二ホンウズラはニワトリなどと並ぶ家禽としてよく知られていて、国内では単に「ウズラ」と呼ばれることが多い。 家禽として肉や卵が利用されるが、遺伝学や栄養学、生理学や病理学などの研究にも利用されている。 また、ウズラの仲間はアフリカやユーラシア、オーストラリアなどに広く分布している。
二ホンウズラの分布域・生息環境 二ホンウズラは「二ホン」と名前についているが、日本の固有種ではなく、東アジアに広く分布している。 キジ科の中では珍しく季節移動する鳥で、夏は主にシベリア南部やモンゴル、中国北東部や朝鮮半島などで繁殖するが、一部のものはトルコなとでも繁殖が観察されている。 冬には日本や中国南部、インド北東部、タイやベトナム、カンボジア、ミャンマーなどの東南アジアなどに移動して越冬する。 草原や耕作地などに生息していて、国内では主に北海道などで繁殖し、冬には雪の少ない本州中部辺りから南や四国、九州地方などに移動して冬を越す。 二ホンウズラの大きさ・特徴 ウズラの体つきは全体に丸く、嘴や足が短く、尾も短いのが特徴になっている。 全長も20cmで、尾が短いので、いっそうずんぐりとした印象を受ける。 羽毛は全体に黄褐色のような色をしていて、頭から体の上面には淡黄色の様な白っぽい縦斑が目立つ。 目の上にも白っぽい筋(眉斑)が見られ、下面も淡い黄褐色をしている。 また、雄の夏羽の喉は赤茶色をしているが、冬羽と雌の喉は淡い色をしている。 一見するとコジュケイとはよく似ているが、コジュケイはウズラよりも体が大きく褐色味が強いほか、二ホンウズラに比べると尾も長い。 尚、二ホンウズラは以前は Coturnix coturnix (Common Quail・ヨーロッパウズラ)の亜種とされていたが、現在では独立種とされている。 また、分布域が広いにもかかわらず、ニホンウズラには亜種はいないとされている。 二ホンウズラの生態・生活 ニホンウズラは平地から山地の草原や耕作地などに生息していて、単独や小さな群れをつくって生活している。 背丈の高い草原や茂みなど、身を隠せる場所に生息していること多いが、ステップや牧草地、山の斜面などの開けた環境で見られることもある。 地上性の鳥で、主に植物の葉や種子、穀類などを食べるが、昆虫類やクモ類、無脊椎動物なども食べる。 砂浴びを好むと言われているが、これは寄生虫などを取り除くのに役立っている。 また、ウズラの羽毛の色合いは保護色になっていることから、飛び立ってから見つけることの方が多い。 外敵はキツネや大型のヘビ、猛禽類などで、主にヒナや卵が狙われる。 二ホンウズラの繁殖・寿命 二ホンウズラの繁殖期は4~9月頃で、交配は一夫一妻や一夫多妻などで、決まった様子が見られない。 巣作りは雌が行い、巣は茂みの中の地面の窪みなどに枯れ草や細根などを敷いたものがつくられる。 雌の産卵数は多く、7~12個、時には15個もの卵を産卵することもある。 平均した卵の重さは10g程で、白っぽい地色に褐色のマダラ模様があり、保護色になっている。 抱卵は雌が行い、卵は16~21日ほどで孵化する。 孵化したばかりのヒナは体重 6~7g程で、育児も雌によって行われる。 また、雌は卵が孵化する頃には雄を追い払うとも言われている。 ヒナは孵化後3週間を過ぎるころには飛べるようになり、この頃には巣立ちするが、その後もしばらくの間は親と一緒に生活している。 雌雄ともに1年ほどで性成熟し、野生下での寿命は3~4年、飼育下での寿命は6~7年程度と言われている。 しかし、家禽のものは体重は重くなるが寿命は短く、長いものでも2年に満たないとも言われている。 二ホンウズラの保護状況・その他 二ホンウズラは家禽として広く利用されているが、野生のものは全体に個体数が減少している。 狩猟の他、開発による生息地の減少が原因と考えられていて、国際自然保護連合(IUCN)では、現在、準絶滅危惧種(NT)に指定している。 国内でもかつては狩猟の体になっていたが、現在は狩猟の対象から外されている。 それでも、国内でも近年は個体数が減少していて、環境省では絶滅危惧種に指定しているが、自治体によっても絶滅危惧種や絶滅寸前種などに指定される状況になってしまっている。 |
|
●キジ科の鳥へ ●このページの先頭へ |
|
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
二ホンウズラ (ウズラ)