インドサイは、アジアではアジアゾウに次いで体が大きく、近くで見ると、その大きさに圧倒される。 アフリカに生息するサイとは異なり、体には鎧のようにも見えるひだがあり、雌雄ともに1本の角をもっている。
インドサイの分布域・生息環境 インドサイはヒマラヤ山脈の南裾に広がるインド北部からネパールやブータンなど分布していて、サイの仲間の中ではもっとも北方に生息している。 森林や草原、サバンナなどに生息しているが、平野部の湿地に多く、河川や湖沼の近くで生活している。 インドサイの大きさ・特徴 インドサイは、アジアではアジアゾウに次いで体が大きく、体長は3~4m、体重は1500~2200kg程もある。 サイの中ではシロサイが最大だと言われているが、インドサイの肩高も平均して150~190cm程はあり、大きい雄は体長4.5m、体重は3トンほどに成長するものも見られ、インドサイが最大であるとも言われている。 角は雌雄ともに持っているが、アフリカに生息するクロサイやシロサイの角が2本であるのに対して、インドサイの角は1本で 、このためイッカクサイと呼ばれることもある。 角の長さは25cm程だが、長いものでは60cm程になり、一生の間のび続ける。 しかし、インドサイの一番の特徴は、体に鎧のようなひだがあることで、別名・ヨロイサイとも呼ばれることがある。 この鎧のようなひだは肩と臀部が著しく、皮膚は哺乳類の中ではもっとも硬いと言われている。 全身灰色や暗灰色で毛はなく、体は裸出していて耳の先端と尾に黒色の短い毛がある。 インドサイの生態・生活 インドサイは平野部の森林や背丈の高い草が茂る湿地帯などに生息していて、繁殖期以外は単独で生活している。 しかし、子どもは成獣になるまでは母親と共に行動しているほか、若いものは数頭ほどの小さな群れをつくることもある。 インドサイは早朝や夕方に採食することが多いが、夜間も行動することがあり、主に水辺の草類や木の葉、木の枝などを食べる。 体が大きいこともあり、1日当たり150~200kg程の食物を食べるが、果実やタケノコ、穀類のほか、雨季の時期には水生植物なども食べる。 水生植物は水に入って水中のものを食べたりもするが、水面上に残っている背の高い葦や草木を食べる傾向がある。 行動範囲は2~8平方km程度と言われていて、雄の行動範囲は雌の行動範囲と重なっていることがあるが、重複するのは稀とも言われている。 また、水場などは重なっていることもあるが、インドサイは行動範囲内の決まった場所で糞をする習性があり、水辺などでは複数が共同で使用する糞場が見られると言われている。 河川や湖沼、湿地などの近くで採餌することが多く、日中は長い時間を水辺や水中で過ごすことが多く、泥浴びや水浴びを好む習性がある。 この泥浴びなどによって、インドサイの体はしばしば茶色などの土壌の色を帯びている。 泥浴びは寄生虫を取り除くほか、暑い日光の下での体温調整の役目も果たしている。 樹木などに体をこすりつけていることもあるが、これによって古い皮膚を落としたりしている。 視覚は弱いが、嗅覚、聴覚はよく発達し、外耳は180度回すことができ、周囲の音を敏感にとらえることができる。 性質はおとなしく、雄同士が激しく争うようなこともほとんどないが、驚かせたり、怒らせたりすると危険である。 体に似合わず走るのも速く、短い距離なら時速55km程で駆けることができ、泳ぎもうまいと言われている。 また、インドサイは体が大きく力が強いこともあり、成長すると外敵はいないと言われている。 弱っているものや子どもなどは稀にベンガルトラに襲われることもあるが、ベンガルトラは個体数が減少していて、一番の外敵は人だと言われている。 インドサイの繁殖・寿命 インドサイには決まった繁殖期は見られず、一年を通して繁殖が見られる。 繁殖は一夫多妻で行われ、雌雄ともに複数ものと交配するが、この時期の雄は尿などでにおい付けをして、1~4平方km程の縄張りを主張する。 雌の妊娠期間は長く、425~495日程の幅がある。 雌はふつう1産1子を出産し、生まれたばかりの子どもの体重は40~80kgで、多くは55~70kg程の体重がある。 また、子どもや幼獣には成獣にある体のひだなどは見られず、角もないか、あっても極めて小さい。 授乳期間は1年~1年半ほどで、その間には親と一緒の食事をするようになるが、独立するまでの期間は長く、6~10年ほどの間は親と一緒に生活している。 それまでの育児はすべて雌だけが行うが、子どもが独立していく時期は、十分に成熟する時期と重なっている。 雌は4~5年、雄は7~8年程で性成熟し、この頃には親と一緒に過ごす時間が短くなり、やがて独立していく。 また、実際の繁殖は性成熟した時期よりも遅くなり、ふつう雄は十分に体が大きくなるまでは繁殖しない。 詳しい寿命は分かっていないが、野生下での長いものは40年ほどの寿命をもっていると考えられている。 飼育下ではやや長く、40~45年の寿命をもっている。 インドサイの保護状況・その他 サイの仲間は全体に生息数が減少しているが、インドサイもかつてはパキスタンからインドシナ半島にかけての多くの地域で見られたと言われている。 しかし、ブータンでも既に絶滅していると言われていて、現在はインド北部やネパールなどの限られた地域にしか見られず、多くは国立公園などの保護区内に生息している。 個体数減少の主な原因は、角を工芸品や漢方薬の材料とするために乱獲されたことや、単なる狩猟して殺されたことが原因になっている。 近年では開発による生息地の減少も加わり、多くの地域で既に絶滅してしまっている。 現在分布している地域でも個体数が減少していて、国際自然保護連合(IUCN)ではインドサイを絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されているが、更なる保護が求められている。 |
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インドサイ (ヨロイサイ/イッカクサイ)