メガネグマは南アメリカで見られる唯一のクマで、ベネズエラ西部から、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアなどに分布している。 生息域は広く、標高3,000mの高山地帯の森林から雑木林、低地のサバンナまで、ヒグマのように様々な環境に適応している。 低いところでは、沿岸に沿った低木林でも見られるが、一般には標高1800m辺りより低いところでは見られず、時には4,500mを超えるアンデスの山地などでも目撃されている。 毛色は黒色から黒褐色で、ふつうは名前のように、目のまわりにメガネのようなクリーム色がかった白色の斑紋がある。 しかし、この斑紋は胸の方まで続くものやほんの少ししかないもの、あるいは全く見られないものもいる。 四肢は短く、蹠行性で、歩く時は足の裏をかかとまで地面につけて歩く。 指はいずれも5本あり、爪は鋭く鉤状になっている。 また、メガネグマの体格は雌雄で大きく異なり、雌はかなり体が小さく、平均すると雄の60~70パーセント程度しかない。 メガネグマはクマの中でも草食性が強く、果実のほか木の葉や球根、サボテンなどの植物性のものを主に食べるが、時にはウサギやげっ歯類などの他、シカやラマ、グアナコ、ビクーナなどの大型獣も捕らえることがある。 また、メガネグマは木登りが大変うまく、高いシュロの木に登って若芽を食べたり、ヤシの実なども食べる。 巣穴も樹洞を利用するほか、樹上15~30m程の高さのところに、木の枝などを集めてつくることもある。 メガネグマは夜行性で、昼間は巣の中で休んでいると言われている。 しかし、日中に活発に活動することも知られていることから、食料事情や生息環境などによって活動時間が決まるのではないかと考えられている。 普段は単独で生活しているが、食料の豊富なところでは、何頭かが集まって採食することもある。 また、時にはトウモロコシ畑やサトウキビ畑などに集まることもあり、農作物に被害を与えることもある。 繁殖期は地域によって異なるが、雨季の前の4~6月に多いと言われ、妊娠期間160-225日前後で、雌はふつう1産1~2子、希に3子を出産する。 妊娠期間が長いのは着床遅延が見られるためで、長いものでは250日前後とも言われている。 生まれたばかりの子どもは体重250~350g程度で、目は閉じていて、ひと月を過ぎる頃には見えるようになる。 8ヵ月頃までは母親と一緒に生活し、雄は5年、雌は4~7年で性成熟する。 冬眠することはなく、動物園など、飼育下での寿命は20~25年程度と言われているが、35年を超えたものも知られている。 メガネグマはクマの中では小型で、幼獣は希にピューマやジャガーなどに襲われることがあるが、成獣の唯一の外敵は人であると言われている。 メガネグマはおとなしい性質で、人との接触を避けて生活しているが、人と出会ったりしても木に登ったりしてやり過ごすと言われている。 しかし、毛皮や肉などを目的とした密猟や、近年では森林の開発や破壊なども加わり、生息数は減少している。 現在、メガネグマは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリスト指定され、保護区なども設けられているが、更なる生息地の減少なども心配されている。 クマ科の動物へ / このページの先頭へ |
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メガネグマ