クビワペッカリーはイノシシに似た偶蹄類で、北アメリカ南部から南アメリカにかけて分布している。 肩から首にかけて首輪に見える模様があり、これが名前の由来になっている。
クビワペッカリーの分布域・生息環境 クビワペッカリーはテキサスやニューメキシコ、アリゾナなどの北アメリカ南部から中米を経て、南アメリカのコロンビアからブラジル、アルゼンチンの北部辺りまで分布している。 森林地帯のほか、渓谷や山地、砂漠やサバンナなど、かなり幅広く生息していて、畑などの耕作地や人の住んでいるところにも現れる。 さまざまな環境に適応しているが、垂直方向の生息域も広く、平地から標高3000m近いところにも姿を見せる。 クビワペッカリーの大きさ・特徴 ペッカリーの仲間は一見するとイノシシに似ているが、ペッカリーの背中には一種の臭腺があるのが特徴で、これを背中にある臍に見立てて、ペッカリーにはヘソイノシシの別名がある。 また、外見はイノシシよりもブタに似た感じもするが、後ろ足の指は3本で、2対の乳頭がある。 クビワペッカリーの体高は35~55cm程で、ペッカリーの中では体が小さいが、中には体重が40kg程に成長する大きなものも見られる。 頭部は鼻が突き出た感じの楔形で、上顎には牙(犬歯)があり、この牙は下向きに湾曲して伸びている。 胃はウシのような反芻獣と同じようになっているほか、視覚や聴覚はよくないが、嗅覚は非常によく発達している。 体色は分布域によって多少の差異はあるが、全身が暗灰色や灰黒色、黒色などをしている。 また、クビワペッカリーの特徴は肩から首にかけて白色か黄褐色の帯で、これが首輪に見えることから名前が付けられている。 クビワペッカリーの生態・生活 クビワペッカリーは森林地帯や渓谷、砂漠やサバンナなど、平地から山地まで様々な環境に生息していて、群れをつくって生活している。 普通は5~15頭ほどの小さな群れで生活しているが、時に50頭ほどの群れをつくることもある。 また、群れの中での雌雄の数や年齢は一定しておらず、はっきりとした上下関係なども見られないが、クビワペッカリーには時おり仲間同士で相手の臭腺に自分の肩などをこすり付けて臭いをつけることによってコミュニケーションをとる習性がある。 昼夜を問わず涼しい時間に活動し、雑食性で、木の実や果実、地下茎、サボテンやヤシの実などのほか、昆虫やトカゲなどの爬虫類なども食べる。 また、農耕地に入って野菜や穀類などを食べることもある。 外敵はジャガーやピューマ、オオカミやコヨーテなどだが、地域によっては狩猟の対象にもなっている。 また、オセロットやボブキャット、ワニなどもクビワペッカリー襲うことがあると考えられている。 クビワペッカリーの繁殖・寿命 クビワペッカリーには決まった繁殖期がなく、1年を通して繁殖する。 また、繁殖のピークは雨季に見られると言われているが、その時期は地域によって変化がある。 繁殖は一夫多妻で、ふつうは群れの中の優位な雄が複数の雌と交配する。 雌は妊娠中や授乳中でない限りは繁殖し、1年に2回出産する。 雌の妊娠期間は138~148日程で、1産1~5子、ふつうは1~2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は500g程で、赤味や黄色を帯びている。 子どもは生後1~2時間ほどで歩けるようになり、数日のうちには母親について歩き回ることができるようになる。 育児は雌によって行われ、子どもは6~8週間ほどで離乳するが、その後もしばらくは親と一緒に生活している。 雌は33~34週、雄は46~47週ほどで性成熟し、この頃には完全に独立する。 飼育下での寿命は長く、動物園などでは24年を超す記録があり、30年を超えることもあると言われている。 一方、野生下での寿命はこれよりも短く、7~10年、長いもので15年程度と考えられている。 クビワペッカリーの保護状況・その他 クビワペッカリーは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないと考えられている。 しかし、ピューマやジャガーなどの外敵に捕食される他、毛皮や肉を目的としてかなりの数が捕獲されている。 また、開発による生息地の分断などもあって、個体数の動向が注意されている。 |
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