アフリカクロトキはペリカン目に属している大型の鳥で、全体は白と黒にはっきりと色分けされている。 湖沼や河川周辺などに生息しているが、環境への適応力に優れ、移入された地域では都市近郊にも姿が見られる。
アフリカクロトキの分布域・生息環境 アフリカクロトキはサハラ砂漠より南のアフリカの大部分に分布しているが、イラク南東部にも分布していて、クウェートやイエメンでは迷鳥として姿を見せることもある。 ふつうは湖沼や河川周辺、海岸域などに生息しているが、環境にはよく適応し、町や村の周辺などでも見られる。 元来は亜熱帯から熱帯域に生息する鳥だが、スペインやイタリア、フランスやカナリア諸島では、飼育下から逃げ出したものなどが移入定着していて、温帯の生活にもよく適応している。 アフリカクロトキの大きさ・形態 アフリカクロトキはチュウサギほどの大きさで、全長65~75cm、翼を広げると110~125cm程の長さがある。 体は雄の方が雌よりも少し大きいが、雌雄同色の鳥で、体はほぼ白い色をしている。 首の半ばから頭部にかけては羽毛がなく、黒い色をしていて、長い嘴も黒くてやや湾曲している。 目は暗褐色で、体の後ろや長くて細い足は黒い。 腰の辺りが黒いのは翼の一部(三列風切り羽)で、飾り毛のようにもなっている。 また、翼の後ろ縁(初列風り切と次列風切り羽)の先端)も黒く、飛ぶとよく目立つ。 アフリカクロトキの生態・生活 アフリカクロトキは主に湖沼や湿地、河川周辺や水辺近くのサバンナなどに生息しているが、沿岸域や干潟などにも生息している。 しかし、環境への適応力に優れ、耕作地のほか集落の周辺や、移入された地域では、都市部のゴミ処理場などでも見られる。 日中に活動し、主に群れになって活動している。 採餌も群れで行われることが多く、数羽から20羽ほどで採餌しているが、餌の豊富な所では100~200を超える群れをつくることもある。 採餌は浅い湿地などを歩き回って行われ、主に昆虫類やクモ類、環形動物や甲殻類、軟体動物などを食べるが、カエルや爬虫類、魚や鳥の卵などのほか、時にライオンやハイエナなどの食べ残しや死肉を食べることも観察されている。 また、耕作地周辺で採餌することもあり、人が出したゴミを食べることも知られている。 古代のエジプトではトート神の化身である神聖な鳥とされていたと言われているが、アフリカクロトキは鳥やその卵を食べることもあることから、移入されたヨーロッパなどの国では、在来の希少な鳥などへの影響が心配されている。 アフリカクロトキの繁殖・寿命 アフリカクロトキは一年に一度繁殖が見られ、雨季やその直後に繁殖するが、氾濫原などでは乾季に行われる。 また、分布域が広いこともあり、繁殖期には幅があり、アフリカでは3~ 8月、イラクでは4~5月に繁殖が見られると言われている。 繁殖は一夫一婦で行われるが、この時期には大きなコロニーを形成し、他の鳥との混成のコロニーをつくることもある。 巣は小枝や草などを用いて樹上につくられるが、島嶼部の岩の多いところに営巣することも多く、その様な場所では地上につくられることもある。 雌は1~5個、ふつうは2個の卵を産み、抱卵は雌雄によって行われる。 卵は43×63mmほどで、抱卵後21~29日程で孵化する。 ヒナは1~2週間ほどの間は親と一緒に巣に留まっていて、その後、ヒナ同士の群れをつくって生活するが、その間も親からの給餌を受けて成長する。 孵化後44~48日で群れを離れ、独立した生活を送るようになり、野生下での寿命は、長いもので20年程度と言われている。 アフリカクロトキの保護状況・その他 アフリカクロトキは個体数が多く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 環境にもよく適応していて、ヒナや卵は大型の猛禽類に襲われることもあるが、成長したアフリカクロトキは大きいこともあり、ほとんと外敵がいないことも、個体数の安定に繋がっていると考えられている。 しかし、アフリカの一部では見られなくなってしまった地域もあり、今後の動向に注意が必要とも言われている。 古代のエジプトでは神聖な鳥として崇められていたアフリカクロトキも、現在のエジプトでは珍し鳥になってしまい、既に絶滅しているとも考えられている。 一方、導入されたヨーロッパなどの国では、在来の希少な鳥などを襲うこともあり、問題となっている。 尚、以前はアルダブラ島に生息するものを T. a. abbotti、マダガスカル島に生息するものを T. a. bernieri としてアフリカクロトキの亜種としていたが、現在は別種として扱われている。 マダガスカル島に分布するものを Threskiornis bernieri bernieri (Malagasy sacred ibis ・マダガスカルクロトキ)として基亜種とし、セイシェル諸島のアルダブラ島のものを亜種・ T. b abbotti として扱っている。 また、トキの仲間は、以前はコウノトリ目に分類されていたが、現在はペリカン目に分類されている。 |
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