ベニガオザル

ベニガオザルさんのプロフィール

和名		ベニガオザル

分類		霊長目・オナガザル科

学名		Macaca arctoides

英名		(Brown) Stump-tailed Macaque

分布域		インド東部から中国南部、インドシナ半島など

生息環境		森林地帯など

体長		雄で52～65cm程度、雌で48～58cm程度

尾長		3～7cm 程度

体重		雄で9～10kg程度、雌で7～9kg程度

IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (VU)

ベニガオザルは東南アジアや中国南部などに分布しているオナガザル科のサルで、名前の様に赤い顔をしている。
森林地帯に生息しているが、地上で活動することが多く、移動する時は地上に降りて移動することが多い。

●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

ベニガオザルの分布域・生息環境

ベニガオザルはバングラデシュ東部やインド北東部、中国南部やラオス、カンボジアやミャンマー、タイ、ベトナムなどのインドシナからマレー半島にかけて分布している。

二次林を含むさまざな森林地帯や耕作地周辺にも生息していて、低地から標高2800m程の高地にも生息している。

ベニガオザルの大きさ・特徴

ベニガオザルは、雄は体長52～65cm、体重は9～10kg程度、雌では体長48～58cm、体重は7～9kg程度で、体は雄の方がひと回りほど大きい。

犬歯も、雄の方が雌よりも長くて強力だが、雌雄ともに頭部は体に対して大きい感じがする。
その為、体はずんぐりとした印象を受けるが、ベニガオザルはがっしりとた体つきをしている。

四肢には5本の指があり、爪はすべて平爪で、親指は他の4本と対向していて、物をつかんだり握ったりすることができる。
また、尾は短く、英名・Stump-tailedの由来(切り株のような尾)になっている。

ベニガオザルは全身が暗褐色から赤褐色、灰褐色などの粗くて長い毛で覆われ、頭から肩にかけては長い毛が垂れ下がっている。

北方に分布しているものは、南方のものよりは毛が長い傾向があるが、顔には毛がなく、名前のように赤い顔をしているのが特徴になっている。

赤く裸出した顔にはシミの様な黒い斑点があるが、年老いた個体では斑点が増えて、ほとんど黒っぽいものも見られる。
尻にも体毛がなく、暗赤色の皮膚が裸出しているが、頭頂の毛も、雌雄ともに年老いたものは抜け落ちている。

また、ベニガオザルはニホンザルの様に頬袋をもっていて、一時のあいだ食べ物を蓄えておくことができる。

ベニガオザルの生態・生活

ベニガオザルは、低地から山地の亜熱帯や常緑の熱帯広葉樹などの森林地帯に生息している。

群れをつくって生活していて、多くは10～20頭ほどの家族群で構成されている。
時には家族同士が集まって50～60頭程の大きな群れをつくり、移動しながら生活している。

また、雄は群れから離れていくが、雌は出生した群れに留まることから、ベニガオザルの群れは母系とも言える。

行動範囲は分かっていないが、1日に2～3km程を移動し、数平方kmほどの行動範囲をもっていると考えられている。

ベニガオザルは主に果実類を食べるが、種子や葉、根や花など、様々な植物質のものを食べ、時には耕作地に現れ、トウモロコシやジャガイモなどの作物を食べることもある。

また、雑食性で、昆虫類やカエルなどの両生類、鳥類やその卵などのほか、カニなどの甲殻類も食べる。

食料な豊富なところなどでは、アカゲザルやカニクイザルの群れなどと一緒に見られることもある。

木登りもうまいが、ベニガオザルは地上性が強く、移動する時は主に地上に降りて、四肢を使って移動する。
活動するのは早朝から午前中の間で、日中の間は木の上などで休んでいることが多く、夜間は大木や崖の上など休む。

外敵はウンピョウやヒョウなどで、危険が迫ると大きな声を上げて仲間に知らせ、木の枝を振って相手を威嚇したりする。

ベニガオザルの繁殖・寿命

ベニガオザルは、飼育下では決まった繁殖期が見られないが、自然下での繁殖期は10～11月頃に見られる。

繁殖は一夫多妻で行われ、雌も複数の雄と交尾する。
雌は妊娠期間175～177日程の後、普通は1産1子を出産する。

生まれたばかりの子どもは体重400～500g程度で、顔は肌色で体毛は白っぽいが、半年ほどで褐色になり、3年ほどで親と同じような色になる。

育児は他の雌によっても助けられるが、子どもはかなり大きくなるまで親の腹部につかまって移動する。
授乳期間は9～10か月、長いものでは1年ほどになり、1年半ほどで独立した生活を送るようになる。

雌は4年ほどで性成熟するが、雄はやや遅く4.5～5年ほどで性成熟する。
また、雌は成熟した後も出生した群れに残るが、雄は成熟する頃には群れを離れていく。

ベニガオザルの飼育下での寿命は25年を超えるものが知られているが、野生下での寿命はこれよりも短く、20年程度と考えられている。

ベニガオザルの保護状況・その他

ベニガオザルは、近年の森林開発や樹木の伐採などによって生息地が減少していて、それに伴い生息数も減少している。

バングラデシュでは既に絶滅していると考えられていて、現在、国際自然保護連合（IUCN）の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。

しかし、ベニガオザルの生息地は断片化もしているうえ、森林が耕作地などに置き換わったところでは、作物を荒らす害獣として駆除されることもあるほか、食用としての狩猟やペット取引を目的とした捕獲も行われていて、更なる個体数の減少が心配されている。

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