ハイエナはイヌのように指先で歩く指行性で、外見もイヌの仲間に似ているように見えるが、むしろジャコウネコに近いとされている。 ハイエナ亜科とアードウルフ亜科で食肉目ハイエナ科を構成し、インドからアラビア半島を経て、アフリカ大陸全土に広く分布している。 体長55~180cm、体重は10~80kg程で、種によって差があるが、ハイエナ属のものは雄よりも雌の方が体が大きい。 また、ハイエナ属の方が体が大きく、がっしりとしていて重量感のある感じがする。 いずれも前肢は後肢よりも長く、前半身がよく発達していて、後半身に向かって少し傾斜している。 首は長く、毛色は褐色や灰褐色、暗灰色などで、体か四肢には暗色の斑や縞が見られる。 首周りと背の前方の毛は長く、ややたてがみ状になっている。 四肢には各4本の指をもっているが、アードウルフは前肢に5本の指をもっている。 爪は引っ込めることができず、あまり鋭くはない。 木に登ることはできず、地上で生活している。 また、肛門の両脇には臭腺があり、縄張りは樹木などにジャコウのような臭いをつけて主張される。 深い森林地帯ではほとんど見られないが、開けた森やサバンナ、湿原や藪地、砂漠地帯や岩場など、ハイエナの仲間は様々な環境に適応している。 早朝や昼間も活動するが、日中は巣穴や茂みなどで休んでいて、主に夜間に活動する。 また、ブチハイエナは社会的な群れをつくって生活しているが、ほかのものはふつう家族単位や単独で生活している。 雑食性で、動物質のものから果実などの植物質、昆虫や魚、死肉など、様々なものを食べるが、アードウルフはシロアリなどの昆虫類を主に食べるとされている。 ハイエナ属のものはキツネやヤマアラシなどのほか、力も強く、シマウマやオグロヌー、エランドなどの大型の哺乳類もとらえることが出来る。 頭部も大きく、骨なども噛み砕いてしまうほど顎の力も強い。 また、ハイエナはライオンやヒョウなどの獲物を横取りしたり、食べ残しをあさったりするという印象が強いが、実際は自分たちで獲物を倒すことの方が多いと言われている。 特にブチハイエナは獲物の90%以上を自分たちで倒しているとも言われていて、これを狙うライオンやヒョウを追い払うことも知られている。 繁殖期は様々だが、妊娠期間は90~110日程で、1産1~6子、普通は2~3子を出産する。 出産は地面に掘った巣穴や樹洞などのほか、他の動物が使った巣穴なども利用する。 成長した後、雌は出生した群れに留まるが、雄は独立して分散して行く。 野生での寿命は10~20年、飼育下では20~30年程度と言われている。 尚、現存しているハイエナの仲間は、ハイエナ亜科とアードウルフ亜科に分類され、4種が知られている。 また、ハイエナ属にはシマハイエナとカッショクハイエナ(チャイロハイエナ)が含まれているが、カッショクハイエナを別の属とするような場合もあり、その場合の学名はParahyaena brunneaになる。 いずれもブチハイエナよりは小さいが、アードウルフよりは大きい。 シマハイエナ(Hyaena hyaena / Striped Hyena) ハイエナ属のなかではもっとも体が小さく、体長100~120cm、体重は25~55kg程度。 インドからアラビア半島、アフリカ東北部などの平原や開けた森林などに生息している。 体には暗色の縞模様が見られ、群れをつくらず、普段は単独で生活している。 分布域の一部はブチハイエナと重なっていて、この地域ではシマハイエナは劣勢になっている。 ブチハイエナよりは気は荒くないと言われているが、現在は生息数が減少している。 カッショクハイエナ(Hyaena brunnea、或いは Parahyaena brunnea / Brown Hyena) アフリカ大陸南部のナミビアやボツワナ、南アフリカ共和国などに分布していて、チャイロハイエナとも呼ばれている。 毛色は灰褐色から暗褐色で、四肢には暗褐色の縞が見られる。 平均的な体長は85~140cm、体重は40~55kg程度だが、70kg近くになるものいる。 ふつうは家族単位の群れで生活していて、主に夜間に活動する。 ブチハイエナなどと同様、レイヨウ類やシマウなどの他、死肉や昆虫類、水生の甲殻類や魚、果実など、様々なものを食べる。 かつては海岸域でも見られたと言われているが、現在は生息数が減少している。 ブチハイエナ(Crocuta crocuta / Spotted Hyena) アフリカ大陸のコンゴ盆地周辺を除く、北緯15度辺りから南緯25度辺りにかけて広く分布していて、ハイエナの中ではもっとも体が大きい。 体長100~180cm、体重は45~85kg程度で、体には暗色の斑が散在している。 マダラハイエナなども呼ばれるが、人の笑い声のような鳴き声を上げることからワライハイエナとも呼ばれることがある。 雌の生殖器は雄のものに似ていて、かつては雌雄同体とも考えられていた。 5~50頭位までの「クラン」と呼ばれる母系の群れで生活し、群れの中では雌が優位を保っている。 力が強く、ヌー、エランドなどの大型の哺乳類も倒してしまう。 アードウルフ(Proteles cristatus / Aardwolf) エチオピアやソマリア、ケニアなどのアフリカ東部と、カッショクハイエナが見られるアフリカ南部などに分布している。 毛色は黄色を帯びたような灰色で、黒い縞模様がある。 体長は55~80cm、体重は7~10kg、大きくても14kg程度で、ほかのハイエナよりは体が小さい。 雌雄とその子どもたちからなる家族単位で生活していて、他のハイエナとは異なり、昆虫などを食べ、主にシロアリを食べている。 死肉や鳥の卵、時には子羊なども倒すが、大きな獲物を捕らえることはない。 また、他のハイエナとは違い、アードウルフは5本の指をもっている。 ツチブタが使った巣穴などを利用し、別名・ツチオオカミなどと呼ばれることもある。 現在のところ、ブチハイエナやアードウルフは絶滅の危惧はないとされているが、カッショクハイエナは絶滅危惧種(VU)に指定されているほか、シマハイエナも準絶滅危惧種(NT)に指定されている。 ハイエナの仲間は家畜や家禽を襲うことがあることから、時には害獣として駆除されたりしているが、全体としては森林の開発などによって生息地が減少しているほか、獲物の数なども減少傾向にあり、それに伴う生息数の減少が心配されている。 * 写真は、いずれもブチハイエナ ハイエナ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ハイエナ