ツチブタは管歯目ツチブタ科に属する動物で、この目は1科1属1種でツチブタだけで構成されている。 マダガスカルを省くアフリカのサハラ砂漠より南に広く分布し、サバンナや森林地帯、草原、低木林など様々な環境に生息し、エチオピアなどでは標高3000m程のところにも姿を現している。 ツチブタはかなり特徴のある体つきをした動物で、体はブタに似ているが、尾はカンガルーのように丈夫で長く、口先は管状で先が細い。 耳も大きくロバに似ており、長さは15~20cm程もある。 全身は灰褐色から灰色がかった黄色い剛毛がまばらに生えていて、皮膚は厚い。 四肢は太くて短く、前肢に4本、後肢に5本の平爪があり、爪は丈夫で長く、外縁は鋭い。 ツチブタはこの丈夫な四肢と爪によって地面に穴を掘って生活しているが、きわめて力が強く、わずかな間に自分の姿が見えないくらいの穴を掘ってしまう。 また、ツチブタの鼻孔は体毛で覆われているので、土を掘る際にも砂などが入りにくくなっている。 ツチブタは同じ地域に多数の仲間が穴を掘って居住する性質があるが、群れはつくらず単独で生活している。 巣穴は3mほど掘り進んだ突き当たりに部屋をつくって生活しているが、時には10mを超える巣穴をつくることもある。 また、ツチブタが掘った巣穴を利用して、コウモリやヤマアラシが住んでいることもある。 歯は独特で、ツチブタには門歯や犬歯はなく臼歯だけであるが、この臼歯にはエナメル質がなく、また歯根もないので顎にしっかり固定されている訳でもない。 また、歯の中心は中空になった六角形の形で、これが「管歯目」の名の由来となっている。 主にサバンナや開けた森林等に生息しているが、日中は巣穴の中で丸くなって眠っていて、夜になると採食に出掛ける。 アリ、シロアリ、イナゴなどの昆虫類が主食で、アリやシロアリの巣を丈夫な爪で壊して、長くて粘着性のある舌でなめとって食べる。 この舌はアリクイのように長く、口の外に30cm程も突き出すことができる。 また、ツチブタは昆虫などの他にもウリ科の果実なども食べ、これで水分を補給していると考えられている。 聴覚はたいへんすぐれていて、シロアリの群れの移動を知ることが出来ると言われているほどであり、温度変化にも敏感と言われている。 単独で夜行性であるために人目につきにくいが、ツチブタは活動的で、行動範囲は2~5k㎡と言われ、一晩で10km、時には30kmも移動する。 また、ツチブタは様々な環境で見られるが、アリやシロアリのいないところや、湿地帯などでは見られない。 外敵はライオンやヒョウ、ハイエナなどのほか、人による狩猟も行われている。 危険が迫ると、素早く穴を掘って身を隠すが、追い詰められたりすると後足で立って前足を使って叩いたり、丈夫な爪を使って攻撃したりする。 一夫多妻と考えられていて、決まった繁殖期は知られていない。 妊娠期間は7ヵ月程で、ふつうは1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重1.8kg程で、目は開いている。 離乳期間は3ヵ月程で、半年ほどで独立するが、多くは次の子どもが生まれるまで母親と一緒に生活している。 雌雄共に2年程で成熟し、野生での寿命は15年程度、飼育下では20年程度と考えられている。 現在のところ、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅の恐れはないとしているが、ツチブタは極めて憶病な動物で、人目に付きにくいことから詳しい分布状況などは分かっていない。 管歯目の動物へ / このページの先頭へ |
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ツチブタ