アカショウビン

アカショウビン さんのプロフィール


動物図鑑・アカショウビン

アカショウビン

ブッポウソウ目・カワセミ科
学 名 Halcyon coromanda
英 名 Ruddy Kingfisher
分布域 東アジアの温帯から熱帯域
生息環境 河川や湖沼、湿地などがある森林など
全 長 27~28cm 程度
翼開長 40cm 程度
体 重 80~90g 程度
自治体によっては絶滅危惧種など

アカショウビンはカワセミの仲間で、名前のように、全身が赤褐色や濃いオレンジ色のような色をしている。
夏には国内各地で繁殖し、大きな嘴もよく目立つ。

分布域・生息環境

アカショウビンは、朝鮮半島や日本からフィリピン、インドネシア、また、インドや中国、インドシナ半島などの東アジアの温帯から熱帯域に広く分布している。

北方のものは、冬にはマレー半島やフィリピン、インドネシアなどの南へ移動し、国内では夏鳥として各地で見られる。

よく茂った森林に生息していて、九州から北の各地で繁殖するが、本州などで見られるカワセミ(H. c. major)とは別に、南西諸島では別亜種の H. c. bangsi が繁殖している。

大きさ・形態

全長は27~28cm前後、翼を広げると40cm程の長さがあり、体はツグミほどの大きさがある。

カワセミ類に見られる大きな嘴が特徴になっているが、カワセミとは違って、全身が鮮やかな濃いオレンジ色や赤褐色のような色をしていて、嘴や足も赤い色をしている。
腹側は淡い色をしているが、よく見ると腰の部分には青い羽毛がある。

雌の方はやや淡い色をしているが、雌雄は同じような色をしていて、離れていてもアカショウビンであることがすぐに分かる。

生態・生活

国内には夏鳥として飛来し、国内各地で繁殖している。
よく茂った森林に生息していて、二次林や海岸林などでも見られる。

単独やペアで生活しているが、カワセミが開けたところで見られるのに対して、アカショウビンは樹木の多い、やや薄暗いような環境を好む傾向がある。

渓流などの水辺近くで多く見られる鳥だが、カワセミが水辺から離れたところでは見られないのに対して、アカショウビンは渓流から離れた森林内でも見られる。

また、カワセミは池や川のある市街地の公園などで見られることがあるが、アカショウビンは樹木があっても市街地周辺で見ることは少なく、カワセミよりも出合う機会は少ない。

主に魚類や甲殻類を食べるが、昆虫類も食べるほか、カエルなどの両生類も食べる。
採餌の様子はカワセミと同じで、木の枝や岩の上などにとまっていて、獲物を見つけると素早く飛び降りて獲物をとらえる。
獲物をとるとすぐに岩や枝の上に戻り、咥え直すなどして食べている。

ところで、「ショウビン」とは変わった名前だが、由来についてはよく分かっていない。

「カワセミ」の名前については、古くは平安時代中期に編まれた「和名類聚抄」に、「曽比(日本紀私記に見ゆ)は小鳥なり、色は青翠にして魚を食ひ」との記述があるので、古くは「そび」と呼ばれていたことが分かる。

時代が下り、江戸時代中期の「和漢三才図絵」には、「和名・曽比 壒囊抄に云う『少微』、俗に『川世比』と云う」と書かれているので、この頃には一般に「かわせび」と呼ばれていたことが分かる。
(「日本紀私記」は平安時代に『日本書紀』の講書の内容をまとめたもの、「壒嚢鈔」は室町時代中期に編まれた辞書)

「あかしょうびん」についての記述は見られないが、「しょうびん」は「壒囊抄に云う『少微』」の「しょうび」が転訛したものだろう。
しかし、この「少微(しょうび」が「曽比(そび)」から転訛したものかなどは分からない。

いずれにしても、カワセミは古くから「ショウビン」とも呼ばれていたことは窺えるので、「アカショウビン」はそこから付けられているのだろう。

繁殖・寿命

繁殖期は5~7月頃で、交配は一夫多妻と言われている。

巣は樹洞などを利用するが、嘴を使って木に穴をあけることもある。
この場合、アカショウビンの嘴はキツツキ類ほどは丈夫ではないので、朽ち木などを利用して、雌雄によってつくられる。

また、時にはキツツキ類の古巣を利用したり、スズメバチの古巣を利用したりすることも観察されている。

雌は5~6個ほどの卵を産み、抱卵は雌雄によって行われる。
卵は3週間ほどで孵化し、ヒナは孵化後3週間ほどで巣離れする。

寿命については、野生下、飼育下ともに、詳しいことは分かっていない。

保護状況・その他

個体数は減少傾向にあると言われているが、アカショウビンは分布域が広いこともあり、国際自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。

一方、国内では飛来数が減少していて、自治体によっては絶滅危惧種などに指定している。

原因は様々だと思うが、開発による生息地の減少がひとつとして挙げられているので、渓流が流れる森林の保全などが必要と言われている。

尚、カワセミには幾つかの亜種が知られているが、アカショウビンにも次のような亜種が認識されている。

Halcyon coromanda coromanda
ヒマラヤ東部からミャンマー南部、中国南西部辺りで繁殖する基亜種。冬はスマトラ島辺りへ移動

H. c. bangsi
夏は琉球列島、冬はフィリピンやインドネシアのタラウド諸島などへ移動

H. c. claudiae
フィリピンのスールー諸島に分布

H. c. linae
フィリピンのパラワン島

H. c. major
日本や韓国、中国。冬は台湾やフィリピン、ボルネオなどへ移動
(H. c. ochrothorectisは同義語・シノニム)

H. c. minor
大スンダ列島などに分布

H. c. mizorhina
ベンガル湾のアンダマン諸島

H. c. pelingensis
インドネシア・スラウェシ島

H. c. rufa
スラウェシ島南部やムナ島、ブトゥン島、サンギヘ諸島など

H. c. sulana
インドネシア・スラ諸島に分布


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