シマハイエナはアジア圏にも分布する唯一のハイエナの仲間で、サハラ砂漠より北のアフリカからアラビア半島を経て、中東からインド、ネパールに至る広い地域に分布している。 体はブチハイエナやカッショクハイエナに比べると小さいが、体つきはがっしりとしている。 また、ほかのハイエナのように、首は長く、後肢より前肢が長い。 四肢には4本の指があり、耳は大きくて先がとがっている。 体は雄の方が雌よりも少し大きく、毛色は褐色や淡褐色、赤褐色や灰黄色などの地に暗い縞がある。 毛はやや長くて粗く、首筋から肩と背にかけての毛は他より長く、タテガミ状になっている。 また、肛門腺と指間腺が発達していて、縄張りはこれらからの臭いなどによって主張されるが、シマハイエナの雌の生殖器は、ブチハイエナのような特殊な形はしていない。 サバンナや草原、低木地などのほか、乾燥した岩の多い半砂漠地帯などにも生息している。 標高1500m位までのところに多く見られるが、パキスタンでは標高3000mを超える高地にも姿を見せる。 しかし、完全な砂漠地帯では見られず、水場から遠く離れてしまうことはなく、行動範囲の中には河川などの水場が含まれている。 シマハイエナは時に昼間も活動するが、主として夜行性の動物で、日中は巣穴や岩穴などで休んでいることが多い。 普段は単独で生活しているが、広い行動範囲をもっていて、その中を歩き回って獲物を探す生活をしている。 食性は肉食で、主にブチハイエナやチーター、ヒョウやライオンなどが食べ残した死肉を探してこれを食べるが、自らも小動物を捕らえ、鳥や魚、果実なども食べる。 また、ハイエナの仲間はライオンなどが獲った獲物を横取りしたり、その食べ残しをあさったりするという印象が強いが、力が強く、ウシ科などの大型動物も倒すことがある。 シマハイエナは普段は群れをつくらずに単独で生活しているが、このような大きな獲物を倒すときは複数が協力して狩りを行い、獲物が少ないとヤギやヒツジ、ロバなどの家畜を襲うこともある。 あごの力は非常に強く、ウシの骨やカメの甲羅などもひと噛みで噛み砕いてしまうほか、視覚や聴覚、嗅覚も優れている。 また、食べ残した獲物などは、巣穴や土の中などに隠しておく習性がある。 巣穴は地面を掘ってつくられることが多く、幾つかの部屋が設けられているが、稀にほかの動物が使った穴などを利用することもある。 声をたてることは少ないが、興奮したりするとギャアー・ギャアーといったような声を上げるが、時には人の笑い声に似たような声も出す。 脅かしたり危険を感じたりすると、タテガミを逆立ててうなり声を上げて威嚇するが、ブチハイエナに比べて、シマハイエナの性質は荒くなく、向かってくることはあまりないと言われている。 決まった繁殖期は見られないが、多くは5~9月の間に見られる。 妊娠期間は88~92日程で、1産1~6子、平均すると2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は600~700g程で、目は閉じている。 生後1週間~10日程で目が開き、子育ては雌が行う。 子どもはひと月頃から肉を食べるようになるが、1年程は授乳期間がある。 雌雄共に2年過ぎには性成熟し、寿命は野生下で10~12年程度と考えられているが、飼育下では20年を超える。 外敵はライオンやトラ、ヒョウやブチハイエナなどだが、一番の外敵は人間で、近年では生息地の開発などによって、シマハイエナの生息数は減少している。 現在では国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、準絶滅危惧種(NT)としてレッドリストに指定されている。 ハイエナ科の動物へ / このページの先頭へ |
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シマハイエナ