ヤマアラシの仲間はアフリカやアジア、南ヨーロッパ、南北アメリカなどの温帯や熱帯域に分布していて、森林地帯やステップ、サバンナなどに広く生息している。 しかし、アジアやアフリカなどの旧大陸に分布するヤマアラシと、新大陸である南北アメリカに分布するヤマアラシは互いに近縁な関係ではなく、両者はそれぞれ独立した分類学的系統をもっている。 ヤマアラシの仲間は、いずれも針に覆われたような特徴のある体をしているが、体に見られる針以外はあまり共通した特徴はなく、前者はヤマアラシ科に分類され、タテガミヤマアラシなどが属しているが、後者はカナダヤマアラシなどが含まれるアメリカヤマアラシ科を構成していて、「ヤマアラシ」という呼び名は、これら両科に属しているものの総称として用いられている。 どちらの科に属しているものも主として夜行性で、昼間は巣穴に潜んでいることや、主に草や木の葉、樹皮、果実などを食べる草食性であることなどは共通しているが、アメリカヤマアラシ科のものは丈夫な爪をもち、木にも登るのもうまい。 この為、アメリカに分布しているものは半樹上性の生活をしていて、採食の為に木に登ることが多く、キノボリヤマアラシの尾は長く、木の枝に巻きつけることもできる。 また、いずれも毛色は黒色や茶色、茶褐色のものから、灰色のものも見られ、四肢はふつう短い。 体に見られる針は体毛の変化したもので、外敵から身を守るのに役立っている。 普段は単独や家族単位で生活していることも共通していて、繁殖期は様々だが、普通は1産1子を出産する。 寿命には長短があるが、長いものでは、飼育下で20年を超える。 国内ではアフリカなどに分布しているアフリカタテガミヤマアラシなどがよく見かけられるが、この種はヒョウなどの外敵に襲われたときは、針になった毛を逆立てて、後ろ向きに突進する。 この攻撃方法は効果的で、時には相手に致命傷を負わせることがある。 また、北アメリカに広く分布しているカナダヤマアラシなども同じような攻撃方法を見せるが、こちらは、時には尾で相手を打ちつけ、針が相手に飛ぶようなこともある。 尚、現在ヤマアラシ科には11、カナダヤマアラシ科には12の種が確認されているが、カナダヤマアラシ科に属しているSphiggurus pallidus は絶滅したと考えられている。 写真右下はカナダヤマアラシ。その他は、いずれもアフリカタテガミヤマアラシ。 ヤマアラシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ヤマアラシ
Erethizontidae (アメリカヤマアラシ科)