ベアードバク

ベアードバク(チュウベイバク) さんのプロフィール


動物図鑑・ベアードバク

ベアードバク(チュウベイバク)

奇蹄目・バク科
学 名 Tapirus bairdii
英 名 Central American tapir
分布域 中央アメリカやコロンビアなど
生息環境 森林地帯の湖や川の近く
体 長 180~250cm 前後
尾 長 7~13cm 程度
体 重 150~300kg 前後
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

ベアードバクは中央アメリカから南アメリカ北部にかけて分布しているバクの仲間で、別名・チュウベイバクと呼ばれている。

南アメリカに生息するバクではもっとも体が大きく、小さなロバほどの大きさがある。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ベアードバクの分布域・生息環境

ベアードバクはメキシコ南部からグアテマラ、パナマを経てコロンビア北部などに分布しているが、エクアドルのグアヤキル辺りまで分布していると言われている。

平地から標高3500m程の高地まで見られ、森林や疎林、二次林や河川林、湿地や沼地など、様々な環境に生息している。
しかし、水と関係した生活をしていて、水源から遠く離れたところでは見られない。


ベアードバクの大きさ・特徴

ベアードバクは南アメリカに生息するバクではもっとも体が大きく、180~250cm程の体長がある。

大きいものでは体重が300kgを超えるものも見られ、アジアに分布しているマレーバクと共に、バクの中ではもっとも大きいと言われている。

体つきはがっしりとしていて、ほかのバクの仲間と同様、蹄は前足が4本、後ろ足が3本で、耳の先はやはり白く縁取られている。

鼻も上唇と一緒になって前方に突き出していて、かなり自由に動かすことができる。

全身は褐色や濃褐色、黒色などで、顔や喉、胸などは淡い色をしている。
また、ベアードバクは3,000mを超える高地にも生息しているので、高地のものは低地のものよりも毛が密生している。

一見してアメリカバク (ブラジルバク) と似ているが、ベアードバクの方が頭頂から鼻にかけて膨らみをもっている特徴があるほか、頭頂から背にかけて見られるタテガミは、アメリカバクほどはッきりとしていない。


ベアードバクの生態・生活

ベアードバクは低地から山地の森林や草原地帯の沼地や川辺、湿地帯など、水辺を好んで生息していて、水から完全に離れたようなところでは見られない。

普段は単独で生活しているが、雌雄と子どもからなる家族で生活していることもある。

昼夜共に活動するが、主として夜行性の動物で、昼間は暑さを避けて森の中に潜んでいることが多い。
涼しくなる夕方から活動を始め、主に草類や木の葉、果実、水草などを食べるが、鼻は上唇と共に長くなっていて、ゾウのように口吻を使って草や木の葉を引き寄せて食べる。

時には後ろ足で立ち上がったり、草木を押し倒したりして高いところにある植物を食べたりもする。
また。木の葉などはすべて食べてしまうことなく、食べつくしてしまう前には次の木に移ると言われている。

行動範囲は生息地域や季節によって変化するが、コスタリカの熱帯雨林では1.3~1.7平方km程度と言われている。
他のバクと行動範囲が重なっていることも多いが、それぞれが尿で臭いをつけて縄張りを主張している。

また、水浴びを好みむが、ベアードバクは泳ぎもうまく、外敵に襲われると水の中に駆け込んで身を守ったりする。

成獣は体が大きく、ジャガーとアメリカワニ(Crocodylus acutus)以外にはほとんど外敵がいないが、子どもはピューマなどに襲われることもあり、時にはメガネグマが成獣を襲うこともある。


ベアードバクの繁殖・寿命

ベアードバクには決まった繁殖期はないが、乾季と雨季のある地域では、雨季のはじまる前に繁殖することが多い。
繁殖は一夫一婦で行われ、その関係は長期に渡って続くと言われている。

雌の妊娠期間は390~400日前後で、ふつうは1産1子を出産する。
生まれたばかりの子どもは体重9~10kg程で、他のバクの子どもと同様、体には白い斑点や縞がある。

子どもは1年程度の授乳期間があるが、その間は雌雄が共に育児を行い、家族が一緒に行動し、夜間も一緒に休む。
また、子どもは離乳後も親と一緒にいることもあるが、2歳になる頃には独立していく。

ベアードバクの性成熟の年齢は分かっていないが、6~12ヵ月ほどとも言われている。
しかし、アメリカバクは2年、マレーバクは3年程で性成熟すると考えられているので、6~12ヵ月はやや早いようにも思われる。

野生下での寿命はほとんど分かっていないが、飼育下での寿命は20~25年程度と言われていて、29年を超えたものも知られている。


ベアードバクの保護状況・その他

ベアードバクは近年の開発や森林伐採などにより、個体数が大幅に減少している。
分布域も分断化されているほか、地域によっては密猟も行われていて、エルサルバドルでは既に絶滅していると言われている。

現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されているが、更なる保護も求められている。

また、南アメリカにはアンデスバク (ヤマバク / アンデス山中に生息) なども分布しているが、ベアードバクと同様、近年の森林破壊や狩猟などにより数が減り、絶滅が心配されている。

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