トビウサギ

トビウサギさんのプロフィール


動物図鑑・トビウサギ

トビウサギ

齧歯目・トビウサギ科
学 名 Pedetes
英 名 Springhare / Springhaas
分布域 アフリカ大陸南部
生息環境 サバンナや乾燥した荒れ地など
体 長 35~45cm 程度
尾 長 37~47cm 程度
体 重 3~4kg 前後

トビウサギの仲間はアフリカ南部に分布する齧歯類で、一見するとカンガルーに似ている感じがする。
しかし、本種のみでトビウサギ科を形成していて、現在2種が知られているが、いずれも夜行性で、主に植物質のものを食べる。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


トビウサギの分布域・生息環境
トビウサギはケニアからアンゴラにかけてより南のアフリカに広く分布していて、サバンナや半砂漠地帯などの乾燥した地域に生息している。


トビウサギの大きさ・形態
トビウサギは後ろ足がよく発達していて大きく、一見するとカンガルーに似た感じのする動物で、運動するときも尾でバランスを取り、後ろ足で跳ねるなど、カンガルーに似ている。

尾も体長と同じほど長いが、カンガルーとは違い、尾には長い毛が生え、首は太く、目は丸くて大きい。

また、耳が大きいことから「ウサギ」と名前についているが、トビウサギは独自のトビウサギ科を形成している。

短い前足には5本、後ろ足には4本の指があり、体毛は長くて柔らかだが下毛はほとんどない。
腹面は白く、背面は黄土色や赤褐色のようなをしていて、尾の先はふつうは黒っぽい色をしている。

また、以前はトビウサギは1種とされていたが、現在は、トビウサギ(Pedetes capensis / South African spring hare) と、ケニア中部からタンザニア、ウガンダの一部などに分布しているトウブトビウサギ (Pedetes surdaster / East African spring hare) の2種に分類されている。


トビウサギの生態・生活

トビウサギはサバンナや半砂漠地帯などの乾燥した地域に生息し、群れはつくらず、普段は単独か家族単位で生活している。

日中に活動することもあるが、主として夜行性の動物で、昼の間は地面に掘った巣穴で休んでいる。

巣穴は低木や茂みの近くあることが多く、地下1m程のところにトンネル状のものがつくられる。
巣穴は前足の長い爪を使ったりして掘るが、巣には複数の入り口がつくられている。

産室などの部屋をつくらないが、トビウサギは幾つかの巣穴を掘り、日ごとや長くても数日ごとには巣を変える習性がある。

巣穴のある範囲は0.006~0.28平方km程度とも言われていて、多いものでは25を超える巣穴をつくることが観察されている。
また、巣穴の入口を土で塞いだりするが、この時には別の逃げ道をつくっているとも言われる。

食性は、草の根や球根、茎、種子などの植物質を主に食べるが、イナゴやバッタ類、甲虫類などの昆虫のほか、時に死肉を食べることもある。

普段は単独で生活しているが、食料の豊富な所では、数頭ほどが集まって採食していることもある。

行動範囲は、巣穴を中心として、半径250~400m程度と言われていて、採食もふつうはこの範囲で行われる。
しかし、行動範囲は環境や食糧事情によって変化し、乾季などで餌や水が不足したときなどは10km以上も移動することがあり、ひと晩に32kmを移動した例も記録されている。

外敵はサーバルキャットカラカルなどのヤマネコやジャッカルなどで、外敵は多い。

トビウサギは嗅覚、聴覚、視覚ともに優れていて、外敵をいち早く見つけ出すことができるが、外敵が迫ったときや驚いたときには、すばやく巣穴に飛び込んで身を隠す。
カンガルーのように後ろ足で飛び跳ね、このときの跳躍はひと跳び2~3mから時には6~9mにも達することがある。

また、トビウサギはトウモロコシや麦などの農作物を荒らすので害獣として駆除されている他、地域によっては食用として狩猟の対象になっている。
しかし、肉は堅くて、毛皮も良質ではないと言われている。


トビウサギの繁殖・寿命

トビウサギには決まった繁殖期が見られず、一年を通して繁殖する。
年に2~3回繁殖し、雌は妊娠期間80日前後で、ふつうは1産1子、稀に2子を出産する。

生まれたばかりの子どもの体重は280~300g程で、体は体毛で覆われている。
目は閉じているが、生後3日程で開くようになる。

子どもは7週間ほどで巣を離れるようになり、この頃には1.5kg程の体重に成長している。
体重が2.5~3kg程になると性成熟し、それまでに成長するには2年半~3年ほどかかる。

飼育下での寿命は13~14年程度と言われているが、野生下ではこれよりも短く、平均すると7年程度と考えられている。


トビウサギの保護状況・その他

トビウサギは耕作地を荒らす害獣として駆除されたり、地域によっては食料などを目的として狩猟の対象にもなっているが、現在のところ、いずれの種も絶滅の恐れはないとされている。

トビウサギ 1
●トビウサギ科の動物へ
●このページの先頭へ







Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。
 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。
このページの先頭へ