アメリカバク

アメリカバク (ブラジルバク) さんのプロフィール


動物図鑑・アメリカバク

アメリカバク (ブラジルバク)

奇蹄目・バク科
学 名 Tapirus terrestris
英 名 South American Tapir / Brazilian Tapir
分布域 ブラジルやコロンビアなど
生息環境 森林地帯など
体 長 180~250cm 前後
尾 長 5~10cm 程度
体 重 150~250kg 前後
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (VU)

アメリカバクはアマゾン川流域に分布しているバクの仲間で、別名・ブラジルバクとも呼ばれている。
他のバクと同様、主に夜間に活動し、普段は単独で生活している。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


アメリカバクの分布域・生息環境

アメリカバクはブラジルを中心に分布していることから、別名・ブラジルバクとも呼ばれているが、アメリカバクはチリとアンデス山脈の西部を省く、ギアナからベネズエラ、コロンビアを経てエクアドル東部やペルー北東部、ボリビアとアルゼンチンの北部まで広く分布している。

山地の森林地帯に多く生息しているが、低地の森林や沼地などにも生息していて、標高4500m辺りまでの高地にも姿を見せる。
また、水辺近くを好み、河川周辺の森林などに多く見られる。


アメリカバクの大きさ・特徴

アメリカバクの体高は80cm~1m程で、ベアードバクや東南アジアに生息しているマレーバクよりは小さい。

しかし、平均した体重は150~250kgもあり、大きいものでは300kg程に成長するものもいると言われている。

体は雌の方が大きいが、雌雄ともに重々しい体つきで、尾は短い。
他のバクと同様、鼻と上唇は一緒に延びていて、口吻をかなり自由に動かすことができる。

アメリカバクの特徴は、耳の間から首の背にかけての皮膚の盛り上がりで、これがタテガミ状をなしているのが特徴になっている。

また、バクの仲間は、現存する有蹄類の中ではもっとも原始的な動物とされているが、前足に四つ、後ろ足に三つの蹄をもっている。

体毛は短く、毛色は暗褐色や茶褐色などで、首から喉にかけては淡い色をしている。
また、バクの仲間はいずれも耳の先が白く縁取られているが、アメリカバクの耳にも特徴的な白い縁取りが見られる。


アメリカバクの生態・生活

アメリカバクは山地の熱帯雨林に多く見られるが、低地林や湿地にも広く生息している。

水辺を好み、深い森林の中にある湖沼や川の近くで生活しているが、標高4500m程の高地にも現れることがある。

普段は単独で生活していて、日中は茂みの中などで休んでいることが多い。
完全な夜行性ではないが、昼間は休み、夕方から活動する傾向が強い。

主に果実や草類、木の葉や樹皮、水草などを食べるが、アメリカバクの鼻と上唇は長くのび、ゾウほどではないが、これをかなり自由に動かして食物をとったりすることができる。

詳しい行動範囲などは分からないが、縄張りをもった生活をしていて、尿で樹木などに匂いをつけて縄張りを主張する。

性質はおとなしいが、縄張りを守ったりするときや、繁殖期に雌をめぐって争うときなどは攻撃的になる。
また、視力はそれ程でもないが、嗅覚は鋭い。

外敵はジャガーピューマヤブイヌなどで、危険を感じると素早く茂みに逃げ込んだりするが、アメリカバクは泳ぎもうまく、近くに水があるときは水中に逃げ込んで身を守る。
潜水能力も優れていて、カバと同様、かなりの時間潜っていることができ、完全に体を沈めて水の中を歩いて逃れることもある。

追い詰められた時などは、鋭い犬歯を武器にして相手に向かって行くが、水辺ではワニに襲われることもあるほか、子どもはオオアナコンダに襲われることもある。
また、アメリカバクは肉や皮を目的として狩猟されることもある。


アメリカバクの繁殖・寿命

アメリカバクの繁殖は4~6月頃に多いとされているが、繁殖は一年中見られ、決まった繁殖期はないと言われている。

また、繁殖は一夫多妻と考えられているが、これについてははっきりとは分かっていない。

雌の妊娠期間は335~440日と長く、平均385日前後でふつうは1産1子、稀に2子を出産する。

生まれたばかりの子どもは体重3~6kg程で、6~8ヵ月ほどの授乳期間がある。
子どもにはイノシシやマレーバクなどと同じような縦縞の模様が見られるが、成長するにつれて薄くなり、一年程度で見えなくなる。

子どもは1年半頃までには親と離れて独立していくが、それまでの育児は雌によって行われる。
雌は2~3年、雄でも3年ほどで性成熟し、野生下でのアメリカバクの寿命は分かっていないが、飼育下では30~35年程の寿命をもっていることが知られている。


アメリカバクの保護状況・その他

近年の森林開発や伐採、家畜との競合などにより、アメリカバクの生息数は減少していて、現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。

保護区に生息しているものに対しても密猟などが後を絶たず、更なる個体数の減少が心配されている。

一方、ブラジルなどでは家畜化されているところもあり、ウシロバなどの様に農耕用に利用されてもいる。

また、バクの仲間には、アジアに分布するマレーバクのほか、南米にはベアードバク (別名チュウベイバク / メキシコ南部、中央アメリカ、コロンビアに生息) やアンデスバク (ヤマバク / 南米北部のアンデス山中に生息) などが分布しているが、これらの種も生息数は減少していて、絶滅危惧種としてレッドリストに指定されている。

尚、アメリカバクには次の亜種が認識されている。

Tapirus terrestris terrestris
ブラジルやガイアナ、スリナムや仏領ギアナなどに分布する基亜種

T. t. aenigmaticus
エクアドル東部やコロンビア東部、ペルー北東部などに分布

T. t. colombianus
コロンビア北部

T. t. spegazzinii
アルゼンチン北東部やパラグアイ、ブラジル南東部やボリビア東部などに分布

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