ケープペンギン

ケープペンギン さんのプロフィール


ケープペンギン

ケープペンギン

ペンギン目・ペンギン科
学 名 Spheniscus demersus
英 名 African penguin
分布域 南極の沿岸域や周辺の島々など
生息環境 ナミビアや南アフリカ共和国などの沿岸域
全 長 60~70cm 程度
体 重 2~5kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

ケープペンギンはアフリカ大陸で見られる唯一のペンギンで、別名・アフリカペンギンと呼ばれることがある。
南アメリカで見られるフンボルトペンギンなどによく似て、胸には一本の黒い帯が見られる。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ケープペンギンの分布域・生息環境
ケープペンギンはアフリカ大陸で見られる唯一のペンギンで、英名では「African Penguin (アフリカペンギン)」と呼ばれている。
ナミビアや南アフリカ共和国など、アフリカ南部の沿岸域に分布していて、ペンギンをイメージする寒い南極や氷山などとは違った場所に分布している。

ナミビア共和国西海岸から南アフリカ共和国・東ケープ州にあるグケベラ(ポート・エリザベス)までの沿岸域や、その間にある島々にコロニーを形成し、岩の多い海岸沿いに生息している。


ケープペンギンの大きさ・形態
ケープペンギンは体長60~70cmで、体はふつう雄の方が少し大きい。
体重は2~5kg程だが、体重は季節によって増減がある。

他のペンギン類と同様、腹側は白く背側は黒い色をしている。
また、顔は黒いが、嘴の聞け根から目の上を通り胸へと続く白い帯が見られ、一見すると、南アメリカで見られるフンボルトペンギンやマゼランペンギンなどと、大きさや羽毛の特徴がよく似ている。

特に、ケープペンギンの胸には一本の馬蹄形のような黒い帯が見られるが、この黒い帯はフンボルトペンギンと同じく一本なので、動物園や水族館などでケープペンギンだけを見るとフンボルトペンギンと見分けづらい。
しかし、ケープペンギンの顔にある白い帯はフンボルトペンギンよりも広くなっているほか、腹側の斑も少なく、全体に白っぽく見える。

また、マゼランペンギンには喉と胸に二本の黒い帯があるので、離れていても見分けることができる。

足や嘴は黒っぽいが、幼鳥の羽毛は灰色を帯びた青色や茶色のような色で、腹側は淡いが斑や帯なども見られない。
しかし、幼鳥の羽毛は年と共に黒っぽくなり、3年ほどで成鳥の羽毛に換羽する。


ケープペンギンの生態・生活

ケープペンギンは沿岸域で大きな群れをつくって生活していて、繁殖期以外は、一日の多くの時間を海の中で過ごしている。

主にイワシやアジなどの群れをなす遠洋魚を食べるが、イカや甲殻類なども食べる。

採餌はふつう海岸から20km以内で行われるが、餌を見つけるための移動距離は地域によって異なり、西海岸では1回あたり30~70km 、南海岸では平均110km程の距離を移動すると考えられている。

陸上での動きは鈍いが、水の中では敏捷に動き回り、ケープペンギンは水中での速度が最高20km/h近くまで達することがある。

また、採餌のときには平均25mほどの深さまで1分間ほど潜水するが、水深60m辺りまで潜ることもあるほか、4分以上潜り、水深130m辺りまで潜水した記録がある。

鳴き声は大きく、繁殖期の雄はロバの鳴き声のような大きな声を上げる。

主な外敵はアザラシやシャチ、サメなどで、ヒナや卵はミナミカモメやヨーロッパトキなどにも狙われる。
また、生息地にはマングースやジャネット、カラカルヒョウなども生息していて、これらの動物もケープペンギンを捕食している。

その為、外敵の多い大陸本土よりも、夜間はより安全な沖合の島々に集まって過ごしている。


ケープペンギンの繁殖・寿命
繁殖は年に一度、ふつうは気温が低い冬に行われ、ナミビアでは11~12月、南アフリカでは3~5月にかけてピークが見られる。

繁殖はコロニーを形成して一夫一婦で行われるが、ペアの関係は長期間に渡って続くこともあり、ペアは毎年同じ繁殖地に戻ってくると言われている。

巣は、ふつう海岸から少し離れたところにあり、海鳥の糞などが堆積してできた「グアノ」と呼ばれる地質に穴を掘ってつくられる。

開発などによるグアノの減少より、巣は岩の下や植物がまばらに生える地表に小枝などを用いてつくられることもあるが、グアノ層は気温の高い時でも適切な温度調整に優れていて、卵の孵化には適していると考えられている。

実際、太陽の熱で卵が熱くなりすぎると、ケープペンギンは卵を放棄することが多いと言われているので、グアノ層は繁殖に必要な環境とも言える。

交配の後、雌はふつう2個の卵を産み、抱卵は雌雄によって行われ、卵は40日程で孵化する。
ヒナはひと月ほどの間は巣に留まって親からの給餌を受けるが、その後はヒナ同士が集まって集団生活を送る。

幼鳥は3~4ヵ月で羽毛が生え揃い、その後独立していくが、その時期は餌の量や生息環境などによって差がある。

雌は3~4年、雄は4~5年ほどで性成熟するが、その前には生まれた繁殖地に戻って成鳥の羽毛に換羽する。
換羽には3週間ほどかかるが、その間は羽が防水性を備えていないため海に出られず、採餌できないことによって体重は半分近くまで減少する。

野生下での寿命は27年のものが知られているが、平均的な野生下の寿命は10~15年程度と言われていて、他のペンギンが15~20年ほどの寿命をもっているの対して短い傾向があるとも言われている。

しかし、飼育下での寿命は野生下での寿命よりは長くり、飼育下での平均は20年、長いものでは30年の記録があるとされている。


ケープペンギンの保護状況・その他

ケープペンギンは生息数が少なく、現在、国際自然保護連合では絶滅危惧種(EN)に指定している。

個体数は20世紀の初頭から減少傾向にあると言われていて、当初は食料を目的とした卵の乱獲が主な原因だったが、ケープペンギンが生息しているアフリカ南端部はタンカーなど多く通る航路にもなっているため、近年は船舶事故などによる油の流出による海洋汚染も問題になっている。

また、漁業による餌の減少、繁殖地におけるグアノの減少なども生息数減少の原因になっている。

この他、「ケープ」は分布域にあるケープ岬(喜望峰)から付けられているが、英名(African penguin)のままアフリカペンギンと呼ばれることもあるほか、クロアシペンギンと呼ばれることもある。

また、ロバのような大きな鳴き声を上げることからジャッカス(雄ロバの俗称)ペンギンとも呼ばれることがあるが、同属のマゼランペンギンも別名をアフリカペンギン、ジャッカスペンギンなどと呼ばれたりすることがあるので、これら呼称は混同されることがあるので注意する必要がある。

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