バクの仲間は、現存する有蹄類の中ではもっとも原始的な動物で、四肢には前足に四つ、後ろ足に三つの蹄をもっている。 アメリカバクはブラジルを中心に分布していることから、別名ブラジルバクとも呼ばれているが、アメリカバクはチリとアンデス山脈の西部を省く、ギアナからベネズエラ、コロンビア、エクアドル東部、ペルー北東部、ボリビアとアルゼンチンの北部までの熱帯林に広く生息している。 体高は80cm~1m程で、東南アジアに生息しているマレーバクよりは小さい。 毛は短く、毛色は濃い茶色や茶褐色で、首からのどにかけては淡い。 体つきはずんぐりとした感じがするが重々しく、足は短いが丈夫で、尾も短い。 また、バクの仲間はいずれも耳の先が白く縁取られているが、アメリカバクの耳の間から首の背にかけては皮膚の盛り上がりがあり、これがたてがみ状をなしているのがマレーバクとは異なっている。 アメリカバクは山地の熱帯雨林に多く見られるが、低地林や湿地にも広く生息している。 また、水辺を好み、深い森林の湖沼や川の近くで生活しているが、標高4500m程の高地にも現れることがある。 普段は単独で生活していて、日中は茂みの中などで休んでいることが多い。 完全な夜行性ではないが、昼間は休み、夕方から活動する傾向が強い。 主に果実や草、木の葉、樹皮、水草などを食べるが、アメリカバクの鼻と上唇は長くのび、ゾウほどではないが、これをかなり自由に動かして食物をとったりすることができる。 また、視力はそれ程でもないが、嗅覚は鋭い。 ジャガーやヤブイヌなどの外敵に襲われると茂みに逃げ込んだりもするが、アメリカバクは泳ぎもうまく、近くに水があるときは水中に逃げ込んで身を守る。 潜水能力も優れていて、カバと同様、かなりの時間潜っていることができ、完全に体を沈めて、水の中を歩いて逃れる。 また、性質は一般におとなしいが、犬歯は鋭く、時には身を守る武器になる。 詳しい行動範囲などは分からないが、尿などで臭いをつけて、縄張りを主張する。 繁殖は4~6月頃に多いとされているが、一年中見られ、決まった繁殖期はないと言われている。 雌の妊娠期間は335~440日と長く、平均385日前後で、ふつうは1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重3~6kg程で、6~8ヵ月ほどは授乳される。 子どもにはイノシシやマレーバクと同じような縦縞の模様が見られるが、成長するにつれて薄くなり、一年程度で見えなくなる。 1年半頃には親と離れて独立し、飼育下での寿命は30年程と考えられている。 このほか、近年では森林の開発や破壊などでアメリカバクの生息数は減少していて、現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。 また、バクの仲間には、アジアのマレーバクのほか、南米にはベアードバク (別名チュウベイバク / メキシコ南部、中央アメリカ、コロンビアに生息) やアンデスバク (ヤマバク / 南米北部のアンデス山中に生息) などが現存しているが、これらの種も生息数は減少していて、絶滅危惧種としてレッドリストに指定されている。 バク科の動物へ / このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
アメリカバク (ブラジルバク)