カンムリシギダチョウは、南アメリカ南部に分布している地上性の鳥で、小さな群れをつくって生活している。 「シギ」・「ダチョウ」と名前が付いているが、両者とは全く別の鳥で、独自のシギダチョウ目・シギダチョウ科に属している。
カンムリシギダチョウの分布域・生息環境 カンムリシギダチョウは主にアルゼンチンに分布しているが、チリ南部の一部の地域にも分布している。 低地から標高2500m程の高地までの草原や乾燥サバンナ、森林や疎林などに生息しているが、しばしば耕作地にも生息している。 カンムリシギダチョウの大きさ・特徴 カンムリシギダチョウの平均した体長は39~41cm程で、コガモほどの大きさがある。 翼や尾は短く、足も短いが丈夫そうに見える。 黒っぽい嘴は先が鉤状に曲がっていて、目は茶色っぽい色をしている。 足の指は後ろ指がなく3本だが、これがカンムリシギダチョウの特徴になっている。 カンムリシギダチョウは地上で生活しているが、同じように地上性が強いキジ科の足の指は4本あるが、カンムリシギダチョウの足はキジ科のものよりもより地上生活に適していて、実際地上を走るのも速い。 雌雄ともに同色の鳥で、全体に茶色のような色にクリーム色の斑が多数散らばっているように見える。 腹側の斑は縞模様に見えるが、喉はクリーム色をしている。 名前のように、頭部には角のようにも見える暗色の長い冠羽があり、これも特徴になっている。 また、目の周りもクリーム色で、目から首の後ろへ向けてクリーム色の縞があり、目の下にも縞が見られる。 カンムリシギダチョウの生態・生活 カンムリシギダチョウは乾燥した草原や森林、疎林などに生息していて、藪や耕作地周辺などにも生息している。 日中に活動し、ふつうは5~10羽ほどの小さな群れで生活しているが、時には50羽を超える大きな群れをつくることもある。 地上性の鳥で、跳ぶことはできるが飛翔能力は低く、飛行距離も500m程度と言われている。 活動はほとんど地上で行われ、採餌も地上を歩き回って行われる。 種子や芽、果実や穀類などを食べるが、雑食性の鳥で、夏には昆虫類や無脊椎動物などを主に食べる。 採餌するときも小さな群れで行われることが多く、広い範囲を歩き回って餌を探すが、消化を助けるために小石を食べることもある。 また、寄生虫などを取り除くため、時折砂浴びすることもある。 外敵はチコハイイロギツネやパンパスギツネなどのキツネ類やオセロットなどのヤマネコ類のほか、大型の猛禽類に襲われることもある。 危険を感じると、飛び去るよりも走って逃げ、藪や茂みの中に身を隠す。 この時は、体を低くして地面に近づけ、頭も地面まで下げて伏せるようにして隠れているが、じっとしていると見つけるのが難しい。 夜は危険を避けるために樹上で休むが、ねぐらは決まった場所だと言われている。 また、カンムリシギダチョウには独特の鳴き声があり、その声は口笛やフルートの音のように聞こえると言われている。 カンムリシギダチョウの繁殖・寿命 カンムリシギダチョウの繁殖期は地域や環境によって差があり、6~11月頃に見られる。 繁殖はふつう一夫多妻で、巣は植物に覆われたような地面の窪みなどに枝や葉などを用いてつくられる。 雌は5~6個の卵を産卵し、抱卵は雄が行う。 多くの鳥は雌や雌雄交代で抱卵するが、カンムリシギダチョウは雄が抱卵し、孵化後のヒナの世話も雄が行うという、珍しい鳥でもある。 卵は3週間ほどで孵化し、ヒナは孵化後すぐに巣を離れるが、数か月ほどの間は雄の親と一緒に生活している。 寿命は6~7年と言われているが、これが飼育下のものか野生下のものかは分からない。 カンムリシギダチョウの保護状況・その他 カンムリシギダチョウは現在のところ絶滅の恐れはないとされているが、開発や耕作地の拡大などによる生息地の減少が心配されている。 尚、カンムリシギダチョウには次のような亜種が知られている。 Eudromia elegans elegans アルゼンチン中央部に分布する基亜種 E. e. intermedia アルゼンチン北西部のサルタ州とカタマルカ州 E. e. magnistriata アルゼンチン北西部のトゥクマン州とコルドバ州 E. e. riojana アルゼンチン中央西部のアンデス地方 E. e. albida アルゼンチン西部の乾燥サバンナ E. e. wetmorei アルゼンチン西部のアンデス山脈の麓 E. e. multiguttata アルゼンチン中東部の乾燥した草原 E. e. devia アルゼンチン南西部 E. e. patagonica アルゼンチン南部とチリ南部 E. e. numida アルゼンチン中央部の乾燥草原 |
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カンムリシギダチョウ