アムールヒョウはシベリア、中国東北部、北朝鮮など、北方に生息するヒョウの一亜種で、別名でシベリアヒョウと呼ばれることもある。 体色は他のヒョウとさほど変わらず、オレンジがかった黄褐色で、腹部は白い。 尾も長く、先まで黒い斑紋が見られる。 冬季は毛の色が淡くなり、長さも夏季は2~3cm程だったものが、冬季では、生息地の厳しい環境に対応する為、7cm程度まで長くなる。 アムールヒョウは他のヒョウに比べて体が大きく、大きい雄だと体重が80kgを超えるものも見られる。 全身に見られる梅花状の黒い斑紋も、他のヒョウのものより大きく、中央アジアの高地に生息するユキヒョウにやや似ている。 また、アムールヒョウの雄の首には、タテガミほどではないが長い毛が見られる。 昼間も活動するが、主に夜行性で単独生活するなど、習性は他のヒョウとよく似ている。 視力や聴覚に優れ、動きも敏捷で木登りもうまい。 また、ヒョウの斑紋は一種の保護色になっていて、茂みの中では無論のこと、木の上に上がってしまえば見つけ出すのはかなり難しい。 アムールヒョウはヒョウの中では大型だが、トラやライオンに比べるとはるかに体は小さく、力も弱い。 それでも自分より大きい獲物を倒し、あごの力もかなり強い。 他のヒョウと同じ肉食性で、ヘラジカやニホンジカなどのシカ類やイノシシなどを主に捕らえるが、時にはヒマラヤグマ(ツキノワグマ)の幼獣などを襲うこともある。 また大きな獲物が獲られないときは、ウサギやアナグマ、小型の齧歯類や魚なども食べる。 本種が生息するアムール川流域では、テリトリーを競合するアムールトラも生息しているが、これとは直接の競合を避ける為、狩りはあまり広範囲では行わないとも考えられている。 しかし、行動範囲は、獲物の少ない地域では100k㎡程とも言われ、季節や雌雄の別、年齢などによっても大きく変わり、その範囲は50~300k㎡程も変化するとも言われている。 このほか、ヒョウはふつう残った獲物などを木の上に引き上げておく習性があり、すっかり食べてしまうまで何度でもそこに戻ってくるが、アムールヒョウはこれとは異なり、獲物を樹上には引き上げずに、地上で落ち葉などをかけて隠しておく習性があると言われている。 妊娠期間は90~105日、平均すると92~95日程で、出産は春から初夏にかけて見られる。 1産1~4子、普通は2~3子を出産し、生まれたばかりの子どもの体重は500~700g程度で、一週間から10日程で目が開く。 授乳期間は5~6ヵ月程続くが、早ければ3ヵ月程で離乳する。 雌雄共に2~3年程で性成熟し、飼育下では15~20年程の寿命をもっているが、野生下ではこれよりも短くなる。 ヒョウの仲間は適応力があり、ジャングルから乾燥地帯、サバンナや熱帯雨林まで、さまざまな環境に適して生息しているが、アムールヒョウは、その美しい毛皮を目的とした密猟や、近年の森林開発、環境破壊などによって数が激減している。 現在ではシベリア地方のロシア極東部の森林にきわめて少数が生息しているだけで、アムールヒョウは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、レッドリストに絶滅危惧種(CR)として指定され、保護活動が行われている。 また、ユキヒョウやウンピョウなども絶滅危惧種に指定されているほか、ヒョウの仲間は、いずれも何らかの保護が成されている状況になってしまっている。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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アムールヒョウ (シベリアヒョウ)