キングチーターは、体の斑から堂々としている印象を受けるが、これは遺伝子の突然変異で体の斑が違っているもので、キングチーターとふつうのチーターとは同種である。 かつては独立した別種(Acinonyx rex)とも考えられていたが、キングチーターはクロヒョウやクロジャガーなどの場合と同じで、体色の変異はライオンやトラなどでも見られる。
分布域・生息環境 チーターの仲間は、サハラ砂漠や熱帯雨林を省く北アフリカから東・南アフリカにかけて分布し、アジアではイランに分布している。 しかし、現在の分布域は分断されていて、地域的に絶滅しているところも多い。 キングチーターもチーターと同種であるので、その分布域も断片的で、チーターの生息数が減少していることもあり、キングチーターの出現数も少ない。 大きさ・形態 体色は、ふつうのチーターと同じように、黄褐色やクリーム色などをしているが、体の黒い斑は大きく、全体としてはマダラ模様のようにも見える。 目から口にかけても黒い筋があるが、背中の斑はつながっていて、三本の縞模様のようになっている。 また、尾の斑やリング状の模様などもつながっているようで、半分ほどは黒い色をしている。 このような模様のため、キングチーターは、名前のように堂々とした印象を受ける。 しかし、体の斑以外はふつうのチーターと同じで、全体にほっそりとした体つきをしていて、四肢は長いが、大きさは体長115~150cm程度、体重は30~70kg程度で、トラやライオンなどよりもずっと小さい。 野生での観察例は少ないが、キングチーターはジンバブエやボツワナ、トランスバール地方北部などで観察されている。 また、キングチーターは飼育下でも生まれることがあり、ホワイトタイガーやホワイトライオンなど、トラやライオンにも白色変種が見られ、ヒョウやジャガーにも毛色の変化がある個体がしばしば見られる。 生態・生活 キングチーターは半砂漠地帯やサバンナ、藪地や森林地帯など、さまざまな環境に生息していて、生態や習性、生活の様子なども普通のチーターと変わることはない。 主に日中に活動し、単独や家族単位などの小さな群れで生活している。 雄は縄張りをもった生活をしているが、その主張は緩やかで、他の雄と互いにつながりを持っているとも言われている。 一方、雌は尿などで臭い付けはするが、縄張りはもたないと考えられている。 ガゼルなどの中型の草食動物をとらえるが、時には体の大きいオグロヌーなどをとらえることもある。 走るのも速く、跳び出してからすぐに最高速度に達することができるのも、ふつうのチーターと同じである。 繁殖・寿命 繁殖の様子などもチーターと同じで、決まった繁殖期はなく、キングチーターも1年を通して繁殖する。 雌雄共に複数のものと交配するとも言われていて、雌は妊娠期間3ヶ月、90~95日程で、1産1~8子、ふつうは2~5子で、平均すると2~3頭を出産する。 育児は雌によって行われ、子どもは長くても半年ほどで離乳する。 その後も15~17ヶ月ほどの間は母親の近くで生活しているが、この頃は子どもたちだけの群れをつくっている。 雌雄共に1年半から2年程で性成熟し、この頃には親から離れ独立していく。 外敵はライオンやハイエナなどで、主に子どもが襲われる。 成獣になるとほとんど逃げ切ることができ、野性下での寿命は8~12年程度と考えられている。 保護状況・その他 かつて、チーターはパレスチナやアラビア半島からインド中部、更にアフリカ大陸の熱帯雨林とサハラ砂漠を除いて広く分布し、さまざまな環境に生息していたが、毛皮などを目的とした狩猟や開発などによる生息地の減少などにより生息数が減少し、現在では多くの国で地域的に絶滅している。 現在、チーターは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)として指定されているが、それに伴いキングチーターの出現も減少していると言える。 また、チーターには幾つかの亜種が知られているが、亜種によっては、もっとも絶滅の恐れがあるCNに指定される状況になってしまっている。 尚、写真右下は、ふつうの斑をしているチーター。 |
|
●その他のキングチーターの写真へ ●ネコ科の動物へ ●このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
キングチーター