今後の研究のために一時的に受け入れられている。

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