オタリアは大型のアシカ類で、トドよりは小さいが、よく見られるカリフォルニアアシカよりは大きい。 マゼラン海峡からペルー沿岸にかけての南アメリカ西岸、東岸ではアルゼンチンからブラジル南部の沿岸部などにかけて分布していて、毛色は雌雄ともに茶褐色やオレンジがかった黒色などをしている。 体毛は、カリフォルニアアシカには長くて硬い上毛と柔らかくて短い下毛があるが、オタリアには下毛はない。 また、成熟したオタリアの雄は「ブル」と呼ばれ、胸と後頭部にたてがみ状の毛が見られるが、雌や未成熟の雄にはない。 体はがっしりとしていて、首も太く、全体に力強く見える。 頭部も大きく、鼻先は短いが、成獣のオタリアの雄の鼻は、少し上向き加減になっていて特徴的とも言える。 雄の成獣の体長は2.5m、体重300kg、雌の場合は体長2m、体重は150kg程度だが、時には体長2.7mを超え、体重が500kgを超える雄も見られる。 この大きさは平均的なカリフォルニアアシカに比べるとかなり大きく、オタリアの体がかなりがっしりとしていることが分かる。 体が大きいせいか、地上では這うようにして移動するが、アザラシ類とは違って、前足と後ろ足で体を支えて、腹部は地面から離すようにして移動する。 また、アザラシ類には耳たぶがないが、オタリアなどのアシカ類には耳たぶがある。 水の中では体と前足を使って自由に動き回り、流線型の体は水中をすばやく泳ぐことに適しているほか、鼻の穴は潜水するときには閉じることができる。 オタリアの潜水能力は詳しく知られていないが、動物園などでも、かなりの時間潜水状態で泳いでいるのが見られる。 また、水中でも肺にためた空気で音を出し、互いにコミュニケーションを取り合うことができる。 主に魚やイカなどの頭足類を食べるが、甲殻類のほか、ペンギンやペリカンなども食べることがある。 また、オタリアは若いミナミアメリカオットセイを襲うことも知られている。 一夫多妻で生活し、成熟した雄は10頭ほどの雌を集めてハーレムをつくるが、若い雄は10~40頭程の群れをつくって生活している。 これらの若い雄は、雌をめぐってハーレムをもつ雄としばしば争いを行う。 繁殖期は8~12月頃で、雌は妊娠期間360日程で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体長80cm、体重12~13kg程度で、およそ1年ほどの間は授乳期間がある。 しかし、子どもは生後1~2ヶ月で浅瀬から離れて水中に入って行き、これはアシカ科の中ではかなり早いとされている。 雌は4年程で性成熟するが、雄では遅く、成熟するには6年程かかる。 外敵はシャチなどが挙げられるが、陸上では幼獣がピューマに襲われることがあるとも言われている。 野生での寿命は15~20年、飼育下では25~30年程度と言われているが、オタリアは知能も高く、カリフォルニアアシカのように芸を覚えることもできる。 現在のところ絶滅などの危惧はないとされているが、オタリアはかつて肉や毛皮、油を目的とした狩猟の対象になっていた。 このほか、カリフォルニアアシカが北半球に分布しているのに対して、オタリアは南半球に分布しているので、別名・ミナミアシカとも呼ばれることがある。 しかし、この呼称はオーストラリア南西部沿岸に分布しているオーストラリアアシカ (Neophoca cinerea / Australian sea lion) などと混同されることがあるので、注意する必要がある。 アシカ科の動物へ / このページの先頭へ |
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オタリア