ローランドアノアはインドネシアのセレベス島北部だけに分布している小型のスイギュウで、単にアノアと呼ばれることもある。 森林や湿地などに単独で生活しているが、近年は生息数が減少していて、絶滅危惧種に指定されている。
ローランドアノアの分布域・生息環境 ローランドアノアはインドネシアの固有種で、セレベス島北部に分布している。 低地の森林内にある沼地などの湿地帯を好み、自然のままの熱帯雨林に生息している。 ローランドアノアの大きさ・形態 ローランドアノアは体長150~170cm程の小型のスイギュウで、アフリカに生息するアフリカスイギュウは体長1.7~3.4m、体重も270~870kgほどであるから、ローランドアノアはかなり小さい。 大きいものでは体長180cm、体重も300kg近くに成長するものも見られるが、家畜のロバの体長が2m程度、平均した体重が250kg前後であるから、アノアはこれよりもひと回り程度は小さいと言える。 しかし、全体にがっしりとした体つきをしていて、後ろ足は肩よりも僅かに高くなっている。 毛色は茶褐色や黒色で、雄のほうが色が濃い。 幼獣のうちは全身が厚い羊毛状の毛で覆わてれるが、成獣になると雌雄いずれも被毛が少なくなる。 また、目の下や背中、四肢などに白い斑がある固体も見られる。 角は雌雄ともにもっていて、長さは20~35cm程度だが、雄の長いものでは40cm近くになる。 この角は他のスイギュウと同じように三角形の断面をしているが、アノアの角は上の方にほぼまっすぐ伸びているのが特徴で、スイギュウの角のように湾曲していない。 ローランドアノアの生態・生活 ローランドアノアの野生下での生態などはよく分かっていないが、低地の森林地帯や沼地などに生息している。 スイギュウなどのように群れをつくることはなく、普段は単独で生活している。 雌は子どもを連れているものもいて、時には雌と子どもからなる数頭ほどの小さな群れをつくることも観察されているが、他のウシ科の動物のように大きな群れをつくることはない。 森林内にある沼地などの湿地帯を好み、日中は休んでいて、朝夕に草木の芽や木の葉、木の枝、水生植物、果実などを食べる。 また、アノアは塩舐めをするほか、海水を飲んでミネラル補給することが知られている。 雄は角で樹木にマーキングすることなども観察されていることから、一定の縄張りを持っていると考えられているほか、アノアはスイギュウのように泥や水の中を転げまわったりすることも観察されている。 成長したローランドアノアには外敵はいないと言われているが、子どもは大型のアミメニシキヘビなど襲われることがある。 ローランドアノアの繁殖・寿命 ローランドアノアは、一夫一婦や一夫多妻などの繁殖形態は分からないが、決まった繁殖期は見られないと言われている。 雌は妊娠期間275~315日程で、ふつうは1産1子を出産するが、稀に2子を出産することもある。 子どもは6~9ヶ月程は授乳され、雌雄共に2年程で性成熟する。 飼育下での寿命は31年を記録したものがあるが、野生下では長くても20年程度と考えられている。 ローランドアノアの保護状況・その他 アノアの仲間には低地に生息している本種・ローランドアノアのほか、平均体高70cm程の更に体が小さいマウンテンアノア(Bubalus quarlesi)が知られているが、いずれも肉などを目的とした乱獲や生息地の開発、森林の伐採などによって個体数は激減している。 現在、アノアは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定され保護されているが、狩猟も後を絶たず、更なる個体数の減少が心配されている。 尚、本種とマウンテンアノアは同じとする意見もあり、これについては今後の研究が待たれる。 |
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ローランドアノア (アノア)