ミコアイサ

ミコアイサ さんのプロフィール


動物図鑑・ミコアイサ

ミコアイサ

カモ目・カモ科
学 名 Mergellus albellus
英 名 Smew
分布域 ユーラシアの寒帯から温帯域など
生息環境 河川や湖沼、沿岸域など
全 長 38~44cm 程度
翼開長 55~69cm 前後
体 重 700~900g 程度

ミコアイサはカモの仲間で、本種だけでミコアイサ族を形成している。
雄は全体に白く、北海道北部では一部のものが繁殖しているが、国内ではほとんど冬鳥として飛来する。

ミコアイサの分布域・生息環境

ミコアイサは、夏にはユーラシア大陸のタイガ地帯で繁殖し、冬にはヨーロッパからインド北部、中国東部などの南方へ移動して冬を過ごす。

河川や湖沼などに生息しているが、汽水域や沿岸域でも見られる。
国内には冬鳥として11月頃に飛来し、翌年の4月ごろまで本州や四国、九州などで越冬している。
また、北海道では旅鳥だが、北部では少数が繁殖しているところもある。

ミコアイサの大きさ・形態

体はコガモほどの大きさで、全長は38~44cm前後、翼を広げると55~69cm前後の長さがある。

雌雄で羽毛の色が異なっている鳥で、雄では全体に白色で、目先は黒く、後頭部にも黒い斑がある。
背面も黒色で、側胸部に2本と背の両側にもはっきりとした黒色の筋が見られる。
頭部には短い冠羽があり、嘴と足は鉛色のような灰色をしている。

また、嘴の先は鍵状に曲がっているが、ミコアイサやウミアイサなどのアイサ類の嘴の縁はのこぎりの歯のようになっていて、魚などをとらえる時に有利になっている。

雌は雄よりも少し小さく、頬から喉は白いが、頭部は褐色で、背側は褐色かがった暗い灰色や灰黒色のような色をしている。

また、繁殖期が終わり、飛来した時の雄は雌の羽毛と大変よく似ていて、一見すると雌ばかりがいるように見えるが、次第に白い色に変わっていく。

ミコアイサの生態・生活

ミコアイサは河川や湖沼などに生息しているが、周囲に身を隠すことができる樹木や藪があるようなところに多く見られる。

汽水域や沿岸域でも見られるが、淡水域の湖沼などに多い鳥で、普段は小さな群れで生活している。

主に魚類や甲殻類、貝類などを食べるが、カエルなどの両生類や昆虫類のほか、植物の葉や根、種子なども食べる。

しばしば潜水して獲物を獲るが、カイツブリのように長時間の間潜っていることもある。
警戒心は強いようで、湖沼などで人が近づくと、すぐに岸から離れて行ってしまう。

飛ぶ時は、他のカモ類のように首をまっすぐに伸ばして飛翔するが、水面から飛び立つときには、コガモなどと同様、ほぼ垂直に飛び立ち、この時には羽音は立てないとも言われている。

ところで、「アイサ」の名前は古く、奈良時代には見られるようだが、この呼称はアイサ類全体を指しているように思われる。

江戸時代初期の「和漢三才図絵」にも「秋沙(秋紗)」の記述があり、「あいさ」は「あきさ」からの転訛と言われているが、これは「あいさ」が秋の早い時期(秋早・あきさ)に飛来してくることから付けられたとも、「あいさ」が飛来してくると秋が去って冬になる「秋去り(あきさり)」から付けられたとも言われている。

また、「ミコアイサ」と言う呼称は江戸期に入ってから使われるようになったらしく、雄の夏羽が、巫女の白装束のように見えることから「巫女秋沙」と呼ばれるようになったと言われている。

ミコアイサの繁殖・寿命

繁殖期は5~7月頃で、ユーラシア大陸のタイガ地帯で繁殖する。
繁殖は一夫一婦と言われていて、巣は湖沼などの水辺付近にある樹洞につくられるが、時にキツツキ類の古巣などを利用することもある。

雌は52.4×37.4mmほどの卵を6~11個ほど産卵し、抱卵は雌が行い、雄は雌が抱卵をはじめると離れていく。

卵は4週間ほどで孵化し、ヒナはすぐに歩くことができる。
その後10週間ほどで飛ぶことができるようになり、雌雄ともに1~2年ほどで性成熟する。

野生下で寿命は8~10年程度と言われているが、詳しいことは分かっていない。

ミコアイサの保護状況・その他

ミコアイサは分布域が広いこともあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

一方、生息数が減少しているとも言われていて、国内でも飛来数が減少している地方もあり、自治体によっては準絶滅危惧種などに指定している。

主な原因は開発などによる生息地の減少と考えられていて、湖沼や河川の自然環境の保全が必要と言われている。


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