ヒメハリテンレックはマダガスカルの固有種で、体側から背部にかけては棘で覆われている。 外見はハリネズミによく似ているが、進化の過程は別系統で、独自の進化を遂げたと考えられている。
ヒメハリテンレックの分布域・生息環境 テンレックの仲間はアフリカの一部やマダガスカル島に分布しているが、ヒメハリテンレックはマダガスカル島南西部や南部に分布している固有種とされている。 別名・レッサーヘッジホッグテンレックとも呼ばれ、森林地帯や草原、疎林やサバンナ、半砂漠地帯などに生息している。 また、マダガスカル南東部にも分布していると言われているが、北へ向かうほど個体数は少なくなっている。 ヒメハリテンレックの大きさ・特徴 体はハリネズミに似ていて、体側から背部にかけては棘で覆われているのが特徴で、頭部も顔の部分を省いて棘で覆われている。 この棘は体毛が変化したもので、耳は大きいが、尾は短くて、ほとんどない。 テンレックの仲間の中では体が小さく、四肢には5本の指があり、鉤爪をもっている。 毛色は全体に黄色や褐色などをしているが、白色に近いものやほとんど黒色のものまで変化がある。 一見するとハリネズミによく似ているが、ハリネズミの仲間は真無盲腸目(旧食虫目)に属していて、食肉目や翼手目に近いとされているが、テンレックの仲間はツチブタが属している管歯目やゾウ(長鼻目)に近いと考えられている。 また、ヒメハリテンレックは、他のテンレック類と同様、鳥類や爬虫類のような総排泄腔を持っていることも特徴になっている。 ヒメハリテンレックの生態・生活 ヒメハリテンレックは、主に森林地帯や草原などに生息しているが、サバンナや半砂漠のような乾燥した環境を好み、普段は単独で生活している。 夜行性の動物で、日中は倒木の下や木の洞などで休んでいて、夜間になると活動をはじめる。 標高1300m辺りまで見られ、主に昆虫類やその幼虫、ミミズやクモなどを食べるが、稀に果実なども食べる。 また、ハリネズミとは違い、樹木にも上り、半樹上性の生活をしている。 ただ、木登りは得意ではなく、爪をひっかけてゆっくりと上っている。 外敵は大型のヘビ類やワシなどの猛禽類などで、外敵に対しては体をボールのように丸め、イガグリのようになって身を守る。 人も外敵になっていて、南西部などでは食用として狩猟されている。 また、ヒメハリテンレックは変温性の原始的な哺乳類で、爬虫類などと同じで体温を保つことができない。 この為、気温の下がる3~5ヶ月程の冬季の間は、活動をやめて冬眠する。 ヒメハリテンレックの繁殖・寿命 ヒメハリテンレックの繁殖期は10月頃で、食料の豊富な時期に見られる。 繁殖は一夫多妻で行われ、雌の妊娠期間は50~65日程で、1産1~10子、普通は5~7子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は5~10g、平均すると8g程で、目は閉じている。 生後1週間ほどで目が開き、その後1週間ほどで時々巣を離れるようになる。 子どもは2~3週間ほどで固形物を食べるようになり、ひと月を過ぎるころには独立する。 早ければ6ヵ月程で性成熟し、この時期は最初の冬眠を終えた頃にあたる。 野生での寿命は3~8年程度と言われているが、飼育下での寿命は長く、10年を超え、15年を超えるものも知られている。 ヒメハリテンレックの保護状況・その他 ヒメハリテンレックは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 個体数も多いと考えられていて、ある程度の環境変化にも適応している。 しかし、今後の開発による生息地の減少などが心配されている。 尚、ヒメハリテンレックを含むテンレックの仲間は、以前はハリネズミなど共に食虫目に属していたが、現在は独立したアフリカトガリネズミ目(テンレック目)に分類されている。 |
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ヒメハリテンレック