フンボルトペンギンは南アメリカの太平洋側沿岸域の暖かい地域に分布しているペンギンで、ペンギンの中では中型になる。 国内の動物園や水族館などでもよく見られ、胸にある黒い帯が特徴になっている。
フンボルトペンギンの分布域・生息環境 フンボルトペンギンは、南アメリカの太平洋側沿岸域に分布している中型のペンギンで、ペルーからチリにかけて生息している。 この地域にはフンボルト海流が流れ込んでいて、それが名前の由来にもなっているが、フンボルト海流はドイツの地理学者・探検家のアレクサンダー・フォン・フンボルトに因んで名付けられている。 また、稀にエクアドルとコロンビアの沿岸域で見られることもあり、チリ南部の一部では、マゼランペンギンの生息地と重なっている。 フンボルトペンギンの大きさ・形態 フンボルトペンギンは体長55~70cm程度の中型のペンギンで、マゼランペンギンやアデリーペンギンと同じくらいの大きさがある。 平均した体重は4~5kg程だが、一年を通すと3~6kgほどの幅がある。 これは一年に一度の換羽によるもので、換羽の前には体重が増加するが、換羽中は海に入って餌を食べることができないため、体重がかなり減少する。 体は雄の方が雌よりもやや大きいが、羽毛の色は雌雄同色で、他のペンギン類のように、背側が黒く、腹側は白くなっている。 白い腹側には幾つかの小さな黒っぽい斑が見られるが、その斑は個体によって異なっているので、個体識別のポイントにもなっている。 目は赤褐色のような色で、顔は黒いが、嘴の付け根辺りから目の後ろを通る白い帯があり、嘴の付け根辺りはピンク色の皮膚が裸出している。 足は黒いが、白やピンク色の斑があるものも見られる。 また、胸には馬蹄型にも見えるはっきりとした黒い帯があり、これがフンボルトペンギンの特徴にもなっている。 ただ、ケープペンギンにも同じような帯があるので、一見すると両種は同じようにも見える。 しかし、ケープペンギンの顔を取り巻くような白い帯はフンボルトペンギンよりも幅広く、腹側にも黒っぽい斑が少なくて、全体に白い色をしているので、よく見ると見分けることができる。 また、マゼランペンギンともよく似ているが、フンボルトペンギンの胸にある黒い帯は1本だが、マゼランペンギンでは2本になっているのですぐに分かる。 フンボルトペンギンの生態・生活 「ペンギンは寒いところにいる」といったイメージがあるが、フンボルトペンギンは比較的暖かい地方に生息している。 群れをつくって生活していて、魚類が主な食料で、日の出後には採餌のために海に入って行き、一日の多くの時間を採餌に費やしている。 主にカマスやイワシ、ニシンなど、群れで回遊する魚を食べるが、イカや甲殻類なども食べる。 採餌は水面近くのものを下からとらえるようにするが、陸上ではぎこちない動きをしているフンボルトペンギンも、水の中では敏捷に動き回り、イルカのように水面に飛び出したりもする。 泳ぐ速度は、遊泳時は3~4km/hほどだが、獲物を追いかけるときや外敵から逃れるときなどは、最高30km/h程の速度で泳ぐことができ、更に速く泳ぐことができるとも言われている。 また、ふつうは水深の浅いところで採餌し、潜水時間は1~2分程度と言われている。 しかし、潜水深度は深くても50~60m辺りまでとされているが、時には水深150m程のところまで潜っていくこともあるとも言われている。 外敵はオタリアやオットセイ、サメなどのほか、陸上ではキツネやカイイヌなどで、時にカモメや大型のヘビが卵を狙うこともある。 フンボルトペンギンの繁殖・寿命 フンボルトペンギンは、温暖な地域に生息していることもあり、繁殖は一年を通して見られる。 主に3~12月に産卵が見られるが、4~9月頃にはピークを迎え、雌はこの間に2回産卵することもある。 また、繁殖は一夫一婦で行われるが、稀に一婦多夫で行われることもある。 繁殖期には緩やかなコロニーを形成するが、チリ南部の一部の繁殖地では、マゼランペンギンと混合のコロニーを形成している。 繁殖地は海岸近くの岩場や岩壁だが、営巣地は海鳥の糞などが堆積してできた「グアノ」と呼ばれる地質になっていて、巣はこのグアノに掘ったトンネルの中につくられる。 また、時には海岸にある洞窟などを利用したり、グアノではない普通の土壌に穴を掘ったりすることもある。 雌はふつう4日程の間に2個の卵を産み、抱卵は雌雄によって行われる。 卵は6週間ほどで孵化し、育児も雌雄によって行われる。 ヒナは10~12週程で自立できるようになり、海へ入って行くようになる。 雌雄ともに2~3年で性成熟し、野生下での詳しい寿命は分かっていないが、飼育下では15~20年、長ければ25年ほどの寿命をもっている。 また、繁殖の前には羽毛が生え変わり、その2週間ほどの間は陸に留まって絶食状態になり、体重が大きく落ちてしまう。 この時期が最も危険で、陸上の外敵に襲われることが多い。 フンボルトペンギンの保護状況・その他 フンボルトペンギンは特に難しい温度管理を必要としないので、国内の多くの動物園や水族館で飼育されているが、野生下での個体数は減少している。 主な原因は繁殖地の開発や餌となる魚の減少のほか、魚網に絡まったりする混獲や海洋汚染なども挙げられていて、現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)に指定している。 また、ワシントン条約付属書I にも指定されていて、取引は厳しく制限されている。 |
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