マレーバク

マレーバク さんのプロフィール


動物図鑑・マレーバク

マレーバク

奇蹄目・バク科
学 名 Tapirus indicus
英 名 Malayan Tapirr / Asian Tapir
分布域 ミャンマーからマレー半島、スマトラ島など
生息環境 森林地帯など
体 長 180~250cm 前後
尾 長 5~10cm 程度
体 重 250~350kg 前後
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

バクは現存している有蹄類の中ではもっとも原始的な動物と考えられていて、南アメリカとアジアに分布している。

南米には3種類(或いは4種)のバクが知られているが、マレーバクはアジアに分布している唯一のバクの仲間で、体の色が白と黒にはっきりと分かれていることが特徴になっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


マレーバクの分布域・生息環境

マレーバクはタイ南部やミャンマー南部、ベトナム南部やカンボジア南部などのインドシナ半島からマレー半島にかけて分布していて、インドネシアのスマトラ島にも分布している。

森林内の湖沼や河川周辺、湿地帯など、水辺の近くに生息していて、普段は単独で生活している。


マレーバクの大きさ・特徴

マレーバクは、バクの仲間の中ではもっとも体が大きいと言われていて、肩高は0.9~1m程度、平均した体重は250~350kg程もある。
また、体は雌の方が大きく、大きいものだと体重が500kgを超えるものも見られる。

全体にずんぐりとした体つきで重々しく、近くで見ると思った以上に迫力がある。
頑丈な四肢が体を支えているが、南米に分布しているバクと同様、前足に4本、後ろ足にはサイと同じく3本の蹄があり、尾は短い。
鼻も上唇と一緒になってのびていて、かなり自由に動かすことができる。

しかし、アメリカバクなどに見られる耳の間から肩にかけての皮膚の盛り上がりは、マレーバクでは見られない。

また、体は白と黒にはっきりと色分けされているのがマレーバクの特徴で、頭部と体の前、後ろ足が黒色で、中央部分は白色になっている。
その様子は「サドルパターン」と呼ばれることもあるが、耳の先が白く縁取られていることは、ほかのバクと同じである。


マレーバクの生態・生活

マレーバクは森林内の奥深い湖沼や河川の近く、湿地帯などの水辺に生息していて、標高2000m程のところでも見られるが、水辺から遠く離れるようなことはない。

群れをつくることはなく、普段は単独で生活しているが、食料の豊富な所では群れで採食していることもある。

行動範囲は10~25平方km程度と考えられていて、樹木などに尿をかけて縄張りを主張する習性があるが、行動範囲は雌の方が広いとも言われている。

主として夜行性の動物で、暗くなってから水中の水草や、森の中で草や木の葉などの植物や果実を食べるが、この時には長くのびた口先をうまく使って採食する。

しかし、視力は非常に悪いとされていて、餌を探したり動き回るときは、優れた嗅覚と聴覚に頼っている。
また、人や外敵との接触が多いところでは夜行性になるが、そうでないような所では早朝や夕暮れ時に活動する。

ほかのバクと同様、マレーバクは水浴びすることを好み、泳ぎもうまい。

外敵はヒョウトラなどだが、成獣のマレーバクは体が大きいこともあり、実際に捕食されることは少ない。

しかし、襲われると水の中に逃げ込んで身を守り、大きくて重い体にもかかわらず、走るのも素早い。
また、首周りの皮膚は2.5cm程もあって、牙をもつ動物に対しての防御にもなっているが、噛まれた時などは、近くにある樹木に相手を叩きつけるようなこともする。

白黒にはっきりと分かれた毛色も目立つようにも思うが、夜間では白い部分が強調されることによって、かえって輪郭がぼやけてしまい、カモフラージュの役目を果たしていると言われている。

また、普段の動きはゆったりとして、性質もおとなしいが、体が大きくて犬歯も発達しているので、怒らせたりすると危険な動物でもある。 


マレーバクの繁殖・寿命

マレーバクの繁殖期は4~6月頃に見られ、繁殖は一夫一婦で行われる。
雌の妊娠期間は390~410日程で、ふつうは1産1子を出産するが、2子を出産することもある。

生まれたばかりの子どもの体重は6.5kg程で、南米のバクの子どもよりも平均すると大きい。
子どもには、他のバクやイノシシの子どものように縦縞があるが、半年ほどでその縞はなくなり、親と同じ白黒の体になる。

子どもは生後1~2時間ほどで立てるようになり、2週間ほどで固形食も食べるようになる。
生後3週間ほどで泳ぐこともできるようになるが、育児のすべては雌によって行われる。

子どもは6~8ヶ月ほどは授乳され、ふつうは親が次の出産をするまでは一緒に生活している。
雌雄ともに3年程で性成熟するが、雌は雄よりもやや早く成熟する傾向がある。

野生下での寿命は25~30年程度と言われているが、飼育下では35年を超えたものも知られている。


マレーバクの保護状況・その他

マレーバクは、近年の森林開発や伐採などによって生息地が減少していて、ほかのバクと同様、個体数の減少が心配されている。

かつてはラオスなどにも分布していたが、ベトナムやカンボジアでもほとんど見られなくなり、現在では国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されていて、南米に分布しているバクの仲間も絶滅危惧種に指定されている。

尚、マレーバクの体はふつう白黒にはっきりと色分けされているが、全身が真っ黒の個体が少数観察されていて、これらは Tapirus indicus brevetianus と呼ばれる亜種に分類されている。

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