キツネザルの仲間は全てアフリカのマダガスカルに分布しているが、クロキツネザルはマダガスカル島北西部の限られた地域に分布している。 ほかのキツネザルと同様、口先が長く、鼻鏡があり、顔はキツネに似た感じがする。 四肢には5本の指があり、後肢は前肢よりも長い。 また、尾は体長よりも長いが、物に巻きつけることはできず、樹上でのバランスを取るのに役立っている。 体毛は密生していて、耳には長い房毛が見られるが、クロキツネザルの毛色は雌雄で異なっている。 雄は全身が黒色や暗褐色をしているが、雌では明るく、赤茶色や橙褐色などで、耳の房毛は白色をしている。 熱帯雨林や二次林などに生息し、主に樹上で生活しているが、木材や農作物のプランテーションなどにも姿を見せ、地上では4足歩行する。 複数の雌雄と子どもたちからなる2~15頭程の群れで生活しているが、平均すると7~10頭程度で、群れは雌が優位と考えられている。 昼夜共に活動し、主に果実類を食べるが、種子や花、キノコなどの他、昆虫や節足動物なども食べる。 クロキツネザルは一夫多妻と考えられているが、野生での繁殖形態などはよく分かっていない。 繁殖期は6~7月頃で、妊娠期間120~130日程で、普通は1産1子、稀に2子を出産する。 生後3週間ほどの間は母親の腹にしがみついているが、その後は背中に乗って移動する。 子どもは5~6ヵ月程で離乳し、雌雄共に2年程で性成熟する。 飼育下での寿命は20~25年と考えられているが、野生ではこれよりも短くなる。 外敵はフォッサなどが挙げられるが、ワシなどの猛禽類に襲われることがあると言われている。 このほか、キツネザルの仲間は飼育下でもよく繁殖すると言われているが、近年の森林開発や、肉や毛皮を目的とした密猟などによって、生息数は減少している。 現在、クロキツネザルは国際自然保護連合(IUCN)のレッドデータブックに絶滅危惧種II類(VU)として指定されているが、分布域が限られていることもあり、いっそうの保護が求められている。 尚、クロキツネザルは以前は2亜種とされていたが、現在はそれぞれ独立した種として扱われている。 両種のはっきりとした違いは目の色で、本種・Eulemur macaco (Black lemur) の目の色は茶色かオレンジ色で、耳の房毛が発達していて、以前は Eulemur macaco macaco とされていた。 一方、以前は Eulemur macaco flavifrons とされていた亜種は、現在は Eulemur flavifrons (Blue-eyed black lemur) とされていて、人以外に青い目をしている唯一の霊長類として知られている。 また、耳の房毛は発達せず、本種よりも南に生息しているが、Eulemur flavifrons は更に生息数が少なく、絶滅危惧IA類(CR)に指定されている。 キツネザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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クロキツネザル