サイ

サイ さんのプロフィール


動物図鑑・クロサイ

サイ

奇蹄目 サイ科
学 名 Rhinocerotidae
英 名 Rhinoceros
分布域 南アジアやアフリカ南部など
生息環境 森林や草原地帯など
体 長 2.4~4m 程度
尾 長 50~70cm 程度
体 重 700~3,500kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種

サイは陸上ではゾウに次ぐ大きな体で、厚くて硬い皮膚に覆われている。
四肢の指はいずれも3本で、奇蹄目サイ科を構成し、アフリカ大陸に分布しているものと、東南アジアに分布しているものがいる。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


サイの分布域・生息環境

アフリカに分布しているサイの仲間は、サハラ砂漠より南に広く分布しているが、分布域は連続しておらず、既に姿を消した地域も多い。

アジアに分布するものは、インドからインドシナ半島、マレー半島、インドネシアなどに分布しているが、アフリカのものと同様、現在の分布域は限られていて、多くの地域で絶滅している。

また、サイの仲間はいずれも森林や草原、藪地や湿地帯などに生息しているが、生息地も現在は限られてしまっている。

尚、現存するサイの仲間は、アフリカに2種、アジアに3種が知られている。

シロサイ (Ceratotherium simum / White rhinoceros)
アフリカ大陸に分布するサイの仲間で、南アフリカ共和国やナミビア、ジンバブエやコンゴ民主共和国などの他、ケニアなどにも分布している。

サイの仲間ではもっとも体が大きく、体長3.5~4.2m、体重3500kg、体高は1.6~1.8m程で、大きいものでは体高2m、体重が4500kg程のもの知られている。
雌雄ともに、角は前後に2本並んでいて、前の角は平均で90cm程だが、長いものでは1.5m程の長さにもなる。

・ミナミシロサイ (C.s. simum / Southern white rhinoceros)
・キタシロサイ (C.s. cottoni / Northern white rhinoceros)
の2亜種が知られているが、ミナミシロサイは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価で、準絶滅危惧種(NT)に指定されているが、キタシロサイは生息地が限られていて、更に固体数が少なく、絶滅危惧種(CR)に指定されている。
クロサイ (Diceros bicornis / Black rhinoceros)
シロサイと共にアフリカ大陸に分布するサイの仲間で、体はシロサイよりもやや小さい。
それでも体長2.5~3.7m、体重も1.500~2,200kg程の重さがある。
シロサイと同様、雌雄ともに角をもっているが、シロサイと違い、クロサイの口先は尖っている。

亜種についての詳しいことは分かっていないが、ふつう次の3亜種は認められている。
・ミナミクロサイ (D.b. minor / South-central black rhinoceros)
タンザニア南部やザンビア、ジンバブエ、モザンビークなどに分布していて、ボツワナやザンビアなどに再導入されている。

もっとも多く見られる亜種とも言われているが、IUCNのレッドリストに絶滅危惧種(CR)として指定されている。
・ヒガシクロサイ (D.b. michaeli / Eastern black rhinoceros)
現在はケニアやルワンダ、タンザニア北部などに分布している。
かつてはスーダン南部やエチオピア、ケニアなどにも分布していたが、ミナミクロサイと同様個体数が減少していて、絶滅危惧種(CR)として指定されている。
・Diceros bicornis occidentalis (South-western black rhinoceros)
ナミビア北部とアンゴラ南部に分布していて、南アフリカ共和国に再導入されている。
この種は、しばしば基亜種・D.b. bicornis (Southern black rhinoceros) と混同されているが、D. b. bicornis は既に絶滅してしまっている。
また、ミナミクロサイと混同されている場合も見られるが、いずれにしても、IUCNでは絶滅危惧種(VU)に指定している。
インドサイ (Rhinoceros unicornis / Indian rhinoceros)
インド北部やネパール、ブータン、バングデシュやミャンマー北部などに分布しているサイの仲間で、体は鎧をつけているような厚い皮膚に覆われているのが特徴になっている。

雄の体長は3.6~4m、体高1.6~1.9m、体重は2100kg程度、雌ではこれよりも小さく、体長は3~3.4m、体高1.5~1.7m、体重は1600kg程度。
角は雌雄ともに持っているが、角は1本で、長さは25cm程だが、50~60cm程に伸びるものも見られる。
かつてはインドシナ半島の多くの地域で見られたと言われているが、現在は生息数が減少していて、IUCNでは絶滅危惧種(VU)に指定している。
スマトラサイ (Dicerorhinus sumatrensis / Sumatran rhinoceros)
インドネシアのスマトラ島やボルネオ島、マレー半島などの一部に分布していて、標高の高い森林などに生息している。
体は雄の方が大きいが、サイの仲間の中では最も体が小さく、体長2.4~3.2m、尾長35~70cm、体重は700~800kg程度で、1.3m程の体高がある。
アジアに分布している他のサイとは異なって、角は2本もっているが小さく、平均すると15~25cm程度しかない。

