インカアジサシはアジサシ類の中では大型で、南アメリカの太平洋沿岸域に分布している。 顔には特徴的な飾り毛があり、嘴や足は赤く、全体に特徴のある色合いをしている。
インカアジサシの分布域・生息環境 インカアジサシは、南アメリカのエクアドルからチリ、ペルーにかけての太平洋沿岸域に分布している。 基本的には季節移動の渡りはしないが、繁殖後に北へ移動する個体も見られ、時には中央アメリカやハワイなどで迷鳥として見られることがある。 インカアジサシの大きさ・特徴 インカアジサシは全長39~42cm程で、国内で見られるアジサシよりは体が大きい。 雌雄ともにほぼ同じ色をしている鳥で、全体に暗灰色で、尾は黒いが翼の先端部分は白い色をしている。 しかし、頭部は黒っぽいが、嘴の付け根辺りから後方へ向かって白い飾り羽が伸びているのが特徴で、長いヒゲのように見える。 嘴の基部の白い飾り毛の下には、裸出した鮮やかな黄色い皮膚があり、インカアジサシは独特の色合いをしている。 また、嘴と足はややオレンジ色を帯びた赤色で、離れていてもよく目立つ。 インカアジサシの生態・生活 インカアジサシは沿岸域の岩礁や砂浜などに生息していて、大きな群れをつくって生活している。 カモメなど、他の水鳥としばしば混成の群れをつくり、数千羽にもなることがある。 主にカタクチイワシなどの小魚を食べるが 、甲殻類や死肉なども食べる。 採餌は他のアジサシと同様、水の上を飛びながら獲物を見つけ、一気に急降下してとらえるが、水に浮かんで水面の獲物をとらえることもある。 また、漁船の周りに集まり、漁獲された魚を食べたりするほか、イルカやクジラ、アシカなどの後を追って魚を捕らえたりすることもある。 外敵は大型の猛禽類などで、主に卵やヒナが襲われる。 インカアジサシの繁殖・寿命 インカアジサシの繁殖期は年に2回、4~7月と10~12月に見られ、繁殖も大きな群れでコロニーを形成して行われる。 巣は岩の割れ目や洞窟、岩の間などにつくるが、海鳥の糞などが堆積してできた「グアノ」と呼ばれる土壌にもつくられる。 また、フンボルトペンギンの古巣などを利用することがあるほか、桟橋の下や建物の隙間などに営巣することもある。 繁殖はふつう一夫一婦て行われ、数年ほどは同じ巣を利用することが多いと言われている。 雌は1~3個、ふつうは2個の卵を産卵する。 抱卵期間は3~4週間ほどで、その間は雌雄が交代して抱卵する。 ヒナはひと月ほどで巣立つようになるが、その間も雌雄が世話をし、ヒナは巣立った後もしばらくは親に頼った生活をしている。 野生下での寿命は14年、飼育下では20年ほどの寿命がある言われている。 インカアジサシの保護状況・その他 インカアジサシのはっきりとした個体数などは分かっていないが、減少傾向にあると考えられていて、国際自然保護連合(IUCN)では、現在、準絶滅危惧種(NT)に指定している。 主な原因は漁業などによる餌不足や繁殖地の減少などで、特に繁殖地のグアノが肥料として採取されていることが指摘されている。 また、エルニーニョ現象による魚の減少なども心配されていて、今後の生息数の動向が注意されている。 また、インカアジサシには亜種がなく、本種だけでインカアジサシ属を形成しているほか、国内で夏鳥として見られるコアジサシは飛来数が減少していて、環境省では絶滅危惧種(VU)に指定している。 |
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インカアジサシ