イカルチドリ

イカルチドリ さんのプロフィール


鳥類図鑑・イカルチドリ

イカルチドリ

チドリ目・チドリ科
学 名 Charadrius placidus
英 名 Long-billed plover
分布域 国内では各地で繁殖しているが、北海道のものは冬には南へ移動する
生息環境 河川の中・上流域や湖沼周りなど
全 長 19~21cm 程度
翼開長 41~48cm 程度
体 重 45~70g 程度
自治体によっては絶滅危惧種など

イカルチドリは、国内では春先の河原などでよく見られ、本州から九州では一年を通して生息している。
北海道などの雪の多い地域では夏鳥として見られ、冬季には暖かい地方へ移動する。

分布域・生息環境

イカルチドリは、夏にはロシア南東部のウスリー地方や中国北部、朝鮮半島などで繁殖し、冬にはネパール東部やインド北東部、中国南部から東南アジアなどの暖かい地域に移動して越冬する。

国内では各地に分布し、北海道では夏の鳥だが、多くの地域で一年を通して見られる。
河川や湖沼周りなどに生息して、群れをつくって生活している。

大きさ・形態

全長は19~21cm、翼を広げると41~48cm 程の長さがあり、頭頂部から背面は淡褐色や灰褐色で、腹側は白い。
嘴は黒く、頭部には目を通る暗色の筋(過眼線)があり、額に見られる暗色の斑と交わっている。
胸の辺りにも輪になった黒っぽい帯が見られ、目の周りは黄色い色をしている。

一見するとコチドリとはよく似ているが、体はイカルチドリの方が大きく、目の周りのアイリングはコチドリのように鮮やかな山吹色ではなく、黄色っぽくて細い。
また、イカルチドリの嘴は長く、飛んだ時には淡色の翼帯が見られる。

シロチドリとは、胸の輪状の帯が、イカルチドリでは途切れていないことで見分けることができる。

雌雄ともにほぽ同じ色の鳥だが、雌は雄よりも頭部の黒い部分が淡色で、冬羽は全体にやや淡い色になる。

生態・生活

国内では各地で留鳥として見られるが、北海道などの雪の多い地域では、冬季には温かい地方に移動する。

繁殖期以外は群れで生活していて、河川や湖沼周りなどに生息しているが、河川では中流域から上流域にかけて生息していて、海岸や干潟などで見られることはほとんどない。

また、多くはコチドリよりも上流側の河川で見られるが、中流域では同所的に見られることもある。

川岸を歩いて昆虫類、その幼虫などを食べるが、多毛類なども食べる。
ほかのチドリと同様、小走りに少し歩いては立ち止まり、また向きを変えて歩いては立ち止まるということを繰り返しながら採餌する。

繁殖・寿命

国内での繁殖期は3~7月頃に見られ、繁殖は一夫一婦で行われる。
この時期には縄張りが主張され、巣は、主に河川中流域の河原や中州などにつくられるが、稀に埋め立て地や造成地にも営巣することがある。

しかし、砂や土の多い所では巣をつくらず、河原や中洲でも、植物が繁茂しない開けた砂礫地につくられる。

巣は地面に深さ3~5cm、直径13~15cm程の浅い窪みをつくり、中には小石や小枝、草などが敷かれている。
雄はこのような巣を数個ほどつくり、雌はその中のひとつを選んで産卵する。

雌は一度に1個、全部で2~4個の卵を産むが、卵は長径3.5cm、短径2.6cm程で、10~13g程の重さがある。

抱卵は雌雄で行われ。卵は27~29日前後で孵化する。
ヒナにはすでに綿毛がはえていて、孵化後しばらくすると歩き出すことができ、親に連れられて自力で採餌する。

生後40日程で飛べるようになるが、コチドリやシロチドリ、ケリなどと同様、カラスやトビ、ヘビなどの外敵が近づくと、親鳥は偽傷して相手の注意をそらす習性がある。

寿命については分かっていないが、同じチドリ科のケリが、野生下で14年の記録が残されている。
体の大きさは違うが、イカルチドリも5~10年ほどの寿命はあるのではないかと思われる。

保護状況・その他

国際自然保護連合では、現在のところイカルチドリに絶滅の恐れはないとしている。
しかし、全体では減少傾向にあり、国内でも個体数が減少している。

主な原因は、開発などによる生息地の減少だが、繁殖地に侵入してくる4輪駆動車やオートバイ、釣り人など、人の影響によるものも大きく、自治体によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧に指定している。

尚、イカルチドリには次の亜種が知られている。

Charadrius placidus placidus
C. P. japonicus


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