・ニシスマトラサイ (D.s. sumatrensis / Western Sumatran rhinoceros)
・ヒガシスマトラサイ (D.s. harrissoni / Eastern Sumatran rhinoceros・Bornean rhinoceros)
の2亜種が知られていて、いずれもIUCNでは絶滅危惧種(CR)に指定している。
また、インドやパキスタンに分布していたとされているキタスマトラサイ(D.s. lasiotis / Northern Sumatran rhinoceros)も知られているが、現在は絶滅してしまったと考えられている。
ジャワサイ (Rhinoceros sondaicus / Javan rhinoceros)
かつてはパキスタン辺りからインドシナ半島、マレー半島などにも分布していたが、現在はインドネシア・ジャワ島の一部にしか分布していない。
低地の森林地帯などに生息していて、体長は3m、体高1.5m、体重は900~1400kg程度で、インドサイのように鎧をつけたような体つきをしている。
また、角は1本で、雄で25cm程度、雌ではごく短く、角をもっていないものも見られる。

・R.s. annamiticus / Vietnamese Sunda rhinoceros・Vietnamese rhinoceros
(かつてはベトナムやカンボジアなどのインドシナ半島を中心に分布していたと考えられている)

・R.s. inermis / Indian Sunda rhinoceros
(かつてはベンガル地方やミャンマーなどに分布していた)
の2亜種は既に絶滅してしまっていて、現在は基亜種・R.s.sondaicus(Indonesian Sunda rhinoceros)だけが生息しているとされている。
しかし、個体数は少なく、IUCNの絶滅危惧種(CR)に指定されている。


サイの大きさ・特徴

サイの大きさは種によって差があり、体長2.4~4m、体重は700~3500kgと幅がある。

しかし、いずれも体は硬い皮膚に覆われているのが特徴で、口先はやわらかく、感覚に優れている。
シロサイのほかは口先がやや尖っていて、草類などをうまく口に運ぶことができる。

体には体毛がなく、短い尾の先にわずかな毛が房状に生えているが、体の皮膚にひだがあり、鎧を着ているように見えるものもいる。

また、体色は灰色や褐色などをしているが、サイの仲間は泥浴びを好み、地面を転げまわる習性があることから、体色はしばしば土壌の色を帯びている。

角は、いずれのサイも頭部に1本か2本の太い角をもっている。
角の長さは種によって差があるが、短いもので25cm、長いものでは1.5m程の長さがある。

この角は爪と同じように角質した皮膚で出来ていて、一生のあいだ伸び続ける。
硬いもの突いたり、闘争などによって角がとれたような場合は、ウシ科の角とは違い、またあとから伸びてくる。

嗅覚は優れていて、耳も大きくてかなり自由に動かすことができ、聴覚にも優れている。
しかし、視力はあまりよくなく、時には5~6m程離れたものでも気づかないことがあると言われている。


サイの生態・生活

サイの仲間は森林や草原、藪地や湿地帯などに生息していて、山地の森林などにも見られる。

昼間も活動するが、早朝や夕方、夜間などに活動することが多く、子どもを連れた雌以外は、ふつうは単独で生活している。
草食性で、草類や木の葉、果実などを食べるが、雄は決まった場所に尿や糞をのこして縄張りを主張することが多い。

砂浴びや泥を浴びを好み、しばしば泥の中を転げまわったりしているが、これは寄生虫を取り除いたり、体温調整するのに役立っている。

また、サイは大きな体に似合わず走るのも速く、短い距離なら時速50km近くの速さで駆けることができる。

突進力は強力で、成獣のサイには、人以外には外敵はいないと言われている。


サイの繁殖・寿命

サイには決まった繁殖期は見られず、繁殖は一夫多妻で行われる。
雌は概ね15~16ヵ月程の妊娠期間の後、普通は1産1子を出産する。

子どもの授乳期間や成熟の時期などは種によってやや幅があるが、雌は3~7年、雄は5~8年ほどで性成熟し、飼育下での寿命は35~50年、野生では25~40年程度と言われている。


サイの保護状況・その他

サイの仲間は、かつてはアフリカやアジアに広く分布していたが、古くから角を目的とした乱獲が行われてきたほか、近年では森林開発などによる生息地の減少も伴い、いずれの地域でも個体数が激減している。

幾つかの亜種は既に絶滅してしまっているほか、現在残っているものも生息地が減少、分断されてしまっていて、それに伴う個体数の減少が心配されている。

現在、国際自然保護連合のレッドリストには、ミナミシロサイが準絶滅危惧種(NT)に指定されているが、ほかのものはすべて絶滅危惧種に指定されている。
地域によっては再導入の試みがなされているが、一層の保護が求められている状況になってしまっている。

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