アフリカタテガミヤマアラシ

アフリカタテガミヤマアラシさんのプロフィール


動物図鑑・アフリカタテガミヤマアラシ

アフリカタテガミヤマアラシ

齧歯目・ヤマアラシ科
学 名 Hystrix cristata
英 名 African Porcupine / Crested porcupine
分布域 砂漠地帯を除くアフリカの大部分など
生息環境 森林地帯や岩場など、さまざま
体 長 60~85cm 程度
尾 長 8~17cm 程度
体 重 13~25kg 程度

アフリカタテガミヤマアラシは、アフリカの大部分に分布していて、他のヤマアラシ科のものと同様、背中の毛は黒と白のまだら模様の針状になっている。

夜行性の動物でもあり、名前のように、頭部から肩にかけての毛が長く、タテガミ状になっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


アフリカタテガミヤマアラシ分布域・生息環境
アフリカタテガミヤマアラシは、モロッコからアルジェリア、エジプトなどの北アフリカや、シエラレオネからコートジボワールを経てカメルーン、コンゴ、アンゴラなどの他、南アフリカやソマリア、チャド、スーダンなど、アフリカの砂漠地帯を省く様々な地域に分布している。

また、イタリアなどの地中海沿岸部にも分布していて、生息環境は様々で、森林地帯のほか、サバンナや乾燥した岩地などにも生息していて、2000mを超える高地にも姿を見せる。


アフリカタテガミヤマアラシの大きさ・形態
アフリカタテガミヤマアラシは齧歯類の中では体が大きく、体長は60~85cm程もあり、大きいものでは体重が25kgを超えるものも見られる。

体色は黒色や濃い茶褐色などで、名前のように、頭部から肩にかけての毛は長く、タテガミのようになって生えている。
ほかのヤマアラシと同様、背側には特徴のある黒白のまだら模様の針が多数生えている。

この針は体毛が変化したもので、先は鋭く、軽く触れただけでも刺さるほどである。
針は硬くもあり、動物園の飼育場の硬い壁などに擦れると、シャーシャーというような音を発するほど硬い。

また、尾の針は空洞状になっていて、尾を振ることでカラカラというような音を発し、仲間への警戒音や外敵などへの威嚇音にもなっている。

前肢に4本、後肢には5本の指をもっていて、歩く時は蹠行性で、クマの仲間などのように、足の裏はかかとまでつけて歩く。

また、首の下に月の輪のような白い模様が見られるものが多いほか、アフリカタテガミヤマアラシは嗅覚には優れているが、目は小さくて視力はあまりよくない。


アフリカタテガミヤマアラシの生態・生活

アフリカタテガミヤマアラシは森林やサバンナ、乾燥した岩地や砂丘などに生息しているが、環境への適応力に優れ、耕作地の周辺や、北アフリカのアトラス山脈では標高2500m程の高地にも姿を見せる。

主として夜行性で、昼間は地面に掘った巣穴などで休んでいる。
巣穴は自分で掘ったりする他、洞穴や岩の隙間などのほか、ツチブタの掘った古巣などを利用することもある。

多くの場合、巣穴は長年に渡って使用され、それに伴って長さや広さも大きくなる。
また、夜行性の動物では珍しく、アフリカタテガミヤマアラシはペアや家族単位の小数の群れで生活している。

夕方から夜間にかけて採食に出かけ、草や木の根、樹皮や球根、落下果実などの植物質のものを主に食べるが、昆虫類やカエルなどの小型の脊椎動物などのほか、死肉を食べることも知られている。

採食するときは食べ物を押さえたり掴んだりして、前足をうまく使って食べるが、噛む力が強く、木の葉などは枝ごと食べてしまう。

動物の骨などもよく齧ったりするが、これはカルシウムなどを摂取すると共に、門歯を研ぐためにも行われる。
また、アフリカタテガミヤマアラシは動物の骨を岩穴などに蓄える習性があると言われている。

外敵はライオンヒョウハイエナなどだが、危険が迫ったときなどは、尾を振って警戒音を出し、仲間に知らせたり相手に警告したりする。

更に相手が近づいてくると、後ろ向きになって、背中の針を逆立てるように扇状に大きく広げて威嚇する。
これで相手がひるまないときは、針を逆立てたまま突進する。

針は体から抜けやすく、相手には刺さりやすい造りになっている。
この攻撃方法は天敵に対しても効果的で、針の攻撃は相手にとって致命的となることもある。
その為、成獣が捕食されることはほとんどないと言われている。

また、アフリカタテガミヤマアラシは木に登ることは滅多にないが、体に似合わず泳ぎはうまい。


アフリカタテガミヤマアラシの繁殖・寿命

アフリカタテガミヤマアラシには決まった繁殖期が見られないが、ふつうは1年に一度繁殖すると言われている。
繁殖は一夫一婦で行われ、雌はしばしば出産と育児用の巣穴を別につくることがある。

雌の妊娠期間は95~110日程で、1産1~4仔を出産するが、妊娠期間は66日前後とも言われていて、これについてははっきりしない。
かなり違っているので、遅延着床か何かの理由があるのだろう。

インドタテガミヤマアラシの雌の妊娠期間も8ヵ月程度、或いは4ヵ月程度とも言われているが、これに比べても66日の妊娠期間はかなり短いように思われるが、詳しいことは確認できていない。

生まれたばかりの子どもの体重は1kg程で、目は既に開いていて、門歯も生えている。
体は短い毛で覆われているが、1週間ほどで巣穴から出てくるようになり、この頃には針が硬くなりはじめている。

2~3週間ほどで固形食を食べるようになり、雌雄共に1~2年で親と同じ程の大きさに成長し、この頃には性成熟する。

齧歯類の中では寿命が長く、野生下では12~15年程度、飼育下では20年を超え、長いものでは28年ほどの寿命をもっている。


アフリカタテガミヤマアラシの保護状況・その他

アフリカタテガミヤマアラシは分布域が広く、個体数は安定していると考えられていて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

しかし、地域によっては食用にとして密猟されたりしているほか、農地の拡大と共に農耕地にも姿を現し、ゴムの木をかじったり、トウモロコシやサツマイモ、カボチャなどの農作物に被害を与えることから、害獣として駆除されることがある。

また、アフリカタテガミヤマアラシは環境への適応力に優れているが、エジプトでは絶滅しているとも言われている。

この他、アフリカタテガミヤマアラシには次の亜種が認識されているが、この他にも幾つかの亜種があるとも考えられている。

・Hystrix cristata cristata
・H. c .lonnbergi
・H. c. occidanea
・H. c. senegalica

尚、ヤマアラシの仲間は、アフリカやアジアなどに分布するヤマアラシ科に属しているものと、南北アメリカに分布しているアメリカヤマアラシ科に属しているものが知られているが、アフリカタテガミヤマアラシはヤマアラシ科に属してい.る。

いずれも「ヤマアラシ」とは呼ばれているが、両科は互いに近縁な関係があるわけではなく、両科の分類学的系統はそれぞれ独立したものであることが確認されている。

また、本種は単に「タテガミヤマアラシ」と呼ばれることもあるが、アジアに分布しているインドタテガミヤマアラシと混同することがあるので注意する必要がある。

